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ライスシャワー物語 『疾走の馬、青嶺の魂となり 天に駆けた孤高のステイヤー』  作者: 風花 香
最終章 6歳 生涯最高のかけがえのないゴール そして……

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騎手を守った馬

 的場騎手は打撲で済んでいたとはいえ、走るライスシャワーの上から固いターフ上に叩きつけられたのですから痛くないわけがありません。


 しかし的場騎手は「痛い」とは一言も口にしなかったと言います。

 

 ライスシャワーが故障を発症した時、大きく前につんのめりそのままの勢いで的場騎手は前方に投げ出されそうになっていました。

 しかし的場騎手が咄嗟の判断で手綱を引くと、ライスシャワーはその手綱に応え、一度上体を起こし的場騎手が投げ出される事を防ぎました。


 もしライスシャワーが上体を起こすことがなければ、投げ出された的場騎手はそのままライスシャワーの下敷きになっていたかもしれません。


 小柄とはいえ440キロ近いライスシャワーの下敷きになれば、的場騎手も打撲では済まなかったことでしょう。


 立ち上がる事すら精一杯なほどに痛いのに、最後の瞬間ライスは俺を守ってくれた。


 そんな思いが的場騎手に痛いという言葉を言わせなかったのかもしれません。


 一つ、出処はわからないのですが逸話があります。

 まあ、そもそもこの作品は私の主観が多分に含まれておりますので、出処を探せばきりがないのですが……。


 逸話です。

 意気消沈したライスシャワーの関係者たちが引き上げていた時、突然的場騎手が言い出しました。


「ライスが死んだはずない。もう一度見てくる」と。


 既に冷たく、目を閉じているライスシャワーの元に戻ろうとする的場騎手を関係者たちが止めますが、的場騎手は尚も戻ろうとします。

 そんな的場騎手にライスシャワーと三身一体となってここまで駆け抜けて来た飯塚調教師が「均、もうやめとけ」と、宥めました。


 飯塚調教師のその一言に的場騎手も冷静さを取り戻し、肩を落としながら引き上げていきました。


 私の中で的場均という人は、冷静沈着なイメージが定着しているのですが、そんな的場騎手をここまで取り乱させるのは、ライスシャワーが彼にとって如何に大きい存在かを物語るエピソードだと思います。

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