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エピローグ


「……そんなことがあったんですか」


 霧の国。


 その王都。


 その王城。


 一義が波の国でのことを話すとエレナはあっさりと納得した。


 まるで、


「……それが当然だ」


 と言わんばかりだ。


「僕は君の妹を殺したんだよ?」


 自虐的に一義が言うと、


「……仕方ないでしょう」


 やはり納得するようにエレナ。


「……元凶を排除せねば話は終わりませんから」


 さっぱりとした言葉だった。


「少なくともご主人様が負い目を感じる必要は無いかと……」


「お兄ちゃんは正しいよ!」


「旦那様らしいね」


 かしまし娘はそう言った。


「結局一義は一人で片づけましたね」


 アイリーンが言う


「一義様が苦しむ必要は無いですよ?」


 ディアナが言う。


「……一義にはありがとうって言わなきゃね」


 エレナが言う。


「一義が正しいのは今に始まったことじゃないし」


 フェイが言う。


「一義! 可愛い!」


 アイオンがほざく。


「俺としても一義は当然のことをしたと思うぞ?」


 ジャスミンが言う。


「…………」


 キザイアは黙々と茶を注いだ。


 キザイアの淹れた紅茶を飲みながら一義は言う。


「なんだかなぁ」


 それが正直な感想だった。


 罰してほしいとは思わない。


 負い目すら持ってはいない。


 しかしてエレナにあっさりと許されるのもそれはそれで奇妙と言えた。


「法が守ってくれないなら力が守る」


 そう思っての行動だ。


 単刀直入に言うならば、


「逆らう奴らは皆殺し」


 である。


 一義はそれで良かったし、


「他に何がある?」


 と言った感想だが、


「それでいいです」


 とエレナは許すのだった。


 もう一度呟く。


「何だかなぁ」


 そして紅茶を飲む。


「……さて」


 とエレナが呟く。


「……姫々」


 姫々を呼ぶエレナ。


「何でしょう……?」


 姫々はクネリと首を傾げる。


「……装飾剣を出して」


「そう言われるのならばそうしますが……」


 姫々は背中から装飾剣を取り出す。


 ハンマースペースである。


 問答無用に取り出した装飾剣を姫々はエレナに渡した。


「何をする気?」


 一義は事態をわかっていながら問わざるをえなかった。


 対してエレナは、


「……一義がしたことの繰り返しですよ」


 と言って笑う。


「待った……!」


 と言おうとした一義を無視して、


「……っ!」


 エレナは持った装飾剣を自身の手の平に突き刺した。


 ブシュッと出血するエレナの手。


「……っ!」


 エレナ以外の女の子たちが絶句する。


 エレナの手からボタボタと血が流れいずる。


 その痛みに表情を崩しながら、


「……この剣と血を以て一義の忠誠心を返します」


 エレナはそう言った。


 つまり、


「一義はもうエレナの騎士であることを剥奪された」


 ということだ。


「いいんですか?」


 一義が問う。


「……構いません」


 エレナは率直に言った。


「ま、いいならいいんだけどね」


 一義は苦笑する。


 そして、


「たしかに忠誠心をお返ししてもらいました。これより僕はエレナ王女の騎士ではなくなります」


 そう言ってエレナの血に濡れた装飾剣を受け取る一義だった。


「……これで終わったんですよね」


 感慨深げに言うエレナに、


「さて……どうでしょう?」


 一義は肩をすくめてみせる。


 そんな一義に、


「……一義」


 エレナが呼ぶ。


「なんでっしゃろ?」


「……一義はもう私の騎士ではありませんね?」


「返上されたしね」


「……なら一義と私は対等ですよね?」


「まぁ……ある意味においては……」


 そんな一義の言に、エレナは答える。


「……なら私も一義のハーレムに入っても不敬ではないですよね?」


「……っ!」


 ハーレムたちが絶句する。


「ご主人様?」


「お兄ちゃん?」


「旦那様?」


「一義?」


「一義様?」


「一義?」


「一義?」


「一義?」


「…………?」


 姫々と音々と花々とアイリーンとディアナとフェイとアイオンとジャスミンとキザイアが責めるような目で一義を見る。


「勘弁」


 一義はホールドアップする。


「さて……」


 呟く。


 エレナまでがハーレムに入ったのだ。


 気疲れもしようというものである。


 姫々、音々、花々、アイリーン、ビアンカ、ディアナ、エレナ、フェイ、ジンジャー、ハーモニー、アイオン、ジャスミン、キザイア。


 そんな女の子たちが一義のハーレムを形成しているのだ。


「やれやれ」


 一義が脱力するのも当然と言えた。


 まして一義は事を終えたのでシダラに帰る予定だ。


 ハーレムが増えたことをビアンカとジンジャーとハーモニーにどう伝えればいいのか。


 キリキリと胃が痛むのだった。


 波の国の王女……エレナまでもハーレムに加えた状況では。


 とっぴんぱらりのぷう。


丁度時間と相成りました。

これにて「いけないカラ」の第二話、閉幕にございます。

如何でしたでしょうか?

御帰りに際して少し寄り道していただきコメントや感想等をもらえれば幸いです。

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