57 キナ臭い
とんだ拾い物だった、まさかニアが問題を解決するだなんて。
要するに、人魚のニアが精霊のフウタに頼んで物を運べば良いじゃない?って訳だ。
これなら誰にも余計な話をしなくても良いのだ、無人で宙を舞う台車を見ても人魚に頼まれた風の精霊がやってると説明する。
エリンさんには僕に付いてる風の精霊が家まで持ってきてくれると伝えればいいのだから。
丁度台車も手配中だし、台車に乗る量を運べば良いだろう。
この場合の問題の一つとしてフウタが運んでくれるのか?だったけどこれは即答でダイジョーVだった。
もう一つは売った後の事で、誰が、何を、いくらで売ったのか? そしてその値段を基準にこれからも売って良いのか?
コレばっかりは一度売って相場を調べなければ分からない。
当然ダルクも無料では受けられない。
もう一つこの漁村には塩を代表で売ってる人以外は読み書きが出来なかった、流通が無いのだそれも仕方ないだろう。
ここでセリーヌがあれ?と違和感を感じた。
「塩って結構高価なんじゃけ、なんでモンベルはこんなに貧困なのけ??」
おやぁ?何か一気にキナ臭い。
調べなければならない事が増えた、行商人が来てるのはブラウゼアの街で、モンベルに行商人を出せるのはエリンさんの商店だけだ、適正価格で商売してないのか?
もう一人代表として売ってる人が相当中抜きをしてるか?だが、ガンジはソレはないと言う、何故ならその男も貧困で働き過ぎた息子を亡くしたからだ。
夜も遅いから明日話を聞きに行こうという事になった。
晩飯に本日2度目の魚を食べる最高だ!ガンジが漁に行ってないから、隣のヒデさんにお土産の一部を渡して譲って貰ったという、昼間の真鯛とアジが10匹でコップ4つと交換したらしいがそれでも大喜びだったそうな。
そう聞いたらやっぱ金銭感覚がおかしいと思う。
朝になってガンジ、リーネ、ニアの3人は漁に出掛けた危ないじゃけとガンジが渋ったがリーネは飛べるし行きたいと頑として聞かなかったそうでガンジが折れた。
残った3人でヨウジさんの所に話を聞きに来ている。
ヨウジ・モンベル塩の精製と行商人相手に販売をしている、セリーヌも昔から居るこの男と亡くなった息子は知っていた。
優しい良い人だった息子はセリーヌの幼馴染だった。
「ヨウジおじさん元気け?」
堂々と声を掛けてドアを開けたセリーヌを真っ黒な顔をした人の良さそうな男が迎えた。
やはり着ている服はボロボロで中抜きしてる様には見えない。
「ちょっと変な事聞くけぇ、塩の取引の書類見せてくれるけ?」
深刻な顔をしたセリーヌを見て何も言わずに契約書を見せてくれた。
その契約書を一目見たセリーヌは直に気付く、価格が1/10だった。
最近塩を買ったばかりだ、間違えようがない、取引の相手はバリン・ガイナンになっていた。
ダルクにも契約書を見せて確認した、バリンコイツが元凶だ!
エリンが相手ならこんな事にはなってないはずだ!
「ヨウジおじさんちょっと聞いてくれるけ?」
セリーヌがヨウジに事の経緯を話た。
ヨウジは死んでしまった息子を思いつつ、自分の不甲斐なさに怒りながら泣いていた。
元々は安いながらも売っていた塩が値段の改正だと言われどんどん安くなって今の値段になったと言う。
文句があるなら買わないと言われ、それは困ると渋々売っていたのだった、他に行商人は来ないのだ。
ガンジ達が帰って来てからヨウジおじさん、ヒデさん、大麦を作っているゴロウさんを集めてもう一度事の経緯をセリーヌが話し始めた。
※フウタは一纏めなら人や物に付けば飛ばせられます




