99 代理決闘
ダルクが勝ち取った10分間の作戦タイムだ、パルナから来たのであろうバークレーは広場に居る。
周りを兵士が囲み代理決闘の行方を観させるツモリのようだ、既に勝った気でいるブリッツは、ニタニタと下卑た笑いを浮かべている。
セリーヌが小声で作戦をクリスに話す。
「脚刈りを初っ端に決めるしかないけ」
「はっはい、やってみます。」
一筋の光明を作る道、勝ち筋はセリーヌ曰く初見殺しの脚刈りだと、それを初っ端に当てろというのだ。
待っていれば瞬殺される、実際殺される事は無いだろうが、動けなくはされるだろう。
「お母さん、あの人そんなに強いの?」
「冒険の頃話を聞いた事があるけ、あの特徴的な革の鎧はブラックバイソンの革で作られてるけ、それを装備してるのはパルナ一の剣の使い手と言われた男じゃけ、まさかこんな所にいるなんて思わなかったけ。」
あの真っ黒な防具を見て、ん?と思ったセリーヌはパルナと聞いてあの兵士長と聞いたことのある異名とを結び付けたらしい。
普通に闘ったら確実に負ける、そう脚刈りが決まったとしても勝算は低い、とセリーヌはクリスには聞こえ無い様に僕に言う。
ダルクも近付いてきて小声で僕に話てくる。
「普通に闘ったら不味そうだな、普通ならな?」
下手くそに口を歪ませたウインクをしてくるダルク、ハハハ、そういう事ね、大丈夫、僕も少し怒ってるから。
大丈夫だ思い切り行けとクリスを励ますセリーヌとダルクを横目に、僕達は作戦を考え、伝えていた。
10分が経ち作戦タイムは終了だ、クリスが広場に向う、後ろをライとヤミーが付いて行った。
通常見えない精霊の内この決闘に適した二体を付けた、ドッさんとフウタはこの決闘には適さないから外してある。
立会人として準備の出来た二人の前に取り仕切ると伝えてあるダルクが向かう。
「ではお互いに正々堂々闘ってくれ!」
ダルクが離れると、剣士二人はお互いに中段に木剣を構えた、作戦通り先に仕掛けたのはクリスだ、受けに回ったら一撃でやられる可能性があるからだ。
ダルクとセリーヌに言われた通り、思い切った突進をするクリスが雄叫びをあげる。
「たぁぁぁぁぁぁ!」
持っている木剣はバークレーもクリスも同じ物だ、お互いの射程距離に入った。
直前で腰を落とし回転するように脚を刈りに行くクリス、目線で気付いたのか退こうとするバークレー、[ボルト]脚が痺れ一瞬退くのが遅れた。
バシッ!
クリスの放った脚刈りが、木剣の剣先がバークレーの脚に当たった!
すぐに退いて距離を取るクリス、当たりはしたが会心の当たり方ではなかったからだ、証拠にまだバークレーは立っている。
ブーーー!!と周囲の兵士達からブーイングが鳴る、アウェイだ仕方ない、やったのは騎士や兵士でなら卑怯と言われてもおかしくない脚刈りだ。
取り敢えず一番うるさい奴にストーンバレットで小さい石を2発頭に当てておいた。
決闘はまだ続行中だ、少し痛むのかまだバークレーは動かない[ペイン]ズキンと鈍い痛みがバークレーの右脚を襲う、顔を顰め、バランスを崩しているバークレーの左に回り込む、左脚を庇うようにクリスと向き合うバークレー。
クリスは素早く円を描くようにバークレーの周囲を回りだす、痛みの為か向き合うのを止めたバークレーに後ろからクリスが襲いかかる、一瞬で気配を感知し、それを受け止めるバークレーが剣を流そうとした時[ボルト]バチッと受け止めた腕に衝撃が走り、剣を手離してしまった。
急いで拾おうとするバークレーだが脚が痛むのか、クリスの方が速かった、木剣を蹴り範囲外に出し、自分の持っている木剣の先をバークレーの首筋に当てた。
「まだやりますか?」
両手を挙げ首を横に振るバークレーが
「降参だ。」
そう言って決闘は幕をとじた、辺りは静寂に包まれている、兵士達も一言も発さない。
ワァーッ! パチパチパチパチ
一人で静寂を壊したのはアニーだった。




