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第8話 メリュジーヌ

 お次はこちら。「え? メリュジーヌって妖精じゃないの?」と思う方。半分正解で半分違います。「メリュジーヌって半分は人間で半分は蛇と竜の翼を持つ『半竜』では?」と言う人。違います。なんと息子の死を嘆いた時に黄金の竜の姿でリュジニャン城の周りを廻ったというのです。それがメリュジーヌの本当の姿です。つまりメリュジーヌは黄金竜なのです。『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』の3月の絵にばっちりと描かれています。リュジニャン城も実在します。リュジニャン家も実在します。もちろんフランスにあります。メリュジーヌ伝説は1980年代までブルターニュ地域圏では「メリュジーヌ」というお菓子の名前になり下がるなどマイナー伝承に落ちていましたが日本のゲーム産業がこの名前を中ボスキャラにしたりしたことで世界的に復興しました。FF5の事ですね。


 さてメリュジーヌは泉の妖精プレッシナとスコットランドのオルバニー王エリナスの子です。この設定でもうメルヘンチックです。どうやってこの2人は出会ったのでしょうか。ですがエリナスの父がプレッシナの出産時を好奇心で見てしまったというのです。生まれた子供がメリュジーヌです。プレッシナは怒りメリュジーヌと2人の妹、メリオールとプラティナを妖精の国に戻ります。メリュジーヌ達は復讐を誓いイングランドのノーサンブリアのある洞窟にエリナスの父を隠しますが母プレッシナはそれでもエリナスを愛していたため娘たちの行為に激怒しメリュジーヌ3姉妹を週1回下半身が蛇となり竜の翼も出るという呪いをかけられたのです。どんな呪いかというと「3姉妹が愛を成就させるには週1回本性を現す時間に自分を見ない相手を探すこと」という呪いです。


 この時点でもう悲しいお話ですね。

 ここで「あれっ!? 似た話を聞いたことあるぞ」という方は鋭いです。『ポポロクロイス物語』にものすごく似てますよね。原作者側は何もアナウンスしてませんがメリュジーヌ伝説をまちがいなく参考にしたと筆者は言わざるをえません。エンディングは真逆ですが。


 さてメリュジーヌはフランスのポワトゥー伯レイモンと恋に落ちて結婚し10人の子供を設けます。メリュジーヌは熱心なキリスト教徒で城塞も次々作ります。メリュジーヌ搭と言ってメリュジーヌが一晩で建てた搭が今でもフランス重要文化財として残っています。もう后の方が王じゃねえのかというぐらいです。もう分かりますよね。悲劇は繰り返されるのです。これを「見るなのタブー」と言います。また母であるプレッシナが受けた屈辱がどれほどのものかメリュジーヌ自身も味わいなさいという意味での呪いだったと思います。悲しいです。


 とは言え育児のためにメリュジーヌは里帰りしたりしたのも事実。特に自分の乳を息子に飲ませるために里帰りしたのです。息子はジョフロワという大牙が一本あったりアントワーヌと言って頬に小さい獅子の脚があるというキメラの異形も生まれて来ましたがキプロス王ユリアンやアルメニア王ギイと言った名君を輩出します。キプロス王ユリアンやアルメニア王ギイはともかく異形として生まれてしまった者たちの婚姻がどうなったのかが気になります。


 日本が再び有名にしたこのメリュジーヌは中国製のゲーム『原神』によって中国全土でも有名になり無事守護竜としての復興を果たすことになりました。


 最後に。私はジョフロワやアントワーヌの未来が気になります。ちゃんと結婚出来たのか。それとも異形ということで不遇の人生を歩んだのか。もし結婚にこぎつけても「売れ残り」を押し付けられたりしなかったのか。仮に売れ残りを押し付けられたとしても二人は幸せに過ごせたのか。気になりますよね。ここが創作ポイントじゃないのでしょうか。


 リュジニャン家は十字軍の名家です。本当にキプロス王とアルメニア王を輩出しています。彼らは竜の子なのです。同じ「竜公ドラクル」でもウラド3世とはまったく結末の違う話も存在するのです。ヨーロッパには。

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