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老後生活からの異世界転移は即死スタート!?  作者: マグロちゃん
第四章 ロック鳥

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35 親和とは

 確かに!規格外過ぎてちょっと忘れていたが息子はまだ5歳だった、大人が使うロングボウは大き過ぎた。


「俺が子供の頃使っていたショートボウがまだ残ってい…いや無いなヒビ割れて燃やしたな」


 リチャードならショートボウ持ってるかもと新たな考えを巡らせた。


「帰ったらリチャードに聞いてみるわ」


 無いなら無いでトーマスにでも頼むしかないなと頭を搔く


 次に気になるのは空を飛ぶ魔法だが、ここでは流石に飛ぶのはダメだ、山の中とはいえ麓の連中がどこで見てるかわからない、悪い奴は一人も居ないがそれでもダメだ。


「ヨシ、今日はこの先にある薬草を採取してから戻るぞ」


 ポーションと呼ばれる回復薬の元になる薬草の説明を受けて進む


「これだな」


 紫陽花に似ている花が咲いているソレの葉っぱを摘み取るとこう言った


「この花が5本以下の場所は採ったらだめだ。」


 そう言いながら場所を変えてまた摘み取る


「その蔓を切ってくれ」


 指差された蔓をストーンバレットで切って渡すと受けとった蔓で器用に薬草をまとめて縛った。


 一度家に戻ると薬草を置いてそのまま出掛ける、リーネが暇そうにしているので丁度いいかと連れて行く


 道標のある所まで出ると、何も書かれていない西へと進んだ、リーネと僕はピクニック気分だ。


「ジュリオ良いなぁ〜私も自分で飛びたいなあ〜。」


 コレばっかりはなぁ元の素質に近い親和性の話だからとお姉ちゃんを宥めようかと思っていると


「ん?そうなの?」


 それだけ言ったフウタが目を瞑り何やらンーと唸っていた。


 思い出したのかポンッと手を叩いて


「ウインド」


 ピューっと飛んで行った


 おいおい君はこの後お父さんに付かなければいけないんだが?


 鳩のいた木が見えてくる、帰りの時間も考えるとあの辺りだなとダルクが言った。


 木の生えてる所まで着くと喉が渇いたのでリーネに水を出してくれとお願いする


「いいよ〜アクア」


 両手を皿のような形にしてリーネが魔法を唱えると、コンコンと水が湧き出してくる


 僕はそのままリーネの手に口を付け飲む、ダルクは座ると滝のように流してもらっていた


 わっぷ!えぇ?


 父親の口から的が外れ水が顔を濡らす


 クスクスといたずらっ子が笑っていた。


 フウタがやっと戻って来る


 あれ?風の精霊を一体連れてきた、チョイチョイとその精霊を引っ張るとリーネの元へ進ませる


 足元まで進んだ精霊はリーネを見上げて周りをウロウロと歩く


 ぴょんとリーネの肩に乗りペタペタと頬や髪に触れる


「いいわね、気に入ったわ!」


 そのままリーネ付きになってしまった。


 ええ?と僕は驚いてフウタに話を聞く。


「確かお姉ちゃんは風の親和性無かったんじゃ?」


 そう、リーネの持っている親和性は水の精霊とのもので他は無かった、礼拝堂の魔導具でも確認している。


「前にね〜おいらの姿が変わって囲まれた時に何でこうなったのか話たら人付きに興味を持ったみたいでね、お姉ちゃん(リーネ)も飛んでみたいって言うからその子を連れてきたらこうなった!」


 話を詰めるとこう言うことだ、親和性ってのは人の素質以外にも精霊個々がその人に興味を持てば勝手に付くと


 ただ、精霊は本来人に無関心だからよほどの縁がなければ近寄る事が無い、精霊からは見えていても人から見える事は皆無だ、最初のハードルが高過ぎる。


 お互いが見えていれば波長が合うとか、一目惚れなんてのもあるのかも知れないが


 今回の一件は精霊が人に興味を持ったレアなパターンのようで、親和とは名前通りそんな事だった。


 リーネ付きになった風の精霊はジュリオと目が合うとパチッとウインクして言った


「よろしくね」と。

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