23 ジュリオ・ブラウゼア
5歳の誕生日を迎えたジュリオは今日が特別な日だと知っていた。
この世界では5歳を迎えると精霊との親和性を確かめる親和の儀が礼拝堂で行われるからだ。
「まぁ既に知ってるんだけどね」
苦笑しつつ隣の相棒を見るとトゲトゲゴムボールが口を開く
「全くしげじぃ…おっとジュリオにも困ったもんだよ。」
ヤレヤレと手を広げ首を横に振ると側にいる黒、紫、茶が腕を組みながらほぼ同時に頷いた。
「ガロレン爺に報告してタップリ叱られた後、周囲の精霊の質問攻めに遭って、少し戻るのが遅れたら何処にも居ないんだから!」
トゲトゲゴムボールことフウタから何度目か分からない程同じ話を聞かされているジュリオは
「はいはいごめんごめん。」
と苦笑しながらも頼もしい相棒を撫でると俺も俺もと言わんばかりに黒紫茶が並んでいるので次々と撫でていく
この子達は闇、雷、土の精霊達で其々がフウタより一回り小さなトゲトゲを持っている。
どうもこれは魔素の塊だった重雄の魔素の多くが僕の身体を動かすのに多く吸収されたからだろうとメディアス様からの説明を受けた。
あまりの異常事態に精霊王であるメディアス様が出張って来たのだが既にジュリオの身体へと魂が定着していた重雄を引き剥がす事も追い出す事も出来ず今に至っている
邪気が一切無かったことも幸いだった。
「本当に大変だったんだからね!」
ブラウゼアの街へ戻ったフウタは重雄を探す、街の端から端まで飛び回っても見付からない。街に居る精霊達に聞いても誰も知らないと言う。
1日中飛び回り探し疲れて身体が萎んできた頃ガロレンから召喚された。
光の精霊からの報告で邪気の無い爺さんゴーストが赤子に吸い込まれたと、フウタの弱々しい姿を見てガロレンも叱る気にはなれない、そもそも急展開過ぎるのだ。
ガロレンが付いていたとしてもその場に居ないのなら防げない
ガロレンはフウタを光の精霊の元へ送り出した。
礼拝堂はゴーストであれば近付かない場所だと見落としていたフウタは軽く舌打ちすると、都合良く来た参拝者と一緒に中へ入る。
礼拝堂の中にいる光の精霊から話を聞くと、赤子を抱いた父親とガロレンのお墨付きだと言うおかしなゴーストが一緒に来たと言う。
ガロレンの名前を出させたら手出し出来ない光の精霊がジッと見ていると赤子に吸い込まれたように見えたと、ガロレンから聞いた話と一致していた。
何処の誰か聞くも、頻繁に来る人ではないとしか分からなかった。
フウタも含めて精霊は人の顔なんて興味がないのだ、頻繁に見掛けないのであれば仕方ないだろう
ダメ元で神父付きの精霊に話を聞くと、獣の皮みたいな服を着ていたという新しい情報を得た。
礼拝堂の扉が開くのを待ち、開くと同時に外へ飛び出したフウタは今度は獣の皮を着た男と赤子を目安に捜すも全く見付からない
大通りにあるあの倒れた街路樹に座り人の行き来を見ていると獣の皮を着た若い男が市場から出てきた。
フウタは若い男を見失わないように付いていく、男は門の外へ出て鋪装された道をズンズン進むと道標の真ん中の道を選びまた進む。
山の麓にログハウスのような建物が4軒あった
男はその内の一つである一番手前の建物に入っていく
フウタは外の窓から中を覗く、ハズレだ。赤子は居ない。
次々と同じ様にハズレを引いた。最後の一軒だと窓を覗く
小さな女の子と母親の後ろ姿が見えた、全滅かと思っていると母親が振り向いたその腕の中に赤子が抱かれて居た。
「もう30回は聞いたよそれ!」
僕はフウタに向かって枕を投げた。




