58 悪いのは誰だ!
「ふっふざけるんじゃないけ!」
ドンと机を叩いて怒っているのはガンジだった。
その他の面々も怒りを露わにしているが自分より怒っている人を見ると冷静になるものだ。
「おとん!落ち着くけ!」
そう、怒った所でどうしようもなかったのだ今迄は。
「どうすればいいのけ!?」
ダルクが声をあげた。
「落ち着いて聞いて下さいお義父さん、私達はこの間塩を買いました。この程度の瓶一つで銀貨1枚でした」
お土産に持ってきたワインの瓶を持って言う。
「商店を通して買うのと売るのでは仲介手数料も輸送料もかかるので多少違うのは仕方ないとしても、この値段は明らかにおかしい」
契約書を皆に見せてそう続ける。
「また、私は個人的にこの商店のエリン・ガイナンと取引をしていて、バリン・ガイナンという息子の事も知っています」
値段が改正される前の契約書を手に取り皆に見せる。
「適正価格だった頃の取引者の名前はエリン・ガイナンになっています」
もう皆さんお分かりですね?
「バリン・ガイナンが悪いのけ!」
ドン!と拳が落ちた机からまた音が聞こえた。
「それでどうすればええのけ!?」
ダルクがめちゃくちゃ悪い顔をして囁くように皆に伝えた。
「今回はこうしましょうか」
まず2日後に行商人が来ても取引はしないで帰らせる。
ニアを呼んで皆に紹介させた後にニアは人魚だと伝え、証拠にフットの魔法を解き尾ビレを皆に見せた。
フウタという風の精霊が皆には見えないが今ここに居ると伝えてヒデさん、ヨウジさんゴロウさん全員に一度付き宙に浮かせた。
そしてこの先の流通を手伝ってくれることも伝える。
明日製作を依頼してあるウチの台車が用意できる手筈になっているので、これを使って塩を積みフウタに移動させる。
ヒデさん、ヨウジさん、ゴロウさんは大変だが山の麓迄一度来てもらい、移動させた塩とエリン・バリン両名の名前が入った契約書を持って直接ブラウゼアの商店へ押し掛ける、ダルクも駆け付けると約束した。
これでどうなるか、問題が誰にあるか、ね?
決断した時のダルクは敵に回したくないなと思った、私怨もあるんだろうな…。
塩は生活必需品だ、ブラウゼアが塩を購入してるのは一番近いモンベルだけだった、そのモンベルでも片道2日かかるのだ。
ブラウゼアの南にパルナという街があるそうだが海に面して居ないので塩は手に入らないという、ここで片道5日だ、その先は…。
エリンであればこの先モンベルと塩の取引を止めるなんて愚かな事は絶対にしないだろう。
「私達一家は明日には山の麓に帰りますが台車を運ばせるのでそこに普段通りの量の塩を積んで下さいね」
契約書通りの内容なら製作予定の台車で積みきれる量だった。
取り敢えず山の麓には暗くなってから着くようにすればいい。
そこまで話してヒデさんの持ってきた魚とイカを焼き、ゴロウさんの麦飯を食べ大人達はワインを飲んで楽しむのだった。
勿論僕とリーネ、ニアはミカンを絞ったミカンジュースさ!
あとガンジに付いてる水の精霊は網に掛かって魚と一緒に引き上げられて付いたらしいよ?
元々海には水の精霊が沢山いるから、会った村人は皆そんな形で付いたんだろうね。
因みにセリーヌに付いてる土の精霊はセリーヌが畑作業やってる時に気に入って付いたんだそうな。




