1.昔からみていた夢は
いつも同じ夢を見る。
物心つく以前から何度も何度も繰り返し。
こことは違う世界のことを…
ジリリリ、ジリリリと目覚ましの音が部屋中に鳴り響くが、一向に起きれない俺は、30分が過ぎたところでようやく目覚めた。
また同じ夢を見てた気がする。内容は覚えてないけど。そして完全に寝坊したなぁ…
俺の名前は伊織。
今日から高校3年生のどこにでもいる普通の学生。
「あーあ。新学期初っ端から寝坊した。最初が肝心なのにさ。」
遅刻は確定しているため、ぶらぶらとゆっくり道を歩いていると、チラッと視界の端に怪しい外観の店が入った。
「あれっ…なんだこの店?昨日までは無かったぞ…」
【狭間堂】と書いてある看板を掲げており、いかにも怪しそうな外観をしている店だった。
興味をそそられたため、中に入ると老婆がカウンターの中で本を読んでいた。
「うんん?
なんじゃ小僧?主のような者が来るところではないぞ?」
こちらに気づくと読んでいた本から顔を上げて、ぶっきらぼうに言った。
「えっと…
この店って昨日までここに無かったと思うんですけど…
それでつい気になってしまい。」
老婆は読んでいた本を閉じ、ため息をついた後に店について話してくれた。
「ここは狭間堂という店じゃ。
あらゆる世界に点として存在しているゆえ、昨日まで小僧が気づかなくても無理はない。今日はたまたまここの世界に通じただけじゃからな。そしてここを認知できたということは、異世界との結びつきが少なからずあるんじゃろうな。」と老婆は話してくれた。
これまでの生活に不満はない。けれど、こんな不思議な話しを聞いたからには興味を持たない訳はない。また異世界との結びつきという言葉が気になった俺は、小さい頃から同じような夢をみることを老婆に話した。
「ほぉ。同じ夢を何度も見るのか。」と呟き、カウンターの下をゴソゴソと漁ると水晶玉を取り出し、覗くように言われた。
すると水晶玉が淡く光り始め、ふむふむと老婆は頷き
「主は【ユトピ】という世界のジンという小僧と意識が繋がっておるな。あちらの世界は剣と魔法が使える世界でな、ダンジョン攻略が盛んに行われておる。」
「ユトピのジン…。」
今まで分からなかったことが分かってスッキリしたと同時に、異世界という言葉にどんどんと惹かれていった。
「向こうの異世界に行く方法ってありますか?」という言葉が自然と出てきた。
老婆は少し考えた後に
「この丸薬を飲めば肉体と精神を分離させることができる。あちらの世界に渡ることができるだろう。
そして時間軸がこちらとあちらの世界で違うから、何年過ごしてもこちらでは数分程度で済むじゃろな。
しかし、あちらの世界で死ねば精神も死ぬ。つまり廃人決定じゃ。
1日よく考えるといい…」
神妙な顔で老婆が言った。
そのまま店を出た俺は学校に行き、怒られて廊下に立たされた。
新しいクラスメイトに笑われるも、狭間堂で言われたことを考えていたため特に気にならず、上の空だった。
人生で初めて物語を書いてみました。
自分自身異世界ものが好きなので、皆様にも面白いと思ってもらえるようなものを書きたいと思ってます!
よろしくお願いします。