33 ロック鳥
「ロック鳥?」
聞き慣れない単語を聞くと首を傾げながらダルクに目を向ける。
「あぁ、ロック鳥という赤く巨大な鳥が居るんだ、親鳥は流石に手を出せないがな」
雛でも1メートルは軽く超えるというそれは、ここから西に行ったずっと先の岩場に住んでいるという。
西っていうと…前に見た赤い巨大な鳥かな?まだジュリオが重雄だった、それも最初の頃に見たアレの事だろう。
アレ相手は流石に危険だろうな…相当高い所を飛んでいたが、本当に巨大だった…
数が増え過ぎると討伐隊が結成される程のロック鳥だが雛が産まれていると、薬草を納品していたダルクが冒険者ギルドで先日聞いてきたばかりだ。
雛といっても翼を拡げれば2メートルにもなる大きさだ。
ダルクの話はこうだった、雛を狩り羽で作った服を纏って高く飛べば例え見られたとしてもロック鳥にしか見えないだろうと。
街方面に飛ぶのはマズイが果樹園を越えた西であれば飛んでも問題ない、人の歩かない地帯だと言うのだ。
確かにブラウゼアの街まで誰にも会わなかった経験のあるジュリオが黙って頷く。
「それにジュリオだけではなく俺も飛ぶんだ、事前の安全確認にはなるだろう」
「へっ?僕も行くの??」
当然とばかりにダルクが頷いた。
「そのフウタといったか?風の精霊を俺に付ければ一人で飛べるとしても、親鳥が居なくなるまでどれだけ待つかも分からなければ、往復作業といった簡単な作業をする訳じゃない、雛と言えども危険はある」
至極真っ当な意見だった。
「それにお前、飛ぶとか身体強化とか訳の分からない魔法使うんだ、当然攻撃魔法の一つや二つ覚えてるんだろ?」
ゲッ 鋭い。流石は狩人だ洞察力が高い。
ハハッと苦笑いしているジュリオにダルクが詰め寄った。
「持ってる手札を見せろ。」
肩をすぼめて分かりましたと降参したように両手を挙げてから話し出す。
「え〜っと風の補助魔法はフライって浮く魔法とウインドっていう風に方向性を持たせる魔法でこの二つを使って空を飛ぶんだ」
ほうほうとダルクが頷く。
「で、風の攻撃魔法はエアーシュートとエアーサイクロンっていう中級魔法が使える」
中級魔法と聞いてこめかみがピクリとするがウンウンと頷く。
「次に闇の補助魔法はブラインドっていう目潰しのような魔法とドッペルゲンガーっていう影の分身を創り出す魔法、攻撃魔法はまだ使えないよ」
ブラインドを使えるダルクがアレはドッペルゲンガーっていうのかと黒毛玉が放ったであろう魔法を思い出す。
「次に雷補助魔法はさっきのストレングスっていう身体強化で攻撃魔法はボルトっていう対象を帯電させて痺れさせる魔法」
ダルクのこめかみがピクピク波打つが頷く
「後は土の補助魔法でアースウォールっていう土の壁を造る魔法と、攻撃魔法がストーンバレットっていう石を飛ばす魔法だけかな」
ダルクを含めセリーヌとリーネも驚きを隠せない。
「そっそうか」
分かったと心を落ち着かせながらダルクが
言った。
てか聞いてる限りでもコイツ一人で過剰戦力も良いところだぞ?並みの冒険者パーティーなんて一人で潰せるんじゃないか?簡単に。
「やっぱジュリオはすごいねー」
リーネが手を叩いている
セリーヌは黙って顎を手で押さえながらこんな完成された魔法使いは見たことも聞いたことがないと記憶を辿った。
「5歳でこれか」
ポツリと漏らしてまた黙る、いつものニコニコした笑顔は隠れている。
僕はぶっちゃけまだ隠している事があった、それはフウタ達精霊各自に命令すれば独立して好き勝手に動いてくれる事だ、これは言わなくても良いだろうと両親の顔を交互に見て判断した。




