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酔いどれ令嬢の卒業パーティー

「おかしいと思ったですぅー。イベントも全然起こらないしー、まさか悪役令嬢も転生者なんてひどすぎますぅー」


 目の前でそんな事を言うのは、噂の男爵令嬢のマリリン。通称ヒロインちゃんだった。ピンクのふわふわヘアーにフリルの制服と、まさにメインヒロインだった。そのままで居れば害なんてないのだけれど、彼女は私の婚約者を狙っているため、そうも言ってられなかった。


 タイミングの悪いことに、ここは偶然にも学園の階段落下イベントの場所だった。

ヒロインちゃんたら私に全然接触しなかったから、すっかり油断してました。


「でも大丈夫ですよぉー。階段イベントはー、強制イベントだからこのフラグさえ立てれば、エンディングのスチルは見れるから、安心してください。えいっ」


 急にヒロインちゃんが手を突き出してきた。私はそれを避けようとしたのだけれど、ちょっと階段を踏み外した。あとちょっと段差がズレていれば落ちなかったのに。避けたかっただけなのに。


ずるっ。

がたん。


ごろごろごろ。


 足元の風景が天井に変わるって経験はあまりなかったのだけれど、世界が回って見える。頭は大事だから守らないと。そんな事を考えていたら、ぼーっとしてきた。


「アンナ、大丈夫か。気をしっかり持って」


「で、殿下」


殿下の声がする。


――――私このあと、どうなっちゃうんだろう。



/***********/

3年後


知っている天井がそこにはあった。


――――あれ?私どうして。ここは、実家だ。学園の寮に居たはずなのに。


「お、お、お嬢様。目を開けられて、旦那様を呼ばないと。旦那様ーーーーお嬢様がー」


 メイドが慌てている。屋敷中が騒がしくなった。


「私、どのくらい寝ていたんだろう」


――――まだ見てないイベントスチルあるのにな。


 私は、悪役令嬢に転生したアンナ。第2王子殿下の婚約者だったのだけれど、男爵令嬢マリリンから階段から落とされて気を失っていたらしい。




 気が付くと、原作終了から3年が過ぎていた。卒業パーティでの断罪はなかったけれど、イベントスチルを全部見れなかったし原作も終了していた。


――――イベント全部無しとか、ないわー。せっかく原作開始前に記憶戻ったのに、ヒロインちゃんのせいで全部台無しだ。スチル見たかったな。




コンコン。


「どうぞ」


/****/




「というわけで、リハビリが終わったら、学園での残りの補習を終えたら卒業にしてもらえるそうなんだ。気長に体力をつけてくれ。まあ縁談の事は気にするな。考えがある」


「はい。お父様。ところで件の男爵令嬢マリリンはどうなりましたか?」


「あぁあの令嬢なら、余罪がゴロゴロあったから、退学になったよ。まあそのあとの事は知らない方がいいよ。くくく」


「あれま。縁談とおっしゃいましたが、第2王子との婚約はどうなりましたの?」


「まあ、こちらに否はなかったので、第2王子との婚約は継続・保留だったんだが、つい先日、王家の方から打診があり、破棄になったよ。せめて目を覚ましてから破棄すれば良いものを。まあ王家には当分、いろいろ言わせてもらうつもりだ」


「この年齢で、傷物にされた挙句婚約破棄ですの?もう結婚なんて無理ですわ」


「あーそのことなんだが、学園は事故の責任を感じていてな、お前の卒業パーティには、卒業生で婚約者の居ない人物を多く集めると言っていてな。だから安心してリハビリを行ってくれ」


「分かりましたわ。お父様。どうせ卒業してわざわざ私に会いたい物好きしか集まらない卒業パーティですのね。こっちも好きにさせてもらいますわ」


「いや、物好き達ではないんだがな、げふんげふん」


――――お父様ったら、風邪かしら。それにしても卒業パーティは年下だらけと思っていたけど、

卒業生も来るなら、少しは希望があるかもしれないわね。でも、もういいや。一応3年寝てたらしいから大人だし、お酒の力に頼って、ぱーーーっと楽しんじゃおう。




/****/


2ヶ月後


――――まあ分かってますの。分かってましたの。美味しいお酒が少ないことぐらい。


 卒業パーティまではあっという間でした。事故前にゲームのイベントを避けるために勉学に励んでいたため、卒業単位はほとんど取得していました。そのためあまり苦労せずに、卒業までこぎつけました。


――――せっかく最後のパーティなのに。ワインしか無いって、甘くないお酒は嫌いなんだけどな。ウィスキーとシュワシュワするやつもってきてよぉ。周りは全員年下で未成年だからお酒飲む人少ないからってあんまりよ。イベントは終了。お酒は美味しくない。なんで私、このパーティ出てるんだろ。もう、この白ワインでいいや。


ぐびぃーーーーー。


「もう一杯下さる?」


ぐびぃーーー。


むしゃ。


ぐびぃー。



「アンナさん、飲みすぎですよ」


「だれ?私のワイングラスを取るのは?ひっく」


 えらいイケメンがそこに居た。銀髪の切れ目の、宰相子息か。


「そうですよ。アンナ嬢。アルコールは筋肉に悪いぞ」


 細マッチョの、イケメンは騎士団長の子息か。


――――うわ。二人とも攻略キャラだ。でも原作スチルより少し大人だ。これはこれで良いけど。どうせなら原作の時にもっと近くで見たかった。っていうか、酔い覚めそうになるわ。でも推しの王子は、破棄した後じゃ現れないよね。


「あらぁー。二人してどうなされたんですか?私と一緒に飲んで下さるの?」


「こらこら、飲みすぎだって」


「ごめんあそばせ。少し酔いたかったのですわ。せっかくの学園最後のパーティですので、盛り上がりたかったのですわ」


「でも、5杯は飲みすぎですよぉ。アンナ義姉さん」


「あら、誰かと思えば、第3王子のアルス様」


「お久しぶりです、義姉さん」


「アルス様、私はもう、婚約者ではないので、義姉さんではありませんよ」



「義姉さん、でも今は義姉さんには婚約者は、いないんでしょ?。僕にもチャンスがあるってことだよね」


「待ってください、マルス王子。学園長も仰っていたじゃありませんか?候補は3人だと。抜け駆けはよくありませんよ」


「だな。アルス様。この中で、誰がアンナ嬢に相応しいか、選んで貰いましょうぜ。」


「ちょっとお待ちください。候補っていったい何のことですの?話が見えません。ま、まさか婚約者候補がこの3人って事じゃないですよね?」


「「「そうだ」です」ぞ」



――――え。なんで、原作が終わって3年も経ってるのに。攻略キャラ2人と義弟君が、私に言い寄ってくるの?酔えるものも酔えなくなってしまったじゃない。私の平穏な卒業パーティはどこにいったの?も、もう飲まないとやってられないわ。



「もう一杯、ワインをください。あと付け合わせが合わないから、塩も・・・」



――――塩と酒があれば、忘れられるわ。もう、全部忘れてやるんだから。


ペロ。

ぐびぃーーーーー。





「ダメですよ。まだ返事を聞いてませんよぉ。せっかく兄さんが手放したんだから、

僕を見てください。」






―――なんで、なんでこんな原作終了後に私のモテ期がくるのぉよおおおお。




/*********/


ご覧いただきありがとうございます。


京安藤しーぷです。



面白かったり、

他にも読みたいという方がいらっしゃいましたら、



評価の★を押していただけると


作品の作成のモチベーションが上がります。





酒のみ令嬢モテて混乱を書きたかったのだろうか。


ありがとうございました。

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