再び、春の淀へ
さて、ライスシャワーが年明け2戦のステップレースを散々な結果で終えたことは前回書きました。
その際にジャパンCの折に名前を出した『競馬の神様』こと故大川慶次郎氏はライスシャワーのことを「所詮はダービー16番人気の馬ですよ」と評しています。
この発言から大川氏は初めからライスシャワーの実力を疑問視していて、ミホノブルボンとメジロマックイーンを破ったこともフロックと見做していたと思われます。
ライスシャワーももう6歳です。競走馬としてのピークを過ぎているのは間違いありません。
陣営は苦悩していました。こんなに素晴らしい馬なのに、引退後の未来が切り開かれていない事に。
しかし嘆いても状況は変わりません。
陣営はライスシャワーの最も得意とする春の大一番に賭けました。
「ライス、頑張れ。頑張ってくれ! いや、お前が頑張っていることは知っている。だからお前がレースで全力を尽くせるように、俺も精一杯やるよ。だから、ライス。頑張ろう」
ライスシャワーが全く期待されていない若駒だった時から、成長を見守り、そして一緒に成長してきた川島厩務員はライスシャワーの優しい瞳に語りかけました。
飯塚調教師も的場騎手も、ライスシャワーに携わる全ての関係者の思いは一致していました。
メジロマックイーンを破った全盛期のライスシャワーの状態にはもうできない。それは肉体のピークを超えているから。
ならばせめて精神面だけでもあの時に近づけてあげよう。ライスシャワーは気力で走る馬だから、その闘志に火をつけてあげよう。
ライス、君の未来は君自身の走りで切り開くしかない。
だけどその支えに必ず私達はなる。
だから頑張ろう、ライス。
陣営の思いと共にライスシャワーは2年振りとなる春の天皇賞の舞台へ立ちます。




