19 黄色の精霊
シュタッと音がして重雄とフウタの丁度真ん中辺りに飛び降りたそれは黄色の精霊だった。
フウタの方へ向かって行くとフウタが何か言おうとする素振りをするが、待たずに黄色の精霊から右ボディーが繰り出された。
「うぎぃ」
オエッと苦しそうに倒れて転がっているフウタを後目に今度は重雄に向かってくる。
黄色の精霊は鬼の形相で飛び上がると重雄の腹へ向かって右ボディーを打つ!
するりと抜け体勢を崩し草むらへと落ちる。
直ぐに戻ってきた黄色の精霊は、重雄の足を何度か蹴っているが全てすり抜けてしまう。
八つ当たりかのように未だ地面と一体化しているフウタを強く踏み付け此方をキッと睨んでから他の街路樹の方へ去って行った
暫くして痛みが落ち着いたのか、お腹を擦りながらフウタが近付いて言う。
「木の精霊怒らせちゃった。」
あの黄色は木の精霊なのかと理解してフウタの顔を見ると半べそかいてるようだ、心なしか少し縮んだように見える。
「と、取り敢えず同じ威力の魔法には見えなかったぞ!なんか凄かった。」
木の精霊の乱入で有耶無耶になってしまった魔法の評価をした重雄はフウタにそう伝えると、フウタは目を擦ってから興奮しながら話し出す。
「あれはおいらの知ってるエアーサイクロンじゃなかった、あんなの上級のエアーバーストより強力だと思う!」
元々上級攻撃魔法のエアーバーストをフウタは使えなかったが、魔法を教わった時に模範として指導者の風の精霊が繰り出したのを覚えていた。
エアーシュートは風の塊を撃ち出す魔法で、エアーサイクロンは竜巻を起こす魔法、エアーバーストは空気を圧縮して爆発させる魔法と説明を受ける。
「上級攻撃魔法はどうして使えないんだい?」
湧いた疑問を投げ掛けるとバツの悪そうにフウタが応える。
「えっと〜そのぉ…おいら魔力が足りなくて…」
成る程ファンタジーゲームにあったMPが足りないってやつか、覚えてないから使えないという訳ではないのだろう。
ひょっとしたら今のフウタなら使えるのかも?そう促すとフウタは目をキラキラさせたが中級があれだ、上級攻撃魔法なんて何がどうなってしまうか分からない。
流石に街中で軽々しく行う訳にはいかない、
日が昇って外に出てから試そうかと約束をする。
他に気になっている事を色々と質問する。
結果的に情報を引き出せたが、フウタはそこまで詳しく色々と知っている訳ではなかった。
まずこの辺りはアヴェーナ地方といい、この街はブラウゼアと言うそうだ。
生き物は人、鳥、魚、獣、虫、魔物が主でファンタジー世界で定番の亜人やエルフ、ドワーフは見たことがないという。
魔族や魔王といったのも知らないらしい、居ないではなく知らないのだから興味がないのだろう。
次に精霊の事を詳しく聞いた、火水土風木雷光闇の8種属がおり氷や金は居ない。
氷は水、金は土に分類されるらしい。
それぞれ火なら赤、風なら緑と色で種属が分かるそうだ。
父、母といった繋がりはなく精霊王のメディアス様やガロレン爺の様なトップには本能的に従うしかない。
ガロレンは8種属それぞれに一人指導者として立場を与えているがそれ以外は基本的に一律一緒だった。
重雄と同じ様に食欲も無ければ排泄も、睡眠も必要としない個として完成されたような精霊だが魔素だけは吸収する必要があるそうで、火ならば火から風なら風の強く吹く場所等同じ魔素でも好みはあるようだ。




