89 燃えてる!
「あっ!」
ソレが聞こえてしまったのかとアニーは顔を赤らめてるが違う、そうじゃない、何も聞こえてなどいない。
最初に見たのがファイアバーンだったので、それを教えるツモリで考えていたが、補助魔法があるじゃん!
元々お風呂用やご飯の火付け用に火を扱う事を考えていたのでポッカリ抜けていた。
火の精霊に補助魔法を聞いてみると火を纏う補助魔法があると言う。
「エーッあるの?熱いやつじゃん!」
火の精霊は首を横に振り
「ファイアプットオン」
いきなり唱えた途端に火の精霊が燃える。
危ないじゃないか!この近距離で!文句言ってやろうかと思ったが、熱くない、あれれ?熱くない?
何で熱くないのか聞くと、それは燃えてる様に見せ掛けてるだけの偽物だった!
マジかよ、そういう事なの?漫画やアニメで説明無いのもそれでなの?
火が熱いと知ってる者なら人だろうが獣だろうが、それが魔物であっても近付かないだろう。
熱いと知らなくても見た目で敬遠するかも知れない。
精霊がまだ見えてないので、目の前でいきなり炎が上がった事にビビるアニーだったが、その炎を触らしてみる。
「あれ?熱くない」
チョン、チョンと触りながらあれ?と手を触れたままにしても熱くないと混乱する。
そして
「えぇ〜何かある!?」
アニーが炎の精霊の存在に気付いた、見えてないけど形どった何かがここにある、そんな不思議な感覚だった。
精霊だって燃えたら熱い、踏まれて消滅したり食われる事もあると聞いている、本当に燃やす訳が無い。
「成る程ね〜」
そしてそれは教えるのには非常に好都合だ、偽物の炎は危なくないのだから。
フライの様に魔素を纏って魔素を偽の炎に象って見せるだけ、そんな補助魔法だった。
魔素を纏うという事が理解出来ないアニーに一度実演をしてみる。
「えっと丹田を起点として身体全体に魔素を纏わせて、ファイアプットオンと唱え…」
バシャーとリーネがジュリオに向かってアクアを唱え水を掛ける、掛け続ける!ジュリオが燃えている、リーネは焦って出力を高めて水を掛け続ける!
「わっ、わっぷ、お姉ちゃん何!何なの??やめてよ!」
息が出来ないので顔を背けながら声に出してリーネに問う。
水をまだ掛けながらリーネが言った。
「ジュリオ熱くないの?平気なの?」
いくら水を掛けても消えない炎と、ジュリオの身体を見ながら水を掛け続ける。
「えっ、なんの事、何?とにかくやめて!」
そうしてやっとリーネが水を止めた、ジュリオはまだ燃えているが、何ともなさそうだ。
寒さにブルブル震えながら燃えているおかしなジュリオをリーネは見ている。
自身の腕を抱き抱える仕草をしたジュリオはようやく理解した、自分の身体から炎が出てる事を。
えっ?えーっ?
どうやらファイアプットオンを覚えてしまったようだった。
考えようとするが兎に角寒い、冬はそこまで来ている、纏った魔素を解除したら炎は消えたようだ、家の中へ入り、布を取り出し身体を拭いた。
服も下着もびちゃびちゃだ、全て脱いで替えの服と下着を履く。
えーっと?魔素を纏った状態でファイアプットオンを唱えたから使えたって事??
精霊が後天的に付く事があるのも知っている、ジュリオは後天的な魔法を覚えられるのか?と結論付けた。
試しに手を皿の形に魔素を流しながらアクアを唱えてみると…水が出た、出ちゃった。
誰も知らないこの世界の魔法の決まりだった。




