楽しみなこと
楽しみなこと
妹とオーケストラを聴きに行くことになった。
私は3月に手術をした。
そこで内臓を2つ失った。
今度のオケ鑑賞は、手術後、初めての遠出になる。
本当は、ピアノのコンツェルトが好きだ。
オーケストラに無いはずのピアノが、ステージの中心に置かれているのを見ると、嬉しい気持ちになる。
オケやお芝居は、子どもの頃からよく観ている。
お芝居でも、歌やダンスがあるものが特に好きだ。
つかこうへいも宮藤官九郎も好きだ。
わりと王道が好みなんだと思う。
大学生の時がいちばん音楽鑑賞をしていた。
年に10回はコンサートを聴いていた。
弦楽四重奏やオペラなど、ピアノ以外も聴いていた。
でも、やっぱりピアノが最も好きだ。
夫から、
「あなたはそんなにピアノを頑張って、どこを目指してるいるの?」
と聞かれた。
私にとっては、ピアノを弾くのは息をすることと同じなので、あまり頑張っている感じはなかった。
だから、
「特に何も目指してないよ。楽しく弾ければいいだけだよ。」
と答えた。
すると、
「YouTubeとか、やってみたら?」
と言ってくれた。
偶然にも、なろうでも『YouTubeで配信はどうだろう』と案をいただいていた。
同じタイミングでYouTubeの話が多方面から出てきたので、驚いた。
そこで、YouTubeでピアノ演奏を色々見てみた。
すごく上手な人もいれば、今はあまり上手じゃないけど練習過程を撮影しているという人もいた。
なるほど、YouTubeを成長の記録にしているのだなと感心してしまった。
そして、ピアノが上手い人は、ちゃんと鍵盤を押す。
たとえピアニッシモでも、音がかすれない。
ピアノが上手い人には、確固たる自信がある。
手に迷いがない。
ピンポイントで音を出す。
音を出す、鍵盤を押す、というのは、とても正確な表現だと思う。
ピアノが上手い人は、指の腹で何かを押し出すように弾く。
そこに音が乗ってくる。
ピアノが下手な人は、カクカクした動きでぎこちなく指だけで鍵盤を叩く。
ピアノが上手い人は、歌いすぎない。
歌うとか鳴らすとか言うのだが、情緒豊かに音に緩急や強弱をつける技法がある。
でも、上手い人ほど歌いすぎない。
ピアノは、出た音を引っ込めることが出来ない。
クライマックスに向けて少しずつ音が豊かになっていくよう、計算しているのだと思う。
また、楽譜に弾き方の指示が書いてある。
ピアノの楽譜は、結構指示が細かい。
基本的にはそれに従う。
作曲者の意図を尊重する。
作曲者の指示通りに弾くと、音が一連の流れを持ち、確かに『曲』になる。
ピアノが上手い人は、鍵盤を手から離す瞬間を乱暴に扱わない。
手に鍵盤が吸い付くように触れるし、離す。
実際に弾くとわかる。
丁寧に鍵盤を押すと、指が離れる時にも丁寧さが生まれる。
ピアノが上手い人は、見せ方を知っている。
弾いていても気持ちがいいし、見ている方も気持ちが乗る。
YouTubeを見て、そんなことを考えた。
YouTubeって、勉強になるなあと思った。
ちなみに私はドビュッシーとショパンが好きだ。
音がとにかく美しい。
特にドビュッシーの曲には、彼の愛や夢や期待、希望、それから儚さが感じられて好きだ。
決して華々しくはない。
奥ゆかしく、頼りなげで優しい。
寝る前に聴くのに良いかもしれない。
とりあえずは、妹とオーケストラを聴きに行くのが楽しみだ。
それまでにまた新しい曲を1曲弾けるようになっておきたい。