2 山頂付近の竹藪
「隊長は僕がやりたかったのになぁ」
光輝が少し残念そうに呟いてるのを聞きながらも渋々付いていくのを横に見つつ、もう少しで竹藪が見えてくるなと考えていると、先行している大輝隊長が喉が渇いたのかリュックから水筒を出して飲んでいる。
大輝隊長置いていきますよと重雄が追い抜くと
「じいちゃん待ってよぉ」
威厳がない大輝隊長の素が顔を出すのを見て光輝隊員と一緒になって笑い合う。
「そろそろ見えてきてもよさそうだけど」
言うが早いか竹藪が右手に見えてくる。
今回は鍬を持ってきてないのでタケノコを掘る訳では無いが、出てるかどうかの確認はしておいた方が良いだろう、せっかく来たついでだし。
軍隊ごっこ中なので
「大輝隊長自分は竹藪に偵察に行くので光輝隊員と山頂に向かって欲しいであります!」
と少し疲れた光輝隊員の背中をリュック越しに押している大輝隊長に敬礼して話す。
「指示をするな!じいちゃん隊員、でもわかった気をつけるように!」
と言って引き続き光輝のリュックを押している大輝隊長。
叱られた、ちょっとショック···
取り敢えず伝える事は伝えたので竹藪の中に入り辺りを見渡すがまだ伸びているタケノコは見当たらない。
今年は裏かなぁ(タケノコが採れない年)雨も降らなかったしと、ごちる。
五分程度経ったかな?大輝は11歳、光輝は9歳重雄が野山を駆け回ってた時は二人よりもっと小さい頃だったが時代が違う、流石に長く目を離す訳にはいかないだろう。
孫の直樹の奥さんである加奈さん割と教育熱心みたいだし、何かあって怒られたら割と本気で怖そうだし······。
そろそろ戻らないとな、大輝隊長に叱られたのを思い出しクスクス笑いながらも急いで二人の元へ戻ろうとすると、足元にタケノコの頭が2センチ程出ているのを見付けた。
近くにあった適当な石で少し掘ってみると10センチに満たない程度のタケノコだった。
まぁこれでも儲けもんかとポケットに仕舞う。
近所のスーパーにはまだ出回っていない初物のタケノコだ、妻の美奈子も孫の奥さんの加奈さんも帰ったらきっと美味しいご飯を作って待って居てくれるだろう。
「皆で食べたら一口分しか無いな」
小さく呟きながら竹藪を抜け山頂に続く道を急ぐ。
後ろの茂みでガサガサッと風が吹いたのとは違う音がしたのに全く気付かないまま······




