79 ネタバラシ
面倒を見ろと言われ生活の一部に他人が入って来るのだ、今迄と同じ様に隠すのは無理だろう。
なのでサクッとネタバラシを始めた。
「えーっと、お父さんには闇の精霊と闇魔法、お母さんには土の精霊が付いてるけど魔法は使えない。」
「お姉ちゃんには水と風の精霊が付いていて両方の魔法が使えます、後僕には精霊が四体付いてて其々魔法が使えます。」
精霊と聞いて最初はエーッ?と驚いてた二人だったが、徐々に言葉も失っていた。
「さっきテントを入れた土壁もその応用ね」
ダルクがジロリと見てくるが仕方ないでしょ!隠し続けるのは無理だ、どうせなら最初からネタバラシした方が楽だ。
まだ、飛べるとか伝えてないだけ良い方でしょ!それだって危ういけど、その位飛ぶことは定着してるからね。
二人は段々と興奮した顔に変わって改めて
「宜しくお願いします!」
と頭を下げた。
「良かったねーお兄ちゃん達」
リーネが嬉しそうにしていた、マジ天使!
二人は明日からどんな厳しい修行が始まるか少しビビりながらも、ワクワクしながら此方を見ている。
取り敢えず明日は椅子造りからだな、まだ夕御飯を食べ終えてないダルクとセリーヌを見ながらそう思った。
二人がテントに戻って一夜が明けた。
早速造ってるのは椅子だ。
二人は厳しい修行を期待していただけに、エーッと落胆しつつも素直に材木をノコギリで切ったり釘を打ったりしていた。
話を聞けばそうせざるを得なかった。
師匠であるダルクや奥さんのセリーヌを差し置いて先に飯を食わせて貰った理由が、座る椅子がなかったからだ。
この一家の優しさに涙が零れそうになる、実際相当運の良い二人だ。
タイミングが少しでもズレていたら、ジュリオがたまたま冒険者ギルドに行かなかったら、声を掛けていなかったら、一つでもズレていれば、今頃諦めて家に戻っていたかも知れなければ、野垂れ死にしていたかも知れない。
この世界では命の価値が低いと言うか、生きていくのが難しいと言うか、運や才覚だけでは済まない事が多い。
それでもこの二人は運が良かったとしか言えなかった。
材木をギコギコ切り、切り終わった材木をアニーに渡す、それをアニーが組み立てて椅子を作った。
「ここと、ここの部分に筋交いを入れて補強して。」
僕に言われてまたクリスはギコギコと足りなくなった部品を切る。
そんなに時間も掛からずに、二組の椅子が出来上がった。
始めて作ったにしては、中々の出来栄えだと二人は満足している。
水の入った革袋と布の袋を3人が一つづつ持って昨日の続きとばかりに山へ入った。
勿論二人は弓と矢の入った矢筒、クリスは剣を所持している。
僕が身を守るのに弓は必要ではないが、攻撃手段は多ければ多い方が当然良い。
練習も兼ねているから持って行っている袋は、蔓で纏めるより合理的だったので持つことにした。
「リュックが欲しいな〜」
狩人は基本的に身軽さが求められるので、今迄リュックの存在に言及しなかったが、この世界にも有るはずだ。
だって冒険者が居るのだから、無ければ作ってもらえばいい、最近聞いた婦人会の存在を思い出しながら、僕は考えていた。
昨日薬草を採った場所に着くと、アニーとクリスは薬草を摘み、僕は警戒をする。
危険は何処から来るか分からない。
特に何事も無かったが、目線の端にキノコを見付けるがキノコは怖い、見るからに毒ですよ!と言ってるようなキノコでなくとも毒を持ったキノコがあるのを知っているからだ。
そしてこの世界にある物が全く元の世界と一緒だとは限らない。
リンゴやミカンはそのままだったけど。
二人にこのキノコ知ってるか聞いたがやはり分からないようだ。
一応一番近いだろう土の精霊のドッさんにも聞いてみたが
「知らないッス」
だった。
二人の袋がいっぱいになったのでジュリオの持ってきた袋を渡してまた採らせた。
大きなキノコを一応六本採った。後で調べてみるつもりだ、袋がいっぱいになったので家に帰る。




