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ライスシャワー物語 『疾走の馬、青嶺の魂となり 天に駆けた孤高のステイヤー』  作者: 風花 香
最終章 6歳 生涯最高のかけがえのないゴール そして……

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54/64

直線 襲い来る牙

 先頭で3コーナー坂を駆け上がり、4コーナーを鋭く切り込むように曲がったライスシャワー。


「いやぁ~やっぱりこの馬は強いのかっ!」


 杉本清アナウンサーの実況はレースを見ている人たちの心の声を代弁したものだったかもしれません。


 後続を引き連れてライスシャワーが4馬身ほどの差を付けて京都競馬場の直線を駆け抜けます。


 終始先行していたインターライナーが2番手の位置から追い上げます。


 内をついて回った1番人気のエアダブリンも追います。


 しかし、ライスシャワーのつり上げたペースを前の方で追っていた両馬は差を詰めることができません。

 他の先行勢が沈んでいく中で離されないだけ立派ですが、ライスシャワーとの差は縮まりません。


 ライスシャワーの逃げ切り濃厚か!?

 実況も完全にライスシャワーが先頭! と言い切っています。


 しかし鞍上の的場騎手は内心不安に駆られていました。

 ゴール前何者かに差されるんじゃないか? 何も来ていないのか?


 的場騎手は最後の直線がとてつもなく長く、ゴールが遠く見えていました。


 ラスト200メートルを示すハロン棒を通過した頃、的場騎手の予感は的中しました。


 外を突いて後門の狼が牙を向いたのです。


 ステージチャンプとハギノリアルキング。奇しくもライスシャワーと同じ父を持つ両馬が物凄い脚で追い上げて来ました。


 特にステージチャンプの脚色は完全にライスシャワーを凌駕していました。

 それでもライスシャワーが逃げ切れるのではないか? そう思えるだけの差が客観的には見て取れましたが、ラスト100メートルを切った所でライスシャワーの脚色がガクッと悪くなりました。


 如何なライスシャワーといえど、これだけの超ロングスパートを仕掛けて遂にスタミナの限界に達したのです。


 一完歩毎に1馬身ずつ差を詰められているのではないかと思えるほど脚色の差は歴然としていました。


 あとちょっとだ! 頑張れライス! 頑張れっ!


 ライスシャワーに携わるすべての関係者が祈っていたことでしょう。


 そして遂に先頭でゴール板前を駆け抜けようとした時、大外を物凄い勢いでステージチャンプが突き抜けました。

 ライスシャワーを完全に置き去りにしたステージチャンプの鞍上で蛯名正義騎手は渾身のガッツポーズをしていました。


 

 

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