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嗚呼、青春の日々14


 そして次の日。


「うまうま」


 とディアナは朝食を取っていた。


 あの後……。


 つまり風呂の後だ。


 一義は花々の他にディアナとキザイアと一緒にベッドに入った。


 何とか運が傾いたらしく発作は起きなかった。


 それについては安堵する一義。


 月子の悪夢を理解できるのはかしまし娘以外に居ないからだ。


 それは即ち自慰行為。


 一義一人に完結する感情でもある。


 そんなわけでぐっすり寝た後の朝。


 一義たちはホテルの食堂で朝食を。


 作ったのは姫々とアイリーン。


 姫々は昨日のうちに材料を仕入れていた。


 今日の朝食は鯛茶漬けに納豆にとろろ昆布の吸い物。


 特に吸い物の塩加減は絶妙で一義を満足させるに足る物だった。


「どうでしょう?」


 怯える小動物のような瞳で問う姫々に、


「ん。美味」


 端的に一義は言う。


 それだけで顔のほころぶ姫々が安いのか。


 それともそれほど一義が魅力的なのか


 正解は後者だが一義は分かっていながら認めない。


 ほとんど意地だ。


 であるから余計にタチが悪いのだが。


 各々が朝食を取る。


 そして朝食が終わる。


「一義様っ」


 ディアナが食いついた。


「何でしょう?」


 この敬語は皮肉だ。


「遊ぼ?」


「何して?」


「博打」


「却下」


 即決だった。


 さもあらん。


 賭博と宝くじは馬鹿の税金と一義は心得ている。


 別段金に困っているわけでも無いため問題は無いのだが、一時の享楽に金を溶かすのが正常とも思えない。


「お姉ちゃん?」


 とこれはジンジャー。


「なぁに?」


 と雷帝アイオン。


「魔術を教えて?」


「いいよ」


 そんなわけで二人は学院に向かった。


「うふぇふぇぇ。フェイちゃーん……」


「お姉ちゃん……」


 アイリーンとフェイも別次元にすっ飛んでいた。


 かしまし娘は変わらず。


 ディアナは積極的なアプローチ。


 ハーモニーとキザイアは、


「…………!」


「…………」


 何故か謎の無言会話を成立させていた。


 ビアンカはいつも通り。


 ジャスミンは飽きないのか一義に決闘の申し出。


「そこまでムキにならんでも」


 それが一義の率直な感想だ。


「俺を指導してくれ」


 ジャスミンはそう云った。


「まぁやれというならやりますがね」


 そんなわけでそんなことになった。


「ふっ……!」


「しっ……!」


 一義とジャスミンは剣で争う。


 場所は決闘場。


 ディアナの鶴の一声で確保できた。


「頑張れ~。一義様~」


 ディアナが一義を応援する。


「正直気が削がれるな……」


 それが一義の感想だ。


「疾っ!」


 疾風より速いジャスミンの剣が襲う。


 それをいなす一義の剣。


「…………」


 一義の和刀とジャスミンの片手剣がかみ合う。


 次の瞬間、


「……っ!」


 戦慄するジャスミン。


 一義の持つ和刀が蛇のようにジャスミンの剣に食らいついた。


「……っ!」


 距離を取ろうとするジャスミンだったが、


「甘い」


 一義は平然と評する。


 巻き技。


 ジャスミンの剣は一義の刀に奪われて宙を舞う。


 そしてチャキッと一義の和刀がジャスミンの喉元に突きつけられる。


「…………」


「…………」


 緊迫の沈黙。


「参った。私の負けだ」


 ジャスミンが負けを認める。


 決着だった。


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