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ライスシャワー物語 『疾走の馬、青嶺の魂となり 天に駆けた孤高のステイヤー』  作者: 風花 香
第二章 打倒 メジロマックイーン

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王者の競馬

 菊花賞の際にも少し書きましたが、京都競馬場の3コーナーには登り坂があり、坂を登り切った所から4コーナーにかけて下り坂になり、最後には400メートルの直線が待ち受けています。


 この坂を越える際の格言として「ゆっくり上がってゆっくり下れ」というものがあります。


 これは坂の登りを勢いをつけて上がると、そこで脚を使ってしまい最後の直線までスタミナが保たない。また、下りに差し掛かった所でスパートすると、それもまた勢いが付きすぎてしまい最後まで脚が保たないことになるから言われた格言です。


 現在ではその格言も古いものとなりつつあり、長距離戦だとしても緩やかな流れで道中進んで行き、直線よーいドン! の戦い方が一般的になっています。

 これについても今は詳しく書きませんが、現在の競馬をつまらなくさせた要因の一つです。個人的にと付け加えておきます。


 さて、話を戻しますが当時にはまだ「ゆっくり上がってゆっくり下れ」の格言は生きていました。

 大抵の馬がセオリーに習いますが、たまにそのセオリーを破った破天荒な、もしくは実力に裏打ちされた確かな戦法を採る馬がいました。


 メジロマックイーンとそれに跨る武豊騎手が採った戦法が正にそれです。それは3コーナー坂の入り口から進出を初め、勢いを殺すことなくゴールまでなだれ込むロングスパートでした。


 普通の馬ならまず保ちません。既に2200メートルを走った末のラスト1000メートルのスパートです。


 メジロパーマーは脚質上逃げに徹していますが、打倒メジロマックイーンを掲げる他の馬たちは皆メジロマックイーンの後ろでマークしながら競馬をしているのです。


 本来ならば標的にされる人気馬の早い仕掛けは命取りになりかねませんが、メジロマックイーンの実力を理解した天才ジョッキーの決断と、天皇賞(春)を連覇している絶対的王者としてのプライドがその戦法を採らせたのかもしれません。

 それはまるで「俺を負かしたければ付いてきてみろ! ここで離されるようなら俺には勝てないぞ!」と言っているようでした。

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