13 門
降りた木の下で胡座をかいて整理する、鳩に触れる事掴む事は出来たが、たかだか鳩に引き摺られてしまう事から質量は5g程と仮説する。
スライムにせよ鳩にせよ生き物からは感知されないし干渉もされない。
たまたま頭上の鳩がポトリと糞を落としてきたが重雄をすり抜けて地面に落ちた、やはり重雄からでなければ干渉されないようだ。
そうすると…あのマリモもどき達は重雄と同じ霊体かそれに近いものなんだろう。
薄っすらと透けてる様に見えていたし緑のマリモもどきは此方を認知出来ていたし。
立ち上がり先程降りた木を登れるかどうか試した所、これは普通に登れた。
2メートル程登ってすぐ飛び降りた、試しで登っただけなので確認出来れば良かったから。
「制限の多い一方通行って所だな」
ヤレヤレといった素振りをして重雄はまた走り出すと暫くして止まり、深い感銘を受ける、この世界に来て初めて人工物であろう道標を見付けたからだ。
文字はやはり分かるものではなかったが道は三方向に分かれている、真ん中は山道に続く道に見えるのでこれはパス、左の道は果樹園が見えた、ぶら下がってるのはリンゴだろう。
右の道はまだ特にこれと言ったものは見えないが鋪装されている。
「選ぶなら鋪装されてる道だな」
鋪装されてるのであればここを通る者が多いのだろう、人工物と思ったが訳の分からない世界なのだ(人種)だという確証は無いが少なくとも知的な生命体は居るはずだ。
急に文明を感じた重雄は動くことはない胸を高鳴らせると鋪装された道を走る、割とすぐに建造物が見えてきた。
壁に囲まれた門が目前に迫った時、重雄は喜びを隠せなかった。
「人だ!」
精強に見える男二人が門の入り口を守っているようだ、重雄は男の内の一人に安易に近付くと
「こんにちは。」
目の前で手を振っても相手の肩を叩いてもやはり反応は無かった、分かっていても多少ショックはある。
先程人だと喜んでしまったから尚更だ、重雄は目の前の二人を観察する。
身長は二人共重雄より高く175〜180センチ程度で目の色は二人共茶色だ、肌は武装してるので見える範囲は少ないが黒くはない。
顔付きで言えば日焼けしたヨーロッパの方といった所だ、たまに見掛けるそちらから来た観光客と特別変わった所はなさそうだった。
すぐ後ろの壁に槍と盾が立て掛けてある、見るからに重そうだからずっと持ってられないだろう。
視線を建造物に向けた。
門は縦5メートル横3メートル程の縦長で頂上は丸く作られており、大きな石を積み重ねた上に何かを塗ったように出来ていた。
入り口以外は3メートルの高さで横に広がっているようだ、ここからだと終わりが見えない程度には続いていた。
門の奥には3メートル程の鉄格子があるので有事の際はこれを閉めるのだろう。
既にここから見えるファンタジー要素タップリな街並みに魅力を感じていた重雄は
「それではお邪魔させてもらいますね」
届くことの無い声を門番二人に掛けて街の中へ入っていく。




