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54 残念人魚じゃけ!

結果から言うと、ニアは一匹も魚を捕れてなかった。


本人曰く、すご〜くすご〜く頑張ったけど捕れなかったそうだ、確かに肩で息をしている


フッと冷ややかに笑いミカンを二つ放り投げ右手を上げて


「じゃっ、僕急ぐから」


立ち去ろうとすると必死に足元にしがみついてきた、(しっかりミカンは拾っている)


「置いて行かないで!餌を与えたんだから最後までちゃんと面倒見ないとダメでしょ!?このヒトデなし!」


意味が分からない…いや、分かるのだが、それを言うのが当人なんて聞いたことが無い…。

もう一度言うがヒトデが付いてないのは普通だ!


はぁと溜息をついて取り敢えずガンジの住む家に戻ることにした。


ニアはフットの魔法で尾ビレを足に変えてペタペタと嬉しそうに付いてきている。


「ただいま〜」


戦利品のミカンをドサッと机の上に上着ごと置く、皆の視線は物珍しいミカンではなく僕の後ろに居る頭にヒトデを載せた青い髪の女の子に向かっている


「えっとこの子はニア…」


「ませた子だとは思ってたけどこの歳でもうナンパけ?」


話を遮ってセリーヌが口元を抑えながらとんでもないことを言う。


「ちゃんと説明させてぇぇ~?」



〜と言う訳で付いてきたんだけど、どうしよう?


ニアからしっかり話を聞けば運良く魚が捕れる時もあるらしいが、中々難しくヒヤリじゃ済まない危ない経験をした事も多くあるこの残念人魚は基本的に()()()()()


両親は居たが大きな海流にかなり流されてしまい戻る道は分からない、簡単に言えばニアは放っておかれたら何時死んでもおかしくない存在だった。


皆がどうしたもんか押し黙っているとプ~ンと嗅いだことのある匂いが漂ってきた!


ガバっと身を起こす、魚だ!焼き魚の匂いだ!!


大きな真鯛ソックリな焼き魚を持ったガンジが奥から顔を出す


「話は聞こえたけ、セリーヌの居た部屋が空いてるけぇ腰も痛いけぇ漁を手伝うなら面倒見てもええけ」



何か言ってるけど今は魚しか見えないから!


「お爺ちゃん魚!この魚食べて良い??」


サクッと話を切って引きつった顔のガンジが頷いたのを見て箸を受け取り、魚の身をほぐして一口入れる


「ウッマ〜ァァ!」


あぁこの味、待ちに待ったこの味だ、塩も程よく利いている、求めていたのはコレだ!あまりの美味しに涙がほろりと頬を濡らす。


行儀の悪い息子を叱ろうとしたセリーヌだったが魚を食べ涙を流す姿を見て言葉を呑み奥へ行った。


「お爺ちゃん私も食べたいなー」


リーネがそう言うとガンジがそうけと魚の身をほぐして取り分けてやっていた。


「えーっと結局私はどうなるの??」


完全に空気と化したニアがポツリとそう言って呟いた。


魚を初めて食べたリーネやダルクもうまいうまいと食べている、下手くそな箸使いなのでポロポロ落とすが


くぅ〜こうなると米が欲しい、魚には断然米が合う、まだ見たことがないから有るのか知らないが


奥からセリーヌが大きな木の器を持ってきた

軽く湯気を出しているそれはまさか、米!?


ではなく100%麦の飯だったがもう本当に最高だった。


ちゃっかりニアも食べているが良いだろう、十分堪能した。


デザートに採ってきたミカンの皮を剥いて口に放り込む。


あぁ甘くて美味しい、最近口が贅沢になってきた。


本当にモンベルに来て良かったなぁ、漁村最高!魚も麦飯もミカンも最高!


お腹いっぱいになってゴロンと転がると早起きしたせいなのかやたら眠い


一眠りして起きると既に夕方になっていた。

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