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いざ鉄の国02


「訓練した後の飯は美味いね!」


 ルイズは学院の学食で昼食を貪り食べていた。


「…………」


 ハーモニーほどでは無いが。


「ルイズ様は霧の国には帰順しないのですか……?」


 姫々が何気なく聞く。


 ルイズほどの戦力なら霧の国も諸手で歓迎するだろう。


 が、


「今のところは」


 とぼんやり否定。


「何処の国に所属するかは別段大事ともとれないけど鉄の国には知り合いがいっぱいいるし……」


「しがらみ……ですか……」


「とは少し違うけどね」


 苦笑するルイズ。


「大切な人の命と財産を守るために僕が好きでやってることだから」


 そこにあるのは兵士としても最も大切にしなければならない黄金の信念だった。


「とまぁそんなわけで」


 パスタをガツガツ。


「僕は強くならなくちゃいけない」


「守る価値はあるんですか……?」


「僕にはね」


 サラダをシャクシャク。


「けど師匠以外に僕より強い人間がいなかったから誰に指示を受けるでも無かったんだよねぇ……」


 スープをグイと飲む。


「僕のレベルで満足しないでね?」


 一義はそう釘を刺した。


「ふぇ?」


 とはルイズ。


「師匠より強い巧者が?」


「ほら、そこ」


 一義が指差すと、


「…………」


 花々が渋面を作っていた。


「オーガ……」


 額から角がでているため判断は容易い。


 というより知った仲だ。


「最終目標は花々に素手で勝つこと」


「んな無茶な……」


「まぁ一般的な人間にはね」


「僕なら可能と?」


「まぁ目は無いよね」


 ガクッとずっこけるルイズ。


「無理なのかよっ」


「勝てるもんなら勝ってみろってくらい無謀」


「その上で目指せと?」


「この調子でいけばその内僕はお役御免だからね」


「そんな!」


 銅色の瞳に悲哀が光る。


「師匠!」


「云いたいことは分かるよ」


 ルイズの願いは知っている。


 感情も。


 あるいは慕情すらも。


「師事できない」


 その言葉がルイズをどれだけ切り裂くかを一義は把握しているのだ。


 だが亜人としての能力に剣の術理を複合して、やっと理の無いルイズに勝る程度だ。


「大丈夫」


 一義は銅色の髪を撫でる。


「まだまだ負ける気はしないから」


 慈しむように。


「師匠……」


「教えられることは全て教えてあげる。その後になってまだ僕を師事する意味を持てるかは……ルイズが決めればいい」


 シチューをすくう。


「師匠は師匠だよ……?」


「その遠慮が本音な気もするけどね」


 一義は苦笑した。


「恩義には誠意で応えます!」


「例えば?」


「僕の体!」


「却下」


 嘆息。


「それは先にも断ったでしょ?」


「むぅ……」


 ルイズは不満げらしい。


「じゃあお金?」


「特に困ってないかな?」


「地位!」


「ソードオブダモクレスは勘弁願いたいね」


「僕が守るよ?」


「僕より弱いのに?」


「むぅ」


 漬け物コリコリ。


「ま、ある意味で報酬は受け取ってるから肩の力を抜いていいよ」


「?」


「ってなるよね……」


 チャーハンをガツガツ。


「ま、その内わかるよ」


 一義の含み笑い。


「良い性格をしておいでだ」


 花々が皮肉った。


 無論からかいだが。


「さて、じゃあ午後からは組み手でもしよっか」


「いいの!?」


 目をキラキラさせるルイズだった。


「肉体制御も修行の内だし」


 そういうことだった。


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