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ライスシャワー物語 『疾走の馬、青嶺の魂となり 天に駆けた孤高のステイヤー』  作者: 風花 香
第一章 出生~3歳クラシック戦線

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栄冠を掴む者

『あと、400メートルだ! どこからでも、何でも来いという感じかミホノブルボン! ミホノブルボン! ライスシャワーが襲い掛かって来る! 外からライスシャワー、外からライスシャワー! 黄色い帽子はマチカネ、黄色い帽子はマチカネタンホイザ!』


 直線半ば、喘ぐ二冠馬を長距離適正に優れた2頭がついに捉えようとしていました。

 クラシック戦線に入り、ここまで影すら踏ませぬ独走劇を演じてきたミホノブルボンが初めて窮地に立たされたのです。


 しかし、鍛えに鍛えぬかれたこの二冠馬はまだ粘ります。後方から満を持して差しに来た2頭を相手取り、この牙城が自ら崩れ落ちることはありません。


『さあ、ミホノブルボン、逃げる逃げる! ライスシャワーかわしたか、ライスシャワーかわしたか。内からマチカネ、内からマチカネ』


 1頭が突き抜けました。

 黒い小さな馬体が頭を低く下げた独特のフォームで遂に先頭に躍り出たのです。


 ミホノブルボンと対戦すること実に5回目。その内の4回は脅かすどころか視界にすら入ること叶わず、影を踏むことすらできなかった。

 しかし、5回目の対戦にしてライスシャワーは遂にミホノブルボンをかわしたのです。


『あぁー、ライスシャワーが先頭に立った。ミホノブルボンは三冠にならず……。ライスシャワーです! ライスシャワーです!』


 ゴールを迎えた瞬間、紙切れと化した大量の馬券が宙を舞い、歓声は悲鳴に変わりました。

 その悲鳴が示す通り、そこには偉大なGⅠレースを勝利したライスシャワーを祝福する雰囲気は微塵も無く、歴史的名馬誕生の瞬間を邪魔した敵役として、ライスシャワーは群衆から罵声を浴びせられたのです。


 そんな中、鞍上の的場騎手は過酷な戦いを制した戦友の首筋を優しく撫でたのでした。

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