21 エアーバースト!
今か今かとソワソワしているフウタに声を掛ける
「ちょっと待ってほしい、取り決めをしなければ。」
そもそも知ってこそいるようだが放った事は無いという魔法、それも上級魔法だ
中級魔法のエアーサイクロンやウインド?とか聞こえた、飛んでいった魔法の制御だってまだ怪しいもんだ。ここは慎重に行動しなければならないだろう。
そう伝えるとフウタは確かにと気付いたように落ち着いた
まず、先程飛んでいった魔法が2回目に何故上手く出来たのか聞いてみると、出力を調整したという。
それならまずは中級のエアーサイクロンを弱く調整して出して欲しいと伝えた、頷いたフウタは何も無い広場へと手を出して唱える
「エアーサイクロン」
砂埃が舞い風が渦巻く。最初に見たそれと同じ様に見えた
上手上手と手を叩くが音は鳴らない
これだけ上手に調整出来るのであれば大丈夫だろうと判断しエアーバーストの許可を出す
「じゃあ上級魔法やってみようか、でも興奮しないようにね」
フウタは深呼吸でもしてるかのように見える
落ち着いたのか手を前に出すと指差す様な形を造ると魔素が目に見える形で集まり出す
「エアーバースト」
唱えると弾き出された様に見えた魔素が飛んだ先でパァンと音が鳴り光って爆発した
対象がないので被害らしき物はないがかなりの威力なのだろう。反動でフウタが少し退いていた。
上級魔法を唱える事が出来たフウタは今度は全力のエアーバーストが気になりだす
「今度は全力でやってみていい?」
被害が無かったのでそれなら平気だろうと判断をした重雄が頷くと、また落ち着くようにか深呼吸をしたフウタが手を前に出し指差す様な形を造る。
待て待て、何かヤバい、目に見える魔素がとんでもなくデカい。静止する前にフウタが唱えてしまった!
「エアーバースト!」
ドゴン!と弾き出されたそれは
溢れた魔素が尾を引きながら飛んでいく
フウタが吹っ飛んだ、反射的に重雄はフウタの前に覆い被さる形で飛び込む!
フウタに覆い被さっている重雄の後方、エアーバーストが飛んでいった先からとんでもない爆発音が聞こえた。
近くで雷が落ちた時の様な音が聞こえ、辺り一面を閃光が染めドサドサッと土が降り注ぐ
それでもノーダメージの重雄が顔を上げフウタを見てギョッとした
「萎んでる」……。
空気の抜けたトゲトゲゴムボールになっていた
見た目はアレだが怪我は無さそうだ。どうしたものか考えていると門番の一人が何事かと走って近付いてきた
「まっ魔素が足りな…いからほっ補充しな…いと。」
と小さく震えた声で萎んだフウタが言う
「それは私からでも吸えるのかい?」
重雄が聞くと小さく頷いた。
「てっ、手をおい…らの手を掴んで…」
萎んだフウタが力なく出した手を直ぐに掴む
重雄から魔素がフウタに流れていくようだ。徐々にフウタが膨れてくる
門番は広場に着くと急に出来た巨大なクレーターを見付けて茫然としていた。
フウタが回復してるのを目に見えて感じた重雄は視線を門番の顔へ向けると血の気の引いた顔をしている
「ふ〜もう大丈夫。」
フウタがそう言って手を離そうとしたが離れずに重雄が引っ張られた格好になったので重雄から掴んだ手を離す
「とんでもない威力だったなぁ」
「ね〜」
一人と一体はそう言って笑う
顔面蒼白でオロオロしてる門番を尻目に。




