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Darling

作者: 空詩
掲載日:2026/01/29

「今日の占い、運命の再会があるかもって」

友人のメールを見て、35歳千尋は苦笑いした。


結婚して、離婚して、今は一人。

もう恋なんてしないと決めていた。


フリーのイラストレーターとして働く千尋の元に、ある日、絵本の挿絵の依頼が来た。

担当編集者の名前を見て、心臓が止まりそうになった。

「高瀬拓也」

十年前に別れた恋人の名前だった。


打ち合わせの日、カフェで待っていると、見覚えのある後ろ姿が現れた。


「久しぶり」

拓也の優しい笑顔は、あの頃のままだった。


「元気だった?」

「うん、一応ね。離婚しちゃったけど…」

「俺も」と拓也が笑った。

「お互い遠回りしたね」


仕事の話をしながら、かつての思い出が蘇る。

あの頃、二人は夢を追いかけて忙しく、すれ違って別れた。


「千尋の絵、やっぱり好きだな」

拓也がぽつりと言った。


三ヶ月間、絵本の制作を通じて、二人は少しずつ距離を縮めた。


最終打ち合わせの日、拓也が言った。

「占い、信じる?」

「急にどうしたの」

「今朝、おみくじ引いたら『失せ物見つかる』って。俺の失せ物、千尋だったのかもしれない」


千尋は笑った。

拓也が言った。

「もう一度、やり直せないかな」


窓の外、桜が咲き始めていた。

占いは道標。でも歩くのはいつも自分だ。

今度こそ大切な人を手放さない。


「うん」


千尋はもう一度恋をしてみようと思った。

読んでいただきありがとうございます。

他にも短編を投稿しています。

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