78 クリスとアニー
ダルクが既に戻っていたので、今日あった事を夕飯を食べながら報告した。
薬草採取して分担作業をした事、冒険者ギルドへ行って採取をクリアした事、そこでまた依頼を受けて、モンベル迄荷物をカイという漁師に渡す事になり荷物はコレだと。
クリス達は自分の成長が納得できる迄居るみたいで、一応寒さ防止に土壁を造って中に入れた事も伝えた。
「そうか、そう言えばアイツラは飯とかどうするつもりなんだ?」
言われて気付いたけど確かにそうだ、下手すれば昨日から食べてない?
「確かにご飯どころか水も飲んでないかも。」
気付いた事をそのまま伝えるとリーネがガバッと立ち上がりコップに水を汲んで、てってってっと外に出て行った。
あっ家の天使が動いちゃった、戻って来るとやはり二人を連れている。
「お母さーんご飯あげてー?」
気不味そうなクリスとアニーだったが、腹が減ってるのだろう、手に持っているコップはとっくに空だった。
二人を連れてきた天使程ではないが、基本的にダルクもセリーヌも根は優しい、夕食もまだ途中だったがダルクは座っていた椅子から立ち上がり二人を座らせた。
もう一つの椅子はセリーヌの椅子だ、セリーヌはまだ残っているオートミールやジャガイモのスープを新しく皿に用意している。
二人は顔を見合わせてもじもじしているが、セリーヌがどうぞと言うと。
「すいません師匠、いただきます!」
ガツガツと食べ始めた、よっぽど腹が減ってるのだろう。
ペロリと皿を平らげた二人にデザートのミカンを渡しながらいつから食べて無いのか聞いた。
「まともな食事は二日前からですかね…」
気恥ずかしそうにクリスがそう言うと、手に取ったミカンを食べて感激しつつ、アニーと笑っていた。
二人を黙って見ていたダルクは
「お前達、家族は?話を聞かせてくれ」
そう言って二人の話を聞いた、まともに取り合わなかったので、経緯はまだ何も知らなかったからだ。
「ええっと〜」
クリスが淡々と話し始めた。
「〜って事で今ここに居ます」
簡単に説明すると、アニーには親が決めた婚約者が居たが、クリスの事を好きなので親に反発して飛び出した、認めて貰えるように親の出した冒険者ギルドの依頼をクリアしてそのうちクリスとの仲を認めてもらえるようにしたいと。
その足掛かりに選んだのが、たまたま冒険者ギルドに来ていた有名なダルクの息子、ジュリオだったと言う。
冒険者として駆け出しも駆け出しな二人だった。
クリスは兎も角、アニーは良いところのお嬢さんだったが中々根性がある。
駆け出しだ、まともに弓なんか使ってきてないのにも関わらず土壁の的には当たっていた、センスは有るのだろう。
最近生やしだした髭を擦りながらダルクはウーンと唸りつつこう言った。
「ジュリオ、二人を正式に面倒見てやれ、やれるか?」
やれと言いながらやれるか?とはズルい!そんなの断る方が難しい。
実際ダルクは忙しいし、セリーヌも畑や家事全般やってるし、リーネは水の手配や家畜の世話にセリーヌのお手伝いもしている。
消去法で言えば残ってるのは僕だけだった。
「たまに俺の仕事の手伝いもしてもらうぞ?クリスはセリーヌの手が空いた時は剣も見てもらえ、薪割りだってあるからな。」
仕事の手伝いは荷物の運搬とか積み込みとかだろう、薪割りは暇な時にダルクがやったりトーマスさんの所から木っ端を譲って貰ったりしてたし。
「需要がある肉を用意出来ると更にいいなぁジュリオ」
ついでに狩りもやって来いと言うのだろう、弓の練習がてらには都合良い所もあるけど。
少しきつめな目をしてダルクを睨んだ。




