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ライスシャワー物語 『疾走の馬、青嶺の魂となり 天に駆けた孤高のステイヤー』  作者: 風花 香
第二章 打倒 メジロマックイーン

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刺客と呼ばれし者

 名物アナウンサー杉本清(すぎもときよし)の実況とともに最後の戦いを追います。


 4コーナーをカーブし直線に3頭が向きました。


「さあ! マックイーンの独走となるか!」


 はっきり言いますとこの杉本清アナウンサーはメジロマックイーンを推しています。その発言からもこの時の杉本アナウンサーは、メジロマックイーンが1頭だけ突き抜ける映像が頭の中に描かれていたかもしれません。

 そして前人未到の3連覇を達成するメジロマックイーンを賞賛する実況を予め用意していた可能性すらあります。


 ですが、杉本アナウンサーがそう思っていたように当時の人々はメジロマックイーンが3200メートルの春の天皇賞で負けることなんて想像できなかったのではないでしょうか。

 それほどまでにメジロマックイーンの安定した強さ、時にはつまらないとすら表現される走りは信頼があったのでしょう。


 しかしメジロマックイーンはなかなか前にでれません。

 伸びてはいますが、左右のライバルたちも同じように伸びているのです。


 焦ったような声が響きます。


「外から、外からライスシャワー、ライスシャワー! あっ! マックイーン鞭がとんでいる! ライスシャワーかわした、ライスシャワーかわしたか! もう一度マックイーン。今年だけもう一度頑張れ! マックイーン!」


 杉本アナウンサーの応援を嘲笑うかのように黒い馬体が突き抜けます。

 ライスシャワーが、絶対的王者を正攻法からの併せ馬の形で置き去りました。


 メジロマックイーンはメジロパーマーの前にもなかなか出られません。


 ライスシャワーとメジロマックイーンとの差が1馬身、2馬身と広がります。


「しかしライスシャワーだ! ライスシャワーだ! 昨年の菊花賞でも、ミホノブルボンの三冠を阻んだライスシャワーだ!

ライスシャワーが完全に先頭だ! 2馬身3馬身と開いた開いた!」


 メジロマックイーンも王者としての意地でメジロパーマーとの競り合いに勝利します。

 それはまるで昨年の菊花賞で2着を死守してみせたミホノブルボンを彷彿とさせました。


 しかし、ライスシャワーの後ろ姿とともに、3連覇の野望が音を立てて崩れ去りました。


「ライスシャワー1着! マックイーンは2着!」


 ゴールの瞬間、やはり菊花賞の時と同じように歓声よりも先に圧倒的な溜め息に場内は包まれました。


 そして杉本アナウンサーの有名な杉本節が炸裂したのです。


「関東の刺客! ライスシャワー。天皇賞でも圧倒的な人気のメジロマックイーンを破りました!」


 



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