43 リーンゴは続くーよどこまでもー
「勝ったどぉぉぉぉ!」
取り敢えず勝鬨を挙げた、何処かで聞いたような言葉を使ってみたがマジでこれどうしよう?
5メートル、いや体長だけで3メートル羽は2メートルってところか、合わせたら7メートルあるな。
ここに置いてったら姿は全然見えないがスライムに溶かされてしまうかも知れない。
そこまで考えてリーネに無事を伝えなければと気付いて木の下へ戻る。
「ありがとうドッさん解除してくれる?」
こちらから見える土の正面だけ解除してくれた、ドサッと前面が崩れてリーネが見える。
埋まるのを回避してくれたようだ、ドッさんはこう見えて気が利く出来る奴!
「お姉ちゃんもう大丈夫勝ったから!」
リーネが這い出て僕に抱き着くと
「よがっだぁぁぁぁぁー うわぁーん」
心配掛けただろう、相手が相手だ。
「大丈夫何ともないよ」
「うわぁーん、ジュリオぉ」
本気で泣いてるようだ、抱き着いてくるリーネの身体がめちゃくちゃ暑い。
「ストレングス、フライ、ウインド」
そのまま持ち上げてロック鳥の前へ飛ぶ。
「こっこれ、どうしたらいいかな??」
本気で処理に困ってしまいリーネの知恵も借りたい気分だった。
泣き止んだリーネがロック鳥を見てビクッとしたが動かないので安心したようだ。
「んーお父さんとお母さんに言わなきゃねー?」
至極最もな答えだが、過程が…ね?
こうしてる内にも時間は過ぎていく、時間が経てば経つほどマズい事になるはずだ。
「鳥さんの羽つけて飛んでく?」
あっ!それだ元々そのつもりで雛を捕まえるつもりだったんだ、何倍も大きい個体にはなってしまったが。
羽を何本か抜いて身体に纏わせる、リーネも同じように纏った。
セリーヌのご機嫌取りにリンゴをいくつかもぎ取っておく。
「ヤミー、ライ、ドッさんはコレを見張ってくれる?後できれば羽を毟っといて!」
三体は僕に敬礼して返す。
「フウタはお姉ちゃんを運んでくれる?」
「わかった〜」
「あとお姉ちゃんは羽を離さないように纏って一緒に帰るよ」
リーネが頷く。
「ストレングス、フライ、ウインド」
服に2つズボンに2つリンゴを隠し右手に3枚左手に3枚羽を持って一気に急上昇すると家へと一直線に飛んだ。
飛んで戻るとこの距離なら本当にすぐ家が見える10分もかかってないだろう。
家の真上まできたら急下降する、麓の人は誰も見てないはずだ。
家のドアを開けると回復したダルクが立っている続けてリーネも急いで入る。
息子と娘が両手に持っている巨大な赤い羽にギョッとすると、また何かやりやがったなと天を仰いでいた。
エプロン姿のセリーヌも手を止めエプロンで拭きながら近付いてくる。
服とズボンを脱ぎ捨てリンゴを取り出しながら机に並べて振り返ると同時に
「ジュリオ説明してくれるかしら?」
顔は笑っているが目が笑ってないセリーヌの気迫にビビった僕は自然と正座する自分が居る。
それは紛れもないパンイチ正座だった…。




