72 縁が繋がって円となる?
一律銅貨10枚を手数料にすると、50世帯で銅貨500枚、つまり銀貨5枚分になる、それが月に基本4回なので金貨2枚分の収入となる
今回はいいやって人も出てくるからそれはそれで保管すればいい、一ヶ月いいやって人は居ないのだから。
村人に説明すると、すんなり受け入られた、タダ働きになっていたからだ。
ヨウジさんとニア以外計算出来る人が居ない事からもニアは重宝されていた。
それにそこそこ顔もいいし、愛嬌もある、たまにするドジだって可愛く見える。
これでニアとガンジの生活も保証された。
帰ってまた月曜日が来ても、初回以外は空の台車は此方にあるから当日焦って購入する事は最早ない。
一応防犯の為積み込むのは当日、購入は別の日でも月曜日迄に揃えられればいい。
それに発表も無いから、積み終わりさえフウタに伝えれば何時に飛んでも良い。
ダルクはブラウゼアの街をブラブラと歩きながら商店の人に話を聞いたりしている。
当然企業秘密を教える訳にはいかないと断る人の方が多いが、個人で趣味程度にやってたり、作ったりする人も中にはいる。
そういった人は同じ様な趣味仲間を作る事が多い、今回紹介されたのはドギーブラウゼア、趣味で陶芸をしている人だ。
市場で売り出されてるコップや皿に逸品と言う程出来が良いという訳ではないが味がある品がある、その製作者がドギーさんだった。
紹介してもらえた理由は彼女がモンベル出身だからと言う事だった。
紹介してもらった家に着くとドギーさん本人と思われる人が土を捏ねて皿を作っていた。
「始めまして、こんにちは。」
ダルクが声を掛けた、聞こえているはずだが返事はおろか此方をチラリとも見ない。
ダルクは邪魔されたくないのかな?と狩人が獲物が罠にかかるのをジッと待つように身動き一つせず作業を見ていた。
出来栄えに納得いったのか手を止めるとダルクの方を見ずに
「あんた名前は?」
それだけ言い放ってまた作業を続ける
「ダルク・ブラウゼアです」
また沈黙が続く。
作った皿を乾燥させているようだ、そしてまた土を捏ねて皿の形を造る、出来た皿を乾燥させるを繰り返した。
皿が6枚乾燥の段階まですすんだ所で
「失礼した、ドギーブラウゼアだ」
土でドロドロの右手を差し出してきたが握手を交わした。
「改めましてダルク・ブラウゼアです」
そうしてやっと話始めた。
「ふむ成る程、よし造ってやろう、そうだな一品につき銅貨1枚でいいぞ、その代わりワシが造る物はワシがその時造りたい物を造る、コップや皿、壺等は好きに造るぞ、趣味だからな!数も適当だが良いな?」
値段の安さと数だけ欲しいダルクには絶好の話だった。
「是非お願いします、週に一度取りに伺います。」
そう言って、ドギーの家を後にするつもりだったが引き留められた。
「ダルクさんよ、布や袋はいらんか?」
えっ?と話を聞けば、これまた趣味でリネンの布や袋を作ってる奥様がいるという。
「少し見せてもらっても良いでしょうか?」
そう言うと、家の中に入って奥さんを連れてきた、手には奥さんのマイヤー・ブラウゼアが作ったであろう布を持っている。
「いや、参ったこれは素晴らしい。」
そう言って褒めると奥様は照れているが、確実に喜んで
「私だけじゃないの、婦人手芸会員は。」
ダルクが聞いた事のない会があるそうで、そこに在籍してるご婦人方が沢山いるという話だ、そしてマイヤーさんが会長をしていた。
「そうね、趣味だから原価でいいわよ、用意出来るならリネンでも。モンベルの人に売るんでしょ?そうね〜たまにお肉なんかが食べられると最高なんだけど、ね?英雄ダルクさん。」
ゲッ!どうもダルクがロック鳥を討伐したという話をどこかで聞いた事のある婦人だった。
アハハハハと笑うしか無かった。