【余談】ドラキュラを「吸血鬼」と訳すのいい加減に止めてくれ
吸血鬼ドラキュラ。本当に吸血鬼? そうですよね、ウラド2世は神聖ローマ帝国に属するドラゴン騎士団員の一人だったのです。1408年にハンガリー王ジギスムントと妃バルバラ・ツェリスカがドラゴン騎士団を結成しました。ハンガリー王室や十字架を守り特に非キリスト教国の軍と戦うための騎士団です。騎士団と言っても諸侯つまり国王の集団ということになります。1437年のジギスムントの死によって騎士団は没落しました。
そのドラゴン騎士団ウラド2世の子ウラド3世が竜の子ドラキュラです。本当に別名「竜公」と言います。別に吸血してません。有名な話ですが。ウラド3世の「竜公」の名前も父から譲り受けたものです。
そうです。ブラム・ストーカーという人がワラキア大公ウラド3世を基に『吸血鬼ドラキュラ』という小説を書き上げそれで間違ったイメージが「ドラキュラ」という名前に付いてきてしまったのですよね。ちなみに確かに敵軍を串刺しにして敵軍の攻撃意欲を失わせたことで知られるウラド3世ですがワラキア……つまり今のルーマニアの建国の祖なんです。いい加減にルーマニア政府は「『ドラキュラ』を『吸血鬼』って言わないで」って公言したらどうですかね。なおドラゴン騎士団の旗はウロボロスです。竜のしっぽを首に巻き付いている奴の絵です。「死と再生」・「不老不死」・「永遠」という意味になりこの場合は「無限大」という意味になります。数学記号の「∞」はウロボロスから来たものです。
なのでドラキュラを「吸血鬼」と訳すのはいい加減に止めて「竜公」と訳してくれ。ちなみに今でもウラド3世の子孫が居ますが「私は吸血しませんよ」と苦笑いして説明する模様。ブラン城はドイツ騎士団が創建したものですが20世紀になると「ドラキュラ城」と呼ばれる不名誉な有様。実際にウラド3世が住んでたのはポエナリ城のようだがこちらも吸血鬼城と呼ばれる有様。「ドラキュラ城」ことブラン城は共産主義政権下では国有化されたが今では子孫が博物館化しルーマニアの大観光地になってます。なんか複雑。そう、城下にあるお土産屋群が吸血鬼キャラ一色の販売なのだ。もういい加減にウラド3世は吸血鬼じゃないって分かってるのだから「ウラド3世=悪魔公ドラキュラ」という不名誉な称号を無くして「竜公」に戻してほしい。だって、ウラド3世はルーマニア建国の父だぜ? 建国の父を悪魔呼ばわりしていいのかよ? きっと罰が当たるぞ。
そんなブラム・ストーカーはもう一つ大作を書き上げています。こっちの方がはるかに評価されるべきなのに無名なのです。同じルーマニア舞台の魔法学校『ショロマンツェ』です。悪魔が教えるとされる学校で約7年洞窟に入り卒業生の成績優秀者は1人残り天候師として竜であるバラウールを操りかつバラウールに乗るという職業です。悪魔と言うよりも竜使いと言っていい。一応バラウールは退治される話もあるのですが人間に操られ人間のために動く竜として善の存在とさせていただきます。
なお「魔法学校」はハリポタの専売特許ではなくむしろ東欧伝承『ショロマンツェ』の方がオリジナルです。それでは次の善竜の紹介がもう決まりましたね。