39 リーネもビューン
セリーヌが帰ってくるのを待ってから話すと山ではないあの丘辺りなら危険は無いだろうと判断され許可を得る。
リーネに新しく付いた精霊と話す。
「私はコレより優秀だったのよ、そんなの朝飯前だわ!」
フウタを指差して応えたので問題無いだろう。
懸念していたのはリーネがウインドに失敗した時の処理というか安全策だ、落ちて怪我したとかシャレにならない。
それより気になったのが言葉遣いが女性ぽいのだが、精霊に性別があるのかフウタに聞けば個性?と言う、気付いたら生まれる様な精霊に男女といった区別があるのか分からないが個性なのだろう、名前は関係ないのかも知れない。
そう言えば黒毛玉もインチキくさい言葉遣いをしていた。
二人で家を出るとトーマスさんの所のユーリがテスの遊び相手をしている。
丘までちょっと出掛けるのを軽く伝えると
「あー良いなぁ私も行きたいけどテスを連れてはいけないな〜」
リーネのお友達だから一緒に遊びたかったんだろうが今回丘でやる事は秘匿性が高い、お友達でも軽々しく教える事は出来ないので残念そうに別れて進む。
道標に差し掛かる頃今度はトーマスさんの所に木材を取りに来る荷馬車と出会ったので軽く挨拶を交わす。
この台車は二頭の馬が引いてるタイプの台車だからパワーがある、綱やロープではない長い木の棒で馬と台車を固定されていた、これなら下り坂でも台車が転がって押し潰す心配もないのだろう、よく考えられてるなと感心して後にした。
道標を西に向かうと丘までの間はやはり誰にも会わなかった、丘を越えて進めば最低でもスライムが居た危険な森とその先にはロック鳥が住み着く岩場があると聞いている。
丘に着くと周囲を見渡し誰もいないのを確認したら早速リーネにウインドを教え始めた。
「ウインドってのは風に方向性を持たせる魔法でね、簡単に言えば風の吹く向きを決めれるんだ、フライで浮いてる状態なら風の流れに乗って飛べるという訳ね」
ふんふんと聞いていたリーネはフライを唱えふわふわ浮くが同時にウインドを唱えようとするとフライの効果が切れて落ちてしまう。
何度か繰り返しやっていたが、上手くいかないようだ。
「じゃあ今度はフライで浮かびながらアクアを唱えてみて?」
もしかしたら使い慣れている水魔法ならと思いやらせた所こっちは上手く出来た。
これは単純にウインドを使い慣れてないからだろう。
フライを使わずにウインド単独であちこちから風を吹かせる練習をした。
成果は上々で風の向きは簡単に決めれるようになった、後は慣れだろう。
しかしリーネは一人じゃなかったから裏技が使える、風の精霊に頼めばいいのだ。
「お姉ちゃんをフライで浮かせて」
リーネ付きの風の精霊にそう頼むと、リーネがふわふわと浮く、この状態でウインドを使えと促すとリーネが一気に上昇した。
此方からおパンツが丸見えだったが気にしてないようだ
「あまり高く飛んじゃダメだよ〜」
リーネが飛んでいるので手持ち無沙汰になったジュリオは木の下で寝転がる四体はジュリオが教えたあっち向いてホイをやっている。
ライは反射神経が良すぎるのか、指差された方向を必ず見てしまう、ドッさんは下しか向かないからずっと負けてる。
「あーいい天気だなぁ」
四体を横目に太陽光から木の影に隠れながらそう言って寝転んでいた。