初ダンジョン攻略
不定期更新です。
「あそこがダンジョンの入り口です」
指の差す方を見ると男性2人が下へと続いている洞窟のようなものを守るようにして立っているのが見えた。
幅は道路の1.5個分くらいだろうか?闘うのにはちょうどいい感じだ。高めの天井は、長い刃物を使うとしても当たらない高さで戦闘の隔たりになることはほとんどないだろう。
中は暗い。まあ、洞窟だしな。「暗視」があってよかった。
「あれがダンジョンか...いかにもだな」
「そうですか?ダンジョンって言われてもイメージ掴みづらくないですか?」
「うーん、何ていうか...イメージっていうより異世界ラノベとかのまんま、って感じ」
<ダンジョン097>
神から与えられた試練。最下層ににある核に触れた者にvうchなるwxb...
ん?何度やっても情報の取得がうまくいかない。レベルが足りないのか?いや、今までレベルが足りなくてもこんな表示にはならなかった。
どういうことだろう。神から与えられた試練ということだから、まだ情報を知るには早いということか?
ダンジョンを眺めながら考えていると、門番?の1人が近づいてきた。
「何か用ですか?ここは立ち入り禁止区域となっているはずですが」
「こちら、サルバドールの神谷春哉さんです。ダンジョン攻略の研修のようなものをしようと来たのですが同行していただける方を探しているんです」
と、時雨さんは何か書かれた書類みたいな物を見せながら説明した。
許可証のようなものか?ともあれ、警戒は解いてくれたみたいだ。
「そうでしたか。なら丁度適任がいますよ。
おーい、ちょっと来い!」
ニヤッと笑い、新たに来た2人門番と交代して帰ろうとしていた若い男性を呼びつけた。
「はい。何ですか?」
小走りで走って来て、こちらを一瞥してから言った。俺より、少し年上くらいか。めんどくさそうにしているが、頼もしく見える。不思議なオーラがある人だ。
「このサルバドールの兄ちゃんとダンジョンに潜って色々教えてやってくれ。まあ、引き継ぎみたいなもんだ」
「は、はあ。丁度今から潜ろうとしていましたしそれは構いませんが...闘えるんですか?
その...実力はともかく、精神的な面で」
こちらを見ながら聞いてきた。
「レベルも上がってますし、戦闘経験も一応ありますよ。少なくとも魔物を殺すことに躊躇うことはないです」
「そう...ですか。なら、構いませんが...」
といって渋々といった感じで了承する。
「ということでこいつが一緒に潜ってくれることになった、古川だ。なかなか出来るやつなんで色々と教わるといいだろう」
「古川蓮だ。蓮でいい。よろしく頼む」
「神谷春哉です。蓮さん、今日はよろしくお願いします」
準備は出来ているので、さっそくダンジョンに入る。
「暗闇は大丈夫か?」
「はい。スキルで問題なく見えますよ」
「そうか。迂闊にスキル名を漏らさないのは優秀だ。さっきから鑑定しているが弾かれているし、考えてはいるみたいだな」
「他人にステータスを知られるのは自殺行為ですしね。見せるときは見せますが強いアピールしても阿呆をさらけ出しているようなものですから」
時雨さんや政府には見せてしまったが、ずっと隠し通すとなると、信用してもらえないかもしれないからな。それに、これからも成長していくと思うし、見せるなら早い段階の方が良い。
というか「鑑定」持ってたんだな!入手経路から考えても、そんなにレアスキルでもなさそうだし、当然か。
「あと、少なくともダンジョン内では敬語は禁止だ。緊急事態での対処に遅れがでる。それから「さん」も入らない。そんなに年も離れてないだろ」
「わかり..わかった。これでいいか?蓮」
「そうだ。それはそうと、気づいてるか?」
む、「気配察知」に反応があった。
「ああ。右前方、30メートルくらいにゴブリン3体だな。俺が倒してこようか?」
「そうだな。実力も見てないのでは下へ行けないからな。」
「了解」
俺は短く答えて即座に「隠密」を発動させる。さらに、「身体能力強化」、「高速思考」を発動させ、「縮地」で一気につめる。
前々から使おうと思っていた「急所読み」を発動させる。
おお!!これは凄い
ゴブリンの首筋が一点、光っているように見える。ここが急所だと、スキルが囁く。
自然に、ごく自然に、持っていたサバイバルナイフを首筋に当てるように、刃を光に置くように体の動かしかたがわかる。
「スパッ」
ゴブリンの首は刃の通っていない部分まで裂け、飛んだ。切られたことにすら気づかずに。
首が飛ぶのを確認し、振り向きざまにもう一体の首をはねる。
「ギャギャギャア」
やっと気づいて最後の一体が攻撃の態勢に入るも、即座に同じように首をはねる。
※レベルが上がりました
おっ、上がったみたいだな。レベルも高くなって上がりづらくなっているので1でも上がると嬉しい。
ゴブリンの死体に目を向けると、ほとんど体がなくなりちょうど心臓の辺りから小石くらいの宝石が見えていた。
完全に体がなくなるのを待ち、残った魔石を拾い上げる。
ダンジョンに食べられていると言われればそんな気がしなくもないが、俺には元に戻るというか、地に還るというか。そんな風に見えた。
なんとも、不思議な現象だ。
そして
「これが魔石か...」
色はイメージ通りの紫。見た目より重く感じるが、特別重いわけでもない。妙なオーラとかは感じないし、危ない感じもしない。宝石のように綺麗だし魅力的だが、俺はずっと触っているのが嫌になって、「陰空間」に放り込んだ。
闘いを終えて戻ると、蓮が唖然としていた。
「終わったぞ」
「は.......?今の、お前がやったのか?」
ん?どういう意味だ?
「そうだけど...どうかしたか?」
「お前が見えにくくなったと思ったら急にいなくなってゴブリンの首がポンポン飛んでたんだぞ?恐怖映像だよ、まったく...今でも視線を逸らせば見えなくなりそうだ。スキルか何かか?」
なるほど。見ている側からはそう見えるらしい。次からは気をつけて使わないとな。
「ああ、そんなところだ」
ちょっと濁して言っておく。さっき褒められたばかりだからな。
「まあ、いいか。お前強いな。多分俺より強い。これでも俺は、ステ持ちの中じゃかなり上位のステータスらしいんだがな。そんな俺が姿すら確認出来なかった。これなら、一人でも下に進めるんじゃないか?」
まあ、限定上位?職だしな。ステータスは高いと思うが、見えなかったのは「隠密」だろう。
「そっか。これまで自分の実力がわからなかったから、ありがたいよ。それで、下に行くって話だけど、今、どこまで攻略は進んでるんだ?」
「4階までだな。今日、5階の攻略が進められる予定だ。そんなに急ぐことでもないし、ペースはそんなに速くない。ただ、政府としては現状を早く知りたいだろうから、お前らにはかなりそそられる条件になってるんじゃないか?」
確かに、ダンジョンについてわからないことが多いのではこれからの攻略に関係してくるしな。
ただ「鑑定」のスキルレベルを上げるだけでは駄目みたいだ。
話をしながら進んでいくと下へと続く階段が見えた。思ったより広くないな。
「下へと行くにつれて魔物は強くなり、1階、1階が広くなる。いくらステータスが高いといっても油断はするなよ」
「わかった」
考えを読まれたかと思い、少し短く返事をする。
「もう少し進んで、今日は帰ろう」
「ん?おう。そうするか」
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