かざ車
土手に、一本のおもちゃのかざ車が刺さっている。
雨の日も
風の日も
雪も
日照りも
どんな日でもしっかりと刺さりすっくと立っていた。
風がある日はカラカラと音を立てて羽を回す
どれくらい経っただろうか。
ある日、そのかざ車の隣に、もう一本、かざ車が刺さっていた。
一人では寂しいでしょ?
新しく刺されたかざ車はそう言っていた。
その日から始まった。
次の日は、もう一本新しいかざ車が刺さっていた。
二人よりも、三人いたほうがいいでしょ?
けんかした時でも仲介役になれるよ!
新しく刺されたかざ車はそう言っていた。
その次の日はさらにもう一本新しいかざ車が。
その次の日にはさらにさらにもう一本新しいかざ車が。
そうしてほんの僅かの間に、土手中がかざ車でいっぱいになった。
それはそれは壮大な景色だった。
風が吹けばみんながからからと音を立てる。
夕日に映えるかざ車の景色はまるで別の世界にいるようだ。
そうして一番最初の一番古いかざ車はこう言った
みんなありがとう。