69 氷だヒャッホー!
セヘラさんが家に訪ねてきた、トーマスさんの奥さんだ、リーネに水が欲しいとお願いしている。
ダルクが此方も訪ねるつもりだったと既に頼んである材木とは別に二匹の子ヤギ用の小屋の木材を頼んだ。
明日でいいかと聞くと何やらすぐ欲しいと言うのでセヘラさんにリーネが付いていった、ついでにミカンを4つ持たせた。
外は暗いがご近所さんだ、特に問題ないだろう。
リーネが戻ってくる頃ほぼ同時にフウタが戻ってきた。おつかれさんと声をかけハイタッチした。
リーネに付いたフーちゃんに気付くとあっと声をあげた、フーちゃんはドヤッていた。
リーネもそろそろ一人で飛べるんじゃないか?明日にでも丘へ行って飛ぶ練習をまたしようかと話した。
「うん行こう行こう」
リーネは快諾だった、ついでにミーちゃんとフーちゃんの魔法も見たいしな。
朝になって盤面が乾いたのを確認して家の中に片付けた、今回はセリーヌに頼んでパンを持たせてもらった、ゆで卵も二つある。
いつも通り歩いて道標を西に向かって丘に辿り着いた、誰も居ないか周囲を確認するのもセットだ。
「んじゃお姉ちゃん飛んで」
リーネがフライを唱えて浮き上がる。
「ウインド」
風に方向性を持たせる魔法を唱えてリーネが上昇した、クルクルと上手く飛べている。
「アハハハハ〜」
と上空から楽しそうな声が聞こえる。
暫くすると降りてきたのでもう一人で飛べるねと声を掛けた。
「そう言えばお姉ちゃん攻撃魔法は?」
アクア以外の水魔法を見た事がないが、有るはずだ、僕もリーネに一度しか見せたことは無いが。
「うんーあの魔法怖くって〜」
一応知ってるようだ、僕が教えてないからミーちゃんが教えたのだろう。
「ちょっと一度見せてくれる?」
ウーンと気乗りしなそうに見えるが、自衛出来るかどうかは大事な事だ、ロック鳥に遭遇した事も忘れていない。
再度お願いすると分かったと頷いた。
「ウォーターカッター」
ズババババーと物凄い勢いでリーネの右手から水が噴射された、土は吹っ飛び石は削られている。
アカーンこれアカーン!殺傷能力高過ぎ問題だ、確かにこれは怖くなるのも分かる。
中級攻撃魔法は初級で怖くなったから、当然知らないそうだ。
直接ミーちゃんに中級攻撃魔法をお願いして見せてもらう。
やるんですぅ?と聞かれたので頷く。
「アイスニードル」
ミーちゃんから出されたのは、まさかの氷のツララだった、1メートル以上ある氷のツララが何本も浮かんでドスドスドスと地面に刺さっている。
「お姉ちゃん!これ覚えて、絶対に!」
僕がリーネに食い気味に伝えるとえーっと嫌そうに言うが違うんだ、これは氷だ!
出力を調整して使えば氷の塊が手に入るのだ!攻撃魔法として使わなければいい。
必死にリーネ相手に氷の利便性を伝えると渋々分かったと頷いた。氷があれば魚の鮮度も保つし、肉だってそうだ、かき氷だって作れるし!
ミーちゃんに今度は出力を調整したアイスニードルを撃ってもらう、今度は10センチ程のツララが出て来たので放たれる前にツララを掴んでやった。
「冷たい!ちゃんと氷だコレ!」
因みに水の上級攻撃魔法はアイスロック・インパクトで名前聞いただけで止めた、もう名前だけで悪い予感がするもの。
フーちゃんの攻撃魔法はフウタと同じだろうけどやっぱり上級攻撃魔法は使った事が無かった。
このノリが軽い精霊はどうしても一度撃ってみたいと言う。
全力でやるとクレーターが出来るのを知っているので本当にちょっとだけにしてと頼んだ。
「エアーバースト」(小声)
フーちゃんが指差したような格好をすると魔素が指先に集まって来る、あの時より全然小さい塊が空へ向かって放出されると一瞬空が光って乾いた破裂音がした。
こんなもん?と不服そうにしてるフーちゃんに耳打ちする。
「全力でやるとブラウゼアの側にあるクレーターが出来るよ。」
フーちゃんはエーッヤバー!と満足そうだ。
ヒィィまだ追って来る!かなり山の中に入ってしまったがそれでも逃げなければ!
グルルルル 何だ、今度は何だ!?
やっと赤い鳥が消えたようだが、ん、何だあの暗がりに見えるのは赤い・・・目!?
グルルルル グルル グルルルルルゥ
ハッ!?何かマズいぞ囲まれ、た?
ダルクがバリンを見た最後の光景だった。




