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チートかもしれない



日の光が顔に当たり、目を覚ました。

いつの間にか眠ってしまっていたようだ。

目覚まし時計を見るとまだ、10時を過ぎたところ。およそ12時間眠っていたということだ。こんなに寝たのは久しぶりだな...



とりあえず、汗と血生臭い匂いを洗い流しにシャワーを浴びる。寝起きに水シャワーは少しきついが少し残っていた眠気を一気に吹き飛ばしてくれる。



着替えて外を見る。魔物はいないがあちこちが壊れている。俺の住んでいるアパートの壁も一部、崩れていた。

ほんと、よく部屋までこなかったな...

戦ってみた感じ、ゴブリンやオークに知性は感じられなかった。家を大きな岩か何かと勘違いしたのかもしれない。



そんなことを考えながら、少し早めの昼食をとることにした。とはいってもご飯はないのであんパン、食パン、カレーパンくらいだ。チンできないのでそのまま。バターも溶けて使えないのでちょうどいい、訳でもないが別にいい。

もうじき電気も復興させると言っていたし、もうしばらくの辛抱だ。



暇なので1対多の戦闘のときに手に入れたスキル「観察」を上げることにした。

電気がないとついに人は暇潰しに観察をし始めるらしい。

いろいろ並べてみた。コップ、水筒、スプーン、マヨネーズ、高校の教科書、サバイバルナイフ。



上げ方もわからないのでとりあえずじっっっと見る。



「.........................................」



※スキル「集中」を獲得しました



「うおっっ!!びっくりした...」



10分くらいたっただろうか?いわゆるゾーンに入りかけていたような気がする。



再び「観察」を発動する。



「おお....!」



「視え方」が違う。ただ、コップを見るのにも、コップとして捉えるのではなく、中がへこみ、取っ手のついた、少し消えかけている犬の絵が描かれたモノという感じだろうか。



明らかに何かが変わった。水筒、スプーン、マヨネーズ、高校の教科書と見て、サバイバルナイフを見る。と、あることに気がついた。



「このサバイバルナイフ、買ったときと形が違う?」



普通なら見間違いとか、勘違いと切り捨てるのだが、俺の「観察」が明らかに違うと言っている。



よく見ると、このサバイバルナイフの使い方が頭に入ってきた。

そして気づく。

俺はこのナイフを少しも使いきれていなかったのだと...



※スキル「観察」が一定のレベルに達しました

※スキル「見切り」を獲得しました

※スキル「鑑定」を獲得しました

※スキル「看破」を獲得しました



お、「観察」がカンストしたみたいだ。

そして!「鑑定」!

もしかして他人のステータスを見れたりするのか?



まずは前にあったサバイバルナイフを鑑定してみる。



名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+



おお!!鑑定結果がステータスのように宙に浮かんで見える。レベルを上げると変化があるのか?



名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+

特殊 使えば使うほど切れ味が増し、耐久力があがる。


お、説明が追加された。レベルが上がったようだ。



名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+

特殊 使えば使うほど切れ味が増し、耐久力があがる。


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+

特殊 使えば使うほど切れ味が増し、耐久力があがる。


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+

特殊 使えば使うほど切れ味が増し、耐久力があがる。


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+

特殊 使えば使うほど切れ味が増し、耐久力があがる。


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+

特殊 使えば使うほど切れ味が増し、耐久力があがる。


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+

特殊 使えば使うほど切れ味が増し、耐久力があがる。


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+

特殊 使えば使うほど切れ味が増し、耐久力があがる。


名称 サバイバルナイフ

固有名 ー

品質 C+

特殊 武器成長

備考 手入れ不要。装備者が変わると武器成長はリセットされる。



また、変わった。「使えば使うほど切れ味が増し、耐久力があがる」っていうのはこの「武器成長」らしい。

これ、普通にスーパーで買ったやつだぞ?他の武器もそうなのか。はたまたステータス持ちが装備したからなのか。



次に、気になっていた「加護」を鑑定する。



<加護>

神から与えられる恩恵。神によって得られる恩恵が異なる。神について知ると恩恵が強まる。



神はいるらしい。無宗教な俺からすれば割と衝撃的だ。それでも陰神は聞かないが。



<陰神>

6柱いる最高神の1柱。陽神と対の存在で、あらゆる陰を司る神。加護を与えられた者はユニークスキル「陰空間」を獲得し、陰に関するスキル、職業に特大補正がかかる。



「陰空間」!?そんなものあったか?

ステータスを開くとユニークスキルの欄に



ユニークスキル

急所読み、陰空間New



追加されていた。神について知ると恩恵が強まるってやつか。でもこれ、鑑定ありきのステータスじゃね?

あ、限定上位職業も加護のお陰かもしれないな。陰だけに。



「......」



よし、陰空間を鑑定するか。



<陰空間>

陰の空間を作ることが出来るスキル。陰神の加護により獲得する。空間内は自由に変えることができ、想像力によっては精密な改装も可能。



亜空間みたいなものか?いわゆるアイテムボックスみたいな使い方も出来そうだ。

本当にファンタジーって感じがするな。



「すみませーん。市役所から参りました、遠山時雨です」



玄関の方から声が聞こえた。もうそんな時間か。



「こんにちは。どうぞ入ってください」

「すみません、お邪魔させていただきます」



余所行きではないが部屋着でもない服装で出迎える。ちなみに時雨さんはスーツだった。



「出せるものがなくて...すみません」

「いえいえ!お構い無く!電気もないのに頂く訳にはいきませんし」



ペットボトルの冷えてない麦茶なら出せるんだが、ちょっと失礼だろう。



「そうですか。それで、今日は...」

「はい。昨日の件で来ました。お返事はお聞かせ頂けますか?」

「ええ。サルバドールに入ることにします」

「そうですか!!ありがとうございます!」



そして、今日時雨さんが来たということは



「では改めて、春哉さんの専属サポーターとなりました、遠山時雨です。これからよろしくお願いいたします」

「神谷春哉です。よろしくお願いします」



やはり、専属サポーターに決まったようだ。



「これから一緒に活動していくんですから、砕けた話し方で大丈夫ですよ。そっちの方が話しやすいでしょう?ちょうど、年は同じですし」

「なら、そうさせてもらうよ。というか時雨さん、同い年だったんですね。なら、時雨さんもタメ語でいいのに」

「すみません、癖でして。敬語の方が話しやすいんです。ご希望であれば直しますが...」

「いやいや、話しやすい方で話してくれ」



タメ語でいいのは助かる。未だに一人称が俺なのは抜けないからな。



「今後ですが、できるだけ早い段階でダンジョンに潜って頂いて結構です。基本給に魔物討伐でボーナスが上乗せされる形ですね。基本給は

普通ですが、ボーナスは凄いですよ!」



といって大体の詳細がかかれた書類を渡される。

マジでやべえ。命かかってる故なのか、ステータス持ちの重要性からなのか、普通といってもブラック生活のときよりも多い基本給を優に越えている。


さらに、サルバドールは階級があるらしい。分かりやすく、下からCランク、Bランク、Aランクそして、Sランク。

そして、その階級が上がるにつれて基本給、ボーナスが増えて、これから「サルバドール」が暮らすマンションのグレードが上がるらしい。



本当に、モチベーションがあがるなぁ。



「マンションは、新築の入居者がいないものを国が買い取ったので今日からでも住めますよ。最も、荷物を運ぶ業者がいないので早くともとも明日以降になるでしょうけど」

「あ、それなら大丈夫だ。ユニークスキルで一気に持ち運べるからな」

「そうですか。では今日からで...も...」



俺が少し得意気にいうと時雨さんの顔が徐々に驚愕に染まっていき



「ユニークスキル!!??春哉さん!ユニークスキルを持っているんですか!?」



驚いたように声を大きくして、少し食い気味に聞いてきた。



「あ、ああ...持っているよ」

「説明し忘れていましたが、ユニークスキルは今、確認が終わっているステータス持ち、2500人のうちたったの4人しか所持していないことがわかった、非常に希少なスキルなんですよ!」



マジか。ポンポンと手に入ったから皆も持っているものだと思っていたぞ。

つか2個だぞ。もしかして俺、チート?



「そ、そんなに珍しいものだったんだな...」

「そうですよ!それにそのユニークスキルはどれも強力なものだと聞いています」



使ったことはないが「急所読み」も強力なスキルなのかもしれないな。今度の戦闘で使ってみよう。



「参考までに、後でステータスを教えて頂けませんか?今後の討伐調整もありますので。教えたくない部分は結構ですので、虚偽はやめて下さい」

「わかった。俺も自分がどれくらいの強さなのか知っておきたいからな。公表されることはないんだろ?」

「基本的に個人情報は守られますね。指名手配になれば別ですけど」

「そんなの、どうやって信じるんだ?嘘かもしれないのに」



昨日の時もそうだ。ステータス持ちだと見栄を張りたくて、でしゃばっただけの奴かもしれないのにあっさりと信じて...というか元々知ってたかのような口ぶりでもあった。



「「看破」という、他人のステータスを覗き見るスキルがあるんですよ。どのみち見られることになるので今、嘘だとしてもあまり関係ないんですよ」

「じゃあ、昨日、元々俺がステータス持ちってことを知ってたような口ぶりだったのも」

「はい。あの場に「看破」持ちの職員がいたからですね。まだレベルが低く、名前と職業くらいしかわかりませんでしたが、あの場ではそれで判別できればよかったので」



やはり、ステータスが見えない人は「看破」でも見えないようだ。

つか「看破」じゃねえか!「鑑定」じゃないのかよ!



「マンションへの引っ越しはどうしますか?今日からでも住めますが...」

「明日からにするよ。少し思い出に浸りたいしね」

「わかりました。では、明日の11時に来ますのでそれまでに準備を済ませておいて下さい」

「了解。ダンジョンには明日から潜りたいんだけど...」

「大丈夫です。ルールなどがありますので、これを呼んでおいて下さい」

「了解。これから市役所?送るよ」

「あ、ありがとうございます」



渡された書類をテーブルにおいて支度する。

とはいっても、サバイバルナイフや水とかは陰空間の中なのでさしてすることもないんだが。



「へぇー。時雨さん、西大出身なんだ!頭いいんだねー」

「そんなことないですよ。両親が厳しい人だったので勉強はさせられていたんです。それに春哉さんだって清水商業って言ったら1流企業じゃないですか!」

「いやー、あそこ超ブラックよ。とても1流企業だとは思えなかったね。なぜ続いているのか不思議なくらいだ」

「あー、聞いたことあります。残業とかはかなり多いって。デマだと思ってました」

「あれは多いなんてもんじゃない...残業のない日なんて天国かと思ったくらいだ」

「そんなに、ですか。今度調査してみます」

...

......



~~~~~~~



道中、何事もなく楽しく身の上話をしながら送ったあと、家に帰って引っ越しの支度をする。



「これは...要らないな」



と言ってクレーンゲームでとったアニメキャラのぬいぐるみを捨てる用のゴミ袋にいれる。

現在、こんな感じで要るものを陰空間へ、要らないものをゴミ袋にいれている。



家電、家具は基本持っていくので、服や小物を整理している感じだ。こうしてみるとこの家に来た大学の入学式前のことを思い出す。別にエピソードがあるわけではない。ただ、そのときの感情や情景がフラッシュバックする、という感覚なのだが。



あのときは埼玉から上京してきて、東京という都市で、何か摩訶不思議な出来事が起こることをどこか期待していた。今まさにそれが起こっている訳だけど。



公園で拾った変わった石ころ、なぜか捨てられなかった外れた宝くじ、卒業証書、履歴書の残りなど、様々な思い出に浸りながら引っ越しの整理は終盤に差し掛かった。



最後に服の分別をしながら思った。一般人の服装は戦闘に適していない、と。暗殺者の上位職だから黒系で染めた方がいいよなー。隠密とかにも影響しそうだし。



それっぽくしてみた。



といってもジャージみたいに動ける黒スーツを着こなしただけ、みたいな感じだけど。

ナルシストではなく、自分でも容姿はそれなりに良いと思っているのでかなり、いい感じに仕上がっているのではないか。



中二病な感じではなく、大人な感じ。自画自賛、自画絶賛してるが本当に、防具になるならこれを着たいくらいなのだ。



ん?なんか、守られている感じがするのは気のせいだろうか。

不思議に思い、すかさず「鑑定」を発動させた。









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