表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

第4回GETUP!GETLIVE!漫才・コント大賞!!

【漫才】最後の晩餐

作者: 佐藤そら

二人「はい、どうもー○○○○です」


ツッコミ「よく、無人島に何か一つだけ持ってくなら……みたいな話ってあるじゃん?」


ボケ「ああ、あの無駄な話ね」


ツッコミ「無駄って言うなよ」


ボケ「俺が持って行くなら、間違いなくこれだね。折れない心!」


ツッコミ「まさかのメンタルでした。いや、そういうのは普通、料理できるサバイバルナイフとか、火をつけるためのライターとか、そういうのを持って行くんだよ!」


ボケ「文明の利器に頼るな! 道具があっても、心がやられたらそこで終わりなんだぞ? 自然を見くびるなよ!」


ツッコミ「これ、そういうタイプの話じゃないんだけどな……」


ボケ「まず無人島に行かないし、リアリティがない!」


ツッコミ「なら、最後の晩餐はどうする? っていう話はどう?」


ボケ「最後の晩餐?」


ツッコミ「明日、お前が死ぬとする。最後の晩餐何食べる?」


ボケ「その時に食べたいものじゃない? そんな無駄なこと考えても意味ないよ」


ツッコミ「こういうのは先に決めておかないと、最後ジタバタして、お前みたいなのは後悔して死んでしまうぞ?」


ボケ「うーん。なら、お粥とかになるんじゃねーの?」


ツッコミ「なんでだよ!」


ボケ「お前、最後の晩餐だぞ? よく考えろよ? 明日死ぬんだぞ!?」


ツッコミ「そうだよ?」


ボケ「飯なんか喉通るわけねぇだろ! たぶん病院で、鼻とか喉とかに、いっぱい管とかが通されてる状態だよ! だいたい外出許可が出ない! 食べれるものだってマックス病院食が限界だろ!」


ツッコミ「そういう生々しい話じゃないんだよ」


ボケ「リアリティがなきゃ意味ないんだよ! 食えないもの提案して何になるんだ!」


ツッコミ「それは……」


ボケ「うちのばあちゃんみたいに、葬式の時、プリンが好きでしたとか発表されて、そんなもん最後はプリンしか食えなかったんだよ! って成仏しながら叫ぶことになるぞ!」


ツッコミ「分かった、分かった。俺の提案の仕方が悪かったな。なら、明日隕石が落ちてきて、どうあがいても死ぬとする。そしたら、何食べる?」


ボケ「はっ?」


ツッコミ「これは、万が一にもありえるかもしれない話だよ。俺はお袋の作った卵焼きかな? いや、みそ汁がいいかな?」


ボケ「おい、馬鹿なこと言うなよ。隕石が落ちてくるんだぞ? それはお前のお袋にも、隕石と共に最後の晩餐がやって来るってことだ。作らせてる場合か! ママのおまんまそのまま抜きか!」


ツッコミ「あーー、なら、行きつけの店に行くとか? あ、日本人らしく、最後は回転しない寿司を、お金も気にせず食べるとかな」


ボケ「おい、ちゃんと考えろ! その店の店主にも、最後の晩餐が待ち構えてるんだよ! 店主にも家族がいるんだよ! そんなどこの馬の骨か人間の骨か分からない客のために、飯なんて振る舞ってられるかよ!」


ツッコミ「うーん、そう言われるとそうなんだけど……」


ボケ「他人に寿司一貫握ってる間に、一巻の終わりだよ!」


ツッコミ「うまいこと言ってんじゃないよ!」


ボケ「隕石は地球の回転も、回転寿司の回転を止めて、全部回転しない寿司屋にしちまうよ! 隕石が迫る直前には、精々頑張って、3分で作れるカップラーメンを自分で作って食べるのが限界だ」


ツッコミ「なんか、お前つまらないな……」


ボケ「なんだと? ならお前、こういうのはどう思ってんだ? 母親と恋人が海で同時に溺れている。どちらかしか助けられません。どちらを助ける?」


ツッコミ「究極の2択ね。俺はなんだかんだ言って、母親を助けるかもしれない。自分をこの世に産み育ててくれた人はこの世に1人しかいないからね」


ボケ「恋人は何人もいるってか! この浮気野郎が!」


ツッコミ「なんでそんな解釈になるんだよ! なら、お前はどっちを助けるんだ?」


ボケ「そんなもの、誰も助けられるわけないだろ! 海の怖さ見くびるなよ!」


ツッコミ「これ、そういう話じゃないだろ? 仮に助けられるなら、どうするかなんだよ」


ボケ「この問答はな、3人の人間のうち2人が助かってるってところがミソなんだよ!」


ツッコミ「2人助かってる?」


ボケ「(探偵のように)いいか、その場には3人の人物がいる。溺れて助けられるのを待っている人物が2人。溺れている人間を傍観している人物が1人。3人の中で死ぬのは1人だけだ!」


ツッコミ「なるほど」


ボケ「だから、俺は2人を助け、自分が死ぬ」


ツッコミ「とんちか! お前、一休さんなのか!」


ボケ「そして俺は、最後の晩餐を食べられずに、後悔して死ぬ!」


ツッコミ「結局後悔するんかい!」


二人「どうも、ありがとうございました」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 掴みが上手いですね。 するすると読まされました。 ぽんぽんと話題が移り変わるのにテキトーに流してる感じがなくて、しっかり面白かったです(*´▽`*)
[一言] 最後の晩餐の話が面白かったです。 一貫と一巻の掛け合わせはうまいと思いました。 三人のうち二人が助かるで、自分が死ぬとのとんちも良かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ