表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライスシャワー物語 『疾走の馬、青嶺の魂となり 天に駆けた孤高のステイヤー』  作者: 風花 香
最終章 6歳 生涯最高のかけがえのないゴール そして……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/64

集いしステイヤーたち

 勝つチャンスはどの馬にもある。

 GⅠレースの勝利こそないものの、この天皇賞(春)だけは逃さない! と息巻く馬たちが出走表に名を連ねました。


 それにしてもこの年の天皇賞(春)は時代遅れの、と言うと聞こえは悪いですが、ステイヤーという存在が淘汰されつつある時代の流れの中で、負けじと逆流するような存在。つまりは中距離では実績は残せない、長距離だけが得意なんだ! という本当のステイヤーたちばかりが出揃いました。


 1番人気はナリタブライアンの同期で、日本ダービー2着、菊花賞3着、年が明けて3000メートルを超える重賞競走を連勝しているエアダブリン。


 2番人気にGⅡレース日経新春杯を2着、日経賞を勝利と順調なステップを踏んできたインターライナー。


 3番人気に目黒記念1着、阪神大賞典をナリタブライアンの2着と纏めてきたハギノリアルキング。


 そして4番人気がライスシャワーです。

 GⅠ2勝の実績は出走馬の中では断トツで輝かしいものでしたが、近走の不甲斐ない結果では、ここまでの支持が精一杯です。


 その他にも昨年の日経賞でライスシャワーにハナ差勝利し、長距離レースで安定した実績を持つステージチャンプなど、圧倒的主役は不在でしたが当時の長距離戦線にその名あり、という馬たちが出揃いました。


 そしてこの大一番に向けてライスシャワーを走る気にさせようと必死の努力をしてきた陣営。

 すると普段優しげな眼差しをしているライスシャワーの目が徐々に釣り上がって行きました。


「この目は!」


 と、的場騎手も驚きます。

 その鋭さを増した眼光は2年前にメジロマックイーンを破った時に近いものでした。


「ライス、今日は負けられないんだな?」


 ライスシャワーの不屈の闘志が燃え上がってきたのです。

 時代を代表する強敵を倒し、世代のトップとして活躍するはずだったライスシャワー。

 幾多の苦難を乗り越え、再び舞い戻ってきた春の淀。

 この頃には悪役を通り越し、もはや憐れみに近い感情で見られるようになっていた屈辱。


「俺を倒しておいてこのまま只の悪役で終わるなよ」


 そんなライスシャワーをかつての戦友(ライバル)ミホノブルボンもメジロマックイーンも応援していたと思います。


 そして遂に運命のレースのスタートが切られます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ