総合学院に入学した13才の4月
「トシズミ君、今日も大変そうだね」
進学で大きな街に引っ越して友達ができるか不安だったけどちゃんとできた。その一人がかなり人気者のトシズミ君で、女の子の呼び出しから今帰ってきたところ。
「あー、俺が中級オーラ持ちってどっかから聞いてきたせいだろ。総合学院まで進学するヤツ数人だったのにな。それよりミチオそろそろ冒険部に決めろ。冒険者登録してて休日だけとか勿体ないだろ。ミズキとアヤメももっと推せ」って言いながら机に入ってたラブレターをごみ箱ヘポイ。
「予定してた錬金部は専科になってからって断られたんだし、どっちみち素材の採取やるよね?単独でEランクなら慣れてるよね?どうせなら私達でパーティ組んで一緒にやろう、ね」って言ったのがトシズミ君の幼馴染のミズキさん。
「あんた騎獣持ってんでしょ。冒険部なら登録して連れてきていいしさ。あとさ・・・トシズミのハーレム要員と思われたくないんだよね」って言ったのがミズキさんの親友のアヤメさん。
他にいつも一緒なのはエリカさんとミサキさん。二人は従姉妹で、エリカさんのお兄さんが冒険部にいるけど、二人とも倶楽部活動はせず放課後はすぐ帰る。エリカさんに婚約者がいるから安全第一らしい。
入学して席が名前順でミサキ、ミズキ、ミチオと並んでて社交的なミズキさんが話しかけてきたのと、入学前に街の冒険者ギルドで拠点の移籍登録してる時にトシズミ君に見られてたのが、今の友達付き合いになってるんだよね。僕は小柄で地味なタイプだから覚えられてるのにびっくりしたけど、トシズミ君曰く「生活費稼ぎの子供にしては身なりが綺麗で、凄腕にも見えず、加入パーティ探さないのが逆に目についた」らしい。
前に住んでたド田舎の村では魔物を間引く日常のせいか、直接攻撃できる魔力・腕力の強い子が人気で、錬金術師を目指す僕とは微妙な距離があって。いじめられてはいないけど、仲良しもいなかった。だからお誘いはすっごく嬉しい!
「僕はあくまで薬草と魔核が目的だよ?それに危険な魔物も倒しには行けない。攻撃魔法も使えないし武術もダメだから。僕の岩1トン分のゴーレムが頼り。本当にそれでいいの?」
「ゴーレムか・・・コボルト、ゴブリンなら倒せるか?」
「数にもよるけど20くらいまでならたぶん。あっ綺麗に倒すのはできないよ、撲殺でぐちゃぐちゃだから」
そう、僕の攻撃手段はゴーレムだから食肉にもなる角兎やオークを倒すのは向いてない。ついでに素材として綺麗な状態で倒すのを目指すのも当然ダメ。その場合ゴーレムは護衛になっちゃう。
今の僕の魔力操作だとこの重量が精一杯なんだよね。