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重機転生プロローグ ノンストップは止まらない

はじめまして、本作を連載していきますりなっくすと申します!

ノンストップでギャグをお送りする小説かと思いきや、意外にもハイファンタジーです!

少しでも多くの方のもとに本作が届けば幸いであります。

今日も俺は荷物を乗せて、住宅街を徐行する。俺は運送屋に飼われてる、しがない5tトラックだ。街中でラン○ルギーニだとかコンパクトカーなんかを見かけると、なんで俺はあれに生まれなかったんだ、と自動車工場を恨むことはあるが、そんな事は一言も漏らさず今日も人間を乗せる。前はおバカなドライバーにハイオクを入れられ、かなりきつかった。俺は巨大な鉄の塊ではあるが下戸げこだ。レギュラー以外は飲めないのだ。


 今日は陽の光が温かい日だ。しかし春はまだ遠い。ここの住宅街は慣れたもんだった。あそこの家は確か、可愛い犬がいたっけな...とか、そこの家はおばあちゃんがすごく良い人だったな、なんて思いながらのんびり徐行する。そんなとき、十字路が迫ってきた。ここの曲がり角ってすっごい視野が限られてたな...なんて事を思い出す。そのため、道路には止まれと白線で書かれている。


 しかし、おバカなドライバーの様子がおかしかった。頭をこっくりこっくりやっている。しかもなぜか、ドライバーはアクセルをベタ踏みし始めた。轟音を上げて俺は加速する。居眠り運転だ! そう思った頃には遅かった。十字路の右から、スマホ歩きをしながら痩せた長身の少年が現れた。終わった...なんて俺は無力な鉄の塊なんだ! 人間の操縦なしじゃ止まることも出来ない!


 しかし、起きた結果は違かった。少年と激突した瞬間、バリバリと金属の削れる音が響き渡る。そう、少年はあまりに細かったのだ。まれに見るスキニーマンだった。俺は包丁に切られる野菜みたいに一刀両断され、運転席と助手席に分かれた! 両断される最中、俺の体内に侵入してくる青年の一瞬目があった。しかし、すぐさま彼はスマホに目を戻した。なんでそんなにスマホが気になるんだよ!


 畳み掛けるように、目の前の光景が変わった。そこは草原だった。おかしい、さっきまで俺は住宅街にいたはずだ。しかし止まれない。俺は今、一刀両断された状態のしがないトラックだ。厳密には運転席の方だ。ドライバーはまだ寝ている。俺は思った。この状況はおかしすぎるけど、遠目から見るとバイクを運転しているように見えるかも知れないと。草原を爆走しているときだった。遠くに、体が緑で頭がつるつるした集団が見えた。槍だとか剣を持っている。見た目はゴブリンそのものだった。ゴブリンの一人が俺に気づき、全員がカモでも見つけたような顔になる。



「へっへっへ! なんだありゃ、見ろよ、ダサい馬に乗ったやつがいるぜ」

「装備もないみたいだぜ、襲っちまおう!」



まてまて! 俺の体は脆すぎるんだ、来るんじゃない! お前らまで衝突してしまったら、俺の体は

トムとジェリーの穴開きチーズみたいになってしまう!



「!? こいつ、なんてでかさだ!」

「関係ねえ、やっちまえ!」



5tトラックの豊満ボディに驚いたゴブリンたちだったが、一瞬で覇気を取り戻して剣を構えた。

やばい! ぶつかる!



「うわあああ!!!」



バチバチと、爆走が止まらない俺は嫌でもゴブリンたちを蹴散らしていく。その様はまるで、ボーリングでストライクを

決めたときのようだった。



「ちくしょう、覚えとけよおお!!」



驚いた。遠くの方で、ゴブリンたちの悔しそうな声が聞こえてきた。殺してしまったかと思った。バックモニターを見ると、彼らは拳を握りながら憤慨していた。なんて頑丈でタフな奴らなんだ! トラックにひかれて死なないのは、トムとジェリーか異世界転生系主人公だけだと思っていた。


 俺はなおも止まれなかった。細身の少年に一刀両断され二輪になり、ゴブリンみたいなのをぶっ飛ばしても草原を大爆走していく。遠くに西洋の小さな城が見える。なぜ止まれないんだ、そしてここは本当にどこなんだ? 俺はそんな巨大な疑問符を頭に大量に抱えながらも、この気持ちいいくらいの晴天の下、青々とした草原を爆進していた。

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