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知らぬ間に眠ってしまっていたようだ。目が覚めると、体調はいくらかマシになっていた。


眠ったおかげか体調は少し回復し、割れるようだった頭痛はかなり引き、わずかに疼く程度に収まっている。だが、目眩と身体のだるさ、気持ち悪さは多少改善したものの、依然としてまだしっかり残っている。


いくら何でもおかしい気がする。本当に二日酔いなのかな、これ。


感覚として、今の目眩や気持ち悪さは、貧血か、水分不足か、栄養不足か、そのどれかの時の感じに似ている気がする。


水を飲まないと……とボンヤリ考えたら、急に空腹感を自覚した。お腹が空いた。喉も渇いている。


水や食べ物ってどこにあるのだろう? あっても、勝手に食べるのはマズイよね。

餓死しそう、という段階になったらそんなことを気にしていられないけど、とりあえずは水だけでも欲しい。

トイレに行った時に手洗いした洗面台で、水だけはなんとかなりそうだけれど、食べ物をどうすればいいだろうかと悩みながら身体を起こした。


高すぎる机の上に、それまで気付いていなかったダンボール箱の存在が目にとまった。部屋の雰囲気に全く合わない代物だ。


何コレ? と見てみたら、病人や高齢者用の栄養剤の缶が詰まっていた。2ダース、24本入りとなっているが、ダンボールは開けられており、1本分が無かった。


周りを見渡すと、飲みかけの缶が机の上にあるのにも気づいた。他にも、材質のわからない平べったい長方形の、ノートサイズの黒いタブレットPCに似た何かがある。先ほどトイレに行った際には気づかず、目に入っていなかった。

こんなに大きく、ほぼ目の前と言っていいほど近くにあったのに目に入っていなかったとは、正直信じられない。


でも、人が出入りした気配はなかった気もするし、もし入って来ていたら、多分気配に驚いて飛び起きていたのではないかと思う。うっかり眠ってしまってはいたけれど、うとうとしているくらいで、そこまで物音に反応できないほど深く寝入ってはいない、はず。

つまり、こんな目立つものに気付けないほど思考が鈍り、不注意にもなっていたのだろう。

あと、トイレ以外に気を回す余裕もなかったのもある。


間抜けすぎる自分に凹む。


しかし、栄養剤はありがたいアイテムだ。今必要な水分も栄養も、どちらも取れる。

食べて良いのかと躊躇するけれど……ごめんなさい! 持ち主が現れたら潔く謝るし、弁償もします! 緊急事態ということで見逃してください!!


栄養剤を一つとって口をつけた。チョコ味と書いてある。


初めて飲んだけれど、不味くはないが大して美味しいものでもなかった。半分くらいは喉が渇いていたこともあり、ゴクゴク飲めたけれど、残り半分は水分でお腹が埋まってしまったのか、かなり飲みにくかった。


一缶飲みきって、タポタポするお腹が気持ち悪く、吐き気が治まるまでのつもりで再び椅子の上に横たわった。少し目を瞑るだけ、と目を閉じていたら、また寝こけてしまったようだ。再び生理現象に呼ばれて目が覚めた。


液体を口にしたのだから、トイレに行きたくなるのは自然の摂理である。椅子から立ち上がり、トイレに向かった。

耐え難い気持ち悪さや吐き気は治っている。目眩のようなクラクラした感覚やだるさはなかなか抜けてくれないが、ずいぶんマシになった。足元も力が入らずへたり込むということもなく、わずかにふらつくくらいで済んでいる。


迷うことなくトイレにたどり着き、用を足す前に紙がないことを思い出して周辺の棚などを確認したが、見つからなかった。仕方なく前回同様にシャワーで洗浄して乾燥させることにした。


用を足そうとして、愕然としてしまった。……パンツ履いてない。ついでに着ているのが見覚えのないワンピース。


どういうことだ。私は自分の格好に衝撃を受けた。


トイレから出たあと洗面台で手を洗う際、鏡に映った自分の姿にさらなる衝撃。


髪がない。それはもう見事なスキンヘッド。眉も、よく見たら睫毛もない。そして、ありえないほど頬がこけて、ガリッガリになった面相。

首や襟ぐりから覗く鎖骨の骨々しさと言ったらどうよ。


自身を見下ろしたら、腕や脚なんかも信じられないくらい細くていかにも骨。骨格標本に皮を貼り付けたような有様だ。ちょっとダイエットしないと、と思う程度には肉を蓄えていたはずなのに、コレはどういうこと!?


何よりも、身体が小さい。周りの家具が大きくて縮尺がおかしくなっているのかと思っていたけれど、おかしいのは家具の大きさじゃなくて、私の身体のようだった。手や足のサイズ、腕や脚の長さがずいぶん小さい。


若返った……には見えない。面相が変わるほどガリガリだから判断つかないけれども、幼くなった雰囲気はない。ただ小さくなって餓死寸前といった雰囲気だ。

栄養が足りなくて身体が縮むなんてことがある!?


そんなバカなと思いながら、鏡の中の自分を見つめた。

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