34 攻撃魔法の披露
ロック鳥の雛を狩る前に準備をする俺の腕にケチを付けることはないが問題はジュリオだ、様々な魔法を放てるとは聞いたが精度が分からない以上は当然ぶっつけ本番という訳にはいかない。
規格外だが大事な息子だ。
動きには何の問題もない、ストレングスという強化魔法を使えばダルクよりも素早く動けている
「ハハッとんでもないな」
改めて息子を見ればへへへと照れていた。
「あの木に向かってエアーシュートだったか?撃ってみろ」
ジュリオは必要以上に木を良く見る、下から上までじっくりと
精霊が付いてない事を確認し
「エアーシュート」
ジュリオが前に出した手から空気の塊が飛ぶとダルクの指差した木が大きく揺れ葉が
ドサッ
と、落ちてくる
「次、雷のえーっと」
「ボルト」
既に伸ばしてある手がパリパリッとした瞬間に木が光って煙が出ている
「ストーンバレット」
言われるより先に続けると伸ばした掌から圧縮した土の塊が幾つも生成されて飛んでいく
ドゴッ、ゴッ、ゴッ、ドゴッ、ゴッ、ドゴッ
重そうな音が何度も響くと此処から見ても分かる程木が削れていた。
これは人が受けたら怪我じゃ済まないなと俺は苦笑いする
「じゃあ最後に風の中級魔法をやってくれるか?」
分かったとジュリオが頷く
「エアーサイクロン!」
途端に突風が吹いたと思えば地を削りながら対象の木に風の牙が襲いかかる
メキメキメキ ドスン
割くような音が鳴り地面を揺らしながら木が倒れる
近くに居た鳥が危険と判断したのか次々と飛び去っていく
フウタには全然敵わないな、右肩の上に乗っているフウタを見れば全然ダメと言うように首を横に振っていた。
ダルクからは言葉もないがめちゃくちゃ顔色が悪かった
おいおい怪我どころか原型も留めないんじゃないか?これは…たった一回の魔法で冒険者パーティーが瞬時に壊滅も有り得るぞ。
目の前で起こった凄まじい映像に汗が流れてダルクの背中を濡らした。
「よ、よし、攻撃魔法はもう無いな?」
暫しの沈黙から抜け出すように声を絞り出したダルクが弓を構える
「あの木を見ろ」
ドシュッ
顎でクイッと向けたその木に矢が刺さった。
ドシュッ ドシュッ
続けて放った二本も大体同じ位置に刺さる
おおーっ凄いと手をパチパチ叩いて感心すると少し自分も撃ってみたくなった。
「お父さんちょっと僕にも撃たせて!」
本来なら弓を撃たせるのはまだ早過ぎる年頃だが、相手はジュリオだしなと弓を渡す
渡された弓の弦を引っ張るとかなり固かったのでストレングスを唱えると簡単にみょ~んと伸びる
弦を戻してダルクに教えを請う
「矢に羽がついてる部分があるだろ?その先が割れてるのが分かるな?」
成る程線を書くように小さく削ってある
「弦をそこに引っ掛け人差し指と中指で矢を押さえつつ薬指の3本の指で弦を真っ直ぐ引いて狙いを定めて撃つんだ。」
成る程思ってる以上に難しい
「まず小指を畳んでみろ、そうそしたら弦に3本引っ掛けるだろ?はい、引っ掛けたその時にはい、挟んで〜」
矢を渡しながら凄い丁寧に教えてくれる。
「最初は前に飛ばすのも難しいはずだけどな!」
成る程姿勢は分かった、が、とても重要であろうことも同時に分かった。
「お父さんこの弓大きくない?」
渡された弓はロングボウで今のジュリオより大きかったのだ。
フウタも弦を引っ張る、硬い、ヤミーが一緒に引っ張る、少しだけ弦が張る、ライも一緒に引っ張る、もう少し弦が伸びる、ドッさんも一緒になって引っ張る グググッ
「ワーッ」「ひゃー」「ひぇ~」
飛んで行った他の三体を見送るドッさんが残っていた。




