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秋、始動

 夏が過ぎて秋。

 最後の一冠に向けた戦いが始まります。


 ライスシャワーが秋の初戦に選んだのは中山競馬場で開催されるGⅡレース【セントライト記念】。このレースにミホノブルボンは出走してきませんでしたが、ミホノブルボンと同厩のレガシーワールドという馬が出走してきました。


 このセントライト記念というレースは菊花賞のトライアルレースで、3着までに入れば菊花賞の優先出走権を獲得できるレースです。


 しかし、そのレガシーワールドという馬はセン馬。(去勢された牡馬ですね)の為、3着以内に入ったとしてもクラシックレースへの出走権は得られないのです。

 にも関わらず、わざわざ関西の地からこのセントライト記念に出走してきたのは、ライスシャワーの実力を測る為の刺客として送り込まれたに他なりません。


 レガシーワールドはその気性の激しさから去勢しなければ競走馬として使い物になりませんでしたが、その能力の高さはあのミホノブルボンにも劣らないと言われていたようです。


 実はライスシャワーの日本ダービー2着は様々な方面でフロック、まぐれだと言われていました。

 当時のライスシャワーの評価を表しているかのように、日本ダービー2着にも関わらずこの日のライスシャワーの人気はさしたる実績馬がいないのに3番目でした。

 しかし、ミホノブルボンを管理する戸山為夫(とやまためお)調教師だけはライスシャワーに対して、底知れぬ恐怖を抱いていたようです。


 このレースでライスシャワーは最後の直線レガシーワールドとの競り合いにクビ差及ばず2着と破れますが、陣営は「これでダービー2着はフロックじゃないと証明された!」と喜びます。



 そして次戦に選んだ【京都新聞杯】。

 このレースには秋初戦をここに定めたミホノブルボンが出走してきました。


 1番人気ミホノブルボン。

 2番人気ライスシャワー。


 単勝オッズに大きな差はあれど、人気の上では遂にミホノブルボンのすぐ後ろまで迫ったライスシャワー。あとは実力をもって超えるのみです。


 レースの展開は実況した名アナウンサー杉本清(すぎもときよし)が、「『菊近し 淀の坂越え ひとり旅』ミホノブルボンといったところでしょうか」

 と詠んでいる通り、相変わらずミホノブルボンが先頭を走ります。


 直線を向き、好位から追走していたライスシャワーはミホノブルボンに迫りますが、その差が一馬身半まで縮まったところがゴールでした。


 やはりミホノブルボンは強い! 

 無敗の三冠達成は目前だ!

 

 そう思う競馬ファンは大勢いたことと思いますが、ライスシャワー陣営は最後の一冠に向けた確かな手応えを。

 そしてミホノブルボンを管理する戸山調教師はライスシャワーに対する恐怖を確かなものにしたのでした。

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