16 まるでウニ
重雄が人間観察していると、目の前に紫色の重なり合った模様が浮かび上がる、驚いていると突如ウニの様な者が紫色の模様から降り立った。
「何だコイツは、まるで紫ウニじゃないか」
重雄が咄嗟に口に出すと紫ウニは目を見開いて此方を見ていた。
知らない言葉を話すゴーストだがやはり知識はあるぞ!?ガロレンは海産物だと思われてるとは知らずに多少興奮している。
メディアスによると知識の書にはその時一番必要な解決策が与えられると言う、破られた1ページでもそれは同じだと。
使い方は、その物体の鍵となる場所、人であれば頭に触れるだけだ。
ガロレンは重雄の頭に向かって飛び上がると1ページを貼り付け…すり抜けた……。
勢いで1ページがヒラヒラと落ちていった、反射的に落ちる1ページを掌に載せた重雄、5グラムに満たないそれは重雄でも手に取ることが出来た。
振り返って紫ウニを見ると何か必死でジェスチャーをしている、重雄の手を指差してから顔を指差す。
「えーっとこういう事?」
重雄の掌にある変な紙を指差してから顔を指差すと、紫ウニはもっと上だと言わんばかりに天を指す。
改めて頭を指差すとウンウンと頷いてるように見える。
少し訝しげに紫ウニを見ると何やら必死に拝んでるようにも見えた、次に掌の上の紙をジッと観察する。
至っておかしなところはなさそうだ、これにおかしな紋や文字でもあれば直ぐに捨てていたが、変哲の無いただの白い紙だった。
懸念していた精神的な攻撃とかではなさそうだ。
もう一度紫ウニを見ると、重雄の手の上にある紙を指差してから頭を指差し拝んだようなポーズをとっている。
「チャノムチャノム」
たまたまガロレンが口に出したこの世界の(頼む)と、重雄の居た世界の言葉の意味が一致したように聞こえた重雄は紫ウニの願いに応えて掌にある紙を頭の上に載せた。
「何も起こらないじゃないか。」
その言葉を聞き紫ウニが目を見開いている。
同時に一枚の紙は重雄の頭の中へスッと入っていった。
「おい、言葉が分かるか?」
途端に声が聞こえる、声のする先は紫ウニが居る場所だ。
急に元の世界の言語(日本語)の登場に此方の世界に来て一番の驚きを感じていると紫ウニからまた声が聞こえる。
「わしはガロレンというアヴェーナ地方の精霊の代表者だ。」
続けてガロレンが言う。
「先程使ったものはとても貴重な知識の書から取り出した、たった一枚しかない物だ、その恩恵は今一番必要なことに対して答えを見出すもの。
どうやら今回は相手の言葉が理解出来る、変換して聞こえるという効果じゃな」
つまり日本語を話してるように聞こえたガロレンの言葉は、そのまま此方の世界の言葉だったということか。
先程チャノムチャノムと幼子が言うような舌足らずで可愛かった紫ウニことガロレンの一人称がわしだったのと、精霊の中でもお偉いさんだということが分かり重雄は取り敢えず土下座した。




