第3話 アイスランドの守護竜(東方のランドヴィッテル)
アイスランドと聞くと『エッダ』や『サガ』で悪の扱いをされていると思いませんか。あくまでそれは北欧神話のニーズヘッグやファーヴニルやヨルムンガルドという竜の話です。実は北欧の竜全部が悪と言うわけじゃないんです。アイスランドには四方向を守る精霊をランドヴィッテルと言いますが東方のランドヴィッテルは灰色の竜です。ゆえにアイスランドでは竜は守護神ですしアイスランドの国章にもちゃんと竜が居ます。
――ええ!? 嘘? 本当?
本当です。なのでね、これから次々「西洋の守護竜」を出していくのですがいい加減に西洋竜=悪という認識を止めていただきたいのですね。ちなみに東方を守る竜は中国の四神と偶然ですが一致します。青竜の事ですよね。デンマークから進撃して来た魔術師軍団をランドヴィッテルは逆襲したのです。
このランドヴィッテルを恐れるあまり当時のヴァイキングたちは停泊の際竜の船首を逆方向に向けたり船首にカバーをかぶせる義務を課しました。
今回はウエールズのように国旗になってないからマイナーなだけですし「ランドヴィッテル」という言葉は東の竜 (Dreki)、北の鷲 (Gammur)、西の雄牛 (Griðungur)、そして南の巨人 (Bergrisi) の四柱合わせてランドヴィッテルです。強いて言えば「ドレキ」ですがこれでは名無しの竜になってしまうので「東方のランドヴィッテル」という呼び方がアイスランドの守護竜の呼び名として一番正しいでしょう。なおアイスランド・クローナのコインにも四柱のランドヴィッテルが描かれていました。ただし今のアイスランドはもうキャッシュレスなのでアイスランド・クローナ・コインを見かける事は大変難しい事実上の記念硬貨となっていると言います。
ここからは創作論になりますがいかがでしょうね。通貨の単位を1ドレキとするのはいかがでしょうか。なおこのアイデアはどうぞ持って行って構いません。ただし元ネタはアイスランド・クローナ・コインだという事を明示すればと言う条件で、ですが。
なおヴァイキングたちはキリスト教に帰依するわけですが竜を邪悪とする既存のキリスト教の教えには抵抗したようで教会そのものを竜にみたて屋瓦を竜の鱗に見立て大黒柱に竜の彫刻を施した「ドラゴン様式」(スターヴ教会)の教会が次々建てられました。いまでは国宝となってるドラゴン様式の教会も多いです。主にノルウエーにございます。
※筆者注:神様の単位は「柱」です。




