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国境警備隊長 役小角

(14)国境警備隊長 役小角


武たちに助けられた前鬼は、倒れているピーチ・ボーイズの2人を連れて警察官のところへ向かった。

警察官は、何もしていないのにピーチ・ボーイズが次々と倒された状況を不思議に思っていたのだろう。前鬼に救出された経緯を尋ねた。


「何があったんですか?」


「あの2人に助けてもらったんです」

前鬼はそう言うと武とお菊さんを指さした。


「あの女性と少年ですか?」警察官は前鬼に言った。


「そうです。ピーチ・ボーイズを倒したのは少年の方で、女性は保護者のようなものです」


「小さいのに凄いですね。話を伺っても大丈夫そうですか?」警察官は呑気に言った。


「大丈夫だと思います。ただ、変な言葉遣いを使わないように気を付けて下さい。あの二人は科学者です」

前鬼は2回殺されかけた経験から警察官に助言した。


「なるほど。科学者ですか・・・。言葉遣いには気を付けます」


警察官が武とお菊さんのところにやってきた。

ピーチ・ボーイズは逮捕したからこの事件は解決済みだ。

警察官は形式的に状況を確認しようとしている。


「ピーチ・ボーイズ逮捕のご協力、ありがとうございました」と警察官は武とお菊さんに言った。


「いえいえ。前鬼が捕まっていたのをテレビで見て、この子が助けに行くと言い出しまして・・・。家も近くでしたから」とお菊さんは答えた。


「そうでしたか。幸い犠牲者も出ませんでしたし、良かったです」


「ところで、5人の中にピーチ・ボーイズのリーダーはいたの?」とお菊さんは尋ねた。


「それが・・・、残念ながらリーダーのダグラス・ピーチはいませんでした」


「そうなの。じゃあ、根本的な解決にはならないわね」


「でも希望はあります。ピーチ・ボーイズのメンバー5人を逮捕できましたから、奴らのアジトや組織が明らかになると思います」と警察官は言った。


「そうなれば良いわね」


その後、お菊さんが警察官に連絡先を伝えて状況確認は終了した。

武とお菊さんが実家に帰ろうとすると前鬼が呼び止めた。


「ちょっと待って下さい!」


「どうしたの?」お菊さんは前鬼に聞く。


「今回の件はありがとうございました。それで、もしお時間があれば一緒に来てほしいところがあるんです」と前鬼は言った。


「まあ、デートの誘いかしら?」


「違います。それに私は妻帯者ですから・・・」


「冗談よ。それで、どこなの?」


「国境警備隊の隊長を紹介できないかと思いまして」


「行者様?」


「そうです。地球との関係もありますから、一度会ってもらえませんか?」


「私はいいわよ。武くんはどうする?」お菊さんは武に聞いた。


「別にいいよ。暇だし」と武は答えた。


***


武とお菊さんは、前鬼が運転する飛行車に乗って大きなビルにやってきた。

古いが大きなビルだ。正確な階数は分からないが、100階以上はあるだろう。


武がビルを見上げているとお菊さんが「大きいでしょ?」と言った。

武は「大きいね」とお菊さんに答えたが、頭の中は耐震構造のことで一杯だ。


「このビルの耐震構造はどうなってるのかな?」


「ビルの大きさよりも耐震構造の方が気になるんだ。武くんらしいね」お菊さんは笑いながら言った。


武たちはエレベーターでビルの最上階に上った。

廊下を歩いて突き当りの部屋に着くと、前鬼はドアをノックした。

「入りたまえ」と声が聞こえると前鬼は武たちを部屋の中に案内した。


部屋の中にはスーツ姿の初老の男性が立っていた。

黒縁メガネをかけてネクタイをしている。

見た目は会社の管理職のおじさんだ。


武たちが部屋に入ると、初老の男性はソファーに座るように勧めた。

全員がソファーに座ると、初老の男性はスーツの内ポケットから名刺を取り出し、武とお菊さんに渡した。


“国境警備隊長 役小角”


役小角は管理職のおじさん。

浮世絵に出てくる修行僧の雰囲気はなかった。


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