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第2話 ア・ドライグ・ゴッホ(ウェルシュドラゴン)

 ということで国旗にもなったドラゴン。ウエルシュドラゴンから説明しよう。元々はローマ帝国の軍旗「ドラコ」から来ている。吹き流しの竜の旗で戦勝の時に掲げる旗だ。ウエールズでは「ア・ドライグ・ゴッホ」と言うが知名度は抜群に低いのでここではウエルシュドラゴンという名称で説明する。

 さて民族大移動でローマ帝国は東西に分裂したうえにブリテンを放棄することになってしまった。かつて蛮族と言われたケルト人もいまやすっかりローマ文明になれていたが深き森から来航してきたアングロ人やサクソン人が海を越えてオランダ方面から侵略して来た。残ったブリトン人(ケルト人の一派)は赤き竜の旗を掲げながら戦ったんだ。それがウェルシュドラゴンの始まり。掲げたのはウーゼル・ペンドラゴン王。ペンドラゴンというのは竜の頭と言う意味で皇帝と言う意味にもなる。王権の象徴なんだ。

 伝説上は地中深く眠る赤き竜と白き竜を魔術師マーリンが発見して赤き竜が勝利するシーンを見てウーゼル・ペンドラゴン王に「我々は勝ちます」と言ったようだ。もちろんこんなのは後付けの話だ。だけれどももうこの時点で西洋ドラゴン=悪という俗説が崩れるだろ? じゃなかったら国旗にするわけねえよな?


 じゃあアングロ人やサクソン人側の白い竜旗、これを「グウィバー」というのだがどこに消えたのだろう? なんとブリトン人、ケルト人憎しとなったのか逆に竜退治の象徴である聖ジョージの旗に組込まれた。今のイングランドの旗の事だ。


 ――つまり、これは国家間の争いの象徴でもあるんだ


 ウーゼル・ペンドラゴンの子アーサー・ペンドラゴンもペンドラゴンの称号を授かった。あのアーサー王物語のアーサー王ね。


 もちろんアーサー王物語の最後はアーサー王の敗北とアバロン島への移転となる。日本風に言うと「彼岸島」かな。しかしアーサー王は騎士道の象徴になったし後世は「勇者」扱いなので英国にとって赤竜は特別の存在となってしまった。気安く使っていい紋章ではなくなった。そこでなんとしても竜の紋章を使いたい公爵や子爵は四脚の竜ではなく二脚の竜の旗である「ワイバーン」を使用することになった。もうこの時点で竜=悪って嘘っぱちですよね。

ちなみにウーゼル・ペンドラゴン王が戦に出てた時に流星が出て「赤き竜は我らに味方している!」と鬨をあげながら進撃して勝利を勝ち取った。ゆえにこの勝利を記念してウーゼル・ペンドラゴン王の兜に黄金の竜を飾ったとも言われる。


 ロンドン市のシティー区の紋章は竜退治のマークである聖ジョージの旗の紋を抱く竜が紋章となっている。両者の信仰が融合したのだ。

 

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