似た者同士
紳士、淑女の皆さん。初めまして!『森浦もこ』と申します。
本当は今メインで書いている話を処女作として投稿するつもりでしたが、友人に
「一旦軽めに書いていいところ、悪いところを指摘してもらったほうがいい。」
と言われたので1話完結の恋愛を書きました。社会人同士の短編恋愛という、定番ものに比べてたらあまりメジャーではないかもしれませんが、かる〜く読んでくれたらなと思います。
まだ語り足りない部分がありますが、それは後書きに回します。
ではでは!
ここは都会のちょっと外れた居酒屋。
金曜日の夜だけあって人は多いが、満員ってほどじゃない。いわゆる『隠れ家』ってやつだ。
「うーさむさむ!」
「へい!らっしゃい!」
ガラリガラリと扉が音をたてる。急かすような北風とともに1人の男性が入ってきた。スーツの上からトレンチコートを羽織ったサラリーマン風の男性。勝手に『若旦那』と読んでいる。毎週金曜日には必ずくる常連さ。
「親父さん、ビール頼むわ。」
「はいよ。今日はいつものじゃないんだね?」
「ああ。今日はガッと飲みたいんだよ。」
『親父さん』は冷蔵庫からキンキンの瓶ビールとグラスを取り出し封を開ける。
しゅっこん!と瓶は気持ちのいい音を鳴らす。
「はいよ。でもどうしたよ?旦那、ぐいっといける訳でもないでしょ?」
ひたひたに注がれたビールを若旦那はゴクゴクと音を鳴らして飲んでいく。
「っぷはぁ!たまにはいいって!こいうのがなきゃやってらんねぇよ!」
「はっはっは。まあ、うちとしてもそうやってうまそうに飲んでくれるのが一番だよ。今なら手も空いてるし作りながらなら相談に乗りますよ。」
にこやかに微笑みながら『親父さん』は魚をさばいていく。
・
・
それから約10分後
「はいよ!刺身の盛り合わせだよ。」
「よっしゃ!待ってました!ってちゃんと俺の話聞いてたぁ?」
「ちゃ〜んと聞いてますよ。後輩ができたなんてめでたいですね〜うちにも1つ若いのを欲しいけどなんせこんな裏路地にあったらなかなかねぇ。」
若旦那は頰を赤く染め完全に酔いが回っていた。普段からあまりビールを飲まないのにあれほど豪快に飲めば当然だろう。
「ここは変に繁盛しないくらいがちょうどいいんだって!そんなことよりよ!いやぁ〜どんだけ嬉しかったことか………おっこれ美味いな!」
「そいつはハマチだよ。今週から出し始めてね。それよりも、さっきの話を聞くだけじゃ、めでたい話としか聞こえなかったけど部下の子と何かあったのかい?」
「そうなんだよぉ!」
若旦那は頬杖をつきながら出されたスルメをよりより噛んでいる。
「新しく入ってきたらしいんだが、それがまた生意気でなぁ!上司の俺に職場で説教だぜ?仕事効率がどうとか、邪念がバレバレだとかさぁ。お前だってちょくちょく髪型とか色々細かく変わってて邪念が入ってんじゃねぇかよ!せっかく俺の好みの髪型なのに………。」
「ははは。そりゃ参ったもんだね。」
「ああ、全くだよ!」
親父さんは忙しそうにしていた手を止め、腕を組む形で若旦那に向き直る。
「でもそちらにも非があるわけでしょ?」
「それは………まあ、その通りだけどさぁ………。」
「それにね、女にとってオシャレは武器なんだよ。髪型とかは特にね。だから邪念とか言ってあげないほうがいいよ?」
「ぐぬぬ………それははずるいよ、親父さん。」
こう言われてしまうと若旦那も黙るしかないらしい。
「まあ、それにそれだけ彼女の事をよ〜く見てるって事だね。」
「なっ⁉︎別に説教するときに顔が近くなるからそのときに分かるだけだって!」
いたずらっぽく笑う親父さんに若旦那の顔が余計に真っ赤になった。
「それに、その髪型は結構好みなんでしょ?いい加減素直になったらどうです?」
「うっ………俺は今も正直だっての!あ、ごめん。俺ちょっとトイレ行ってくるわ。悪いけど熱燗作っといてくんない?」
「はっはっは。作っておくよ。」
若旦那はつばが悪そうにトイレへと入っていった。
・
・
それからすぐに再び扉が開いた。
それは先程の若旦那と同じようなスーツを着た女性。綺麗に整った黒髪を短めに揃えたなかなかのべっぴんさん。年の近さからその人を『お嬢さん』と呼ぶ事にした。
「らっしゃい。注文は?」
「んー、とりあえずビールちょうだい。」
「はいよー。さては何か悩みでもあるのかい?」
「へ⁉︎」
お嬢さんは座りかけた状態で勢いよく立ち上がったせいで膝を打ち付けてしまった。
「そっそれは………まあありますけど……どうして分かったんですか?」
「いやね?先のお客さんが同じような反応だったからもしかしてと思ってね。」
親父さんは熱燗を作る鍋の横で瓶の栓を抜く。瓶がしゅっこん!と気持ちのいい音を立てる。
「なるほどね………まあ、店主さんになら大丈夫かな………私の上司さ、普段からとってもいい人なんだけど、仕事を全っ然覚えなくてさ、全く困ってるのよ。」
「なるほど………その上司さんが好きなのかい?」
「ふぇ⁉︎ちょっ、どうしてそうなるの⁉︎」
顔を真っ赤にしたお嬢さんはまた急に立ち上がって膝を痛めていた。
「はっはっは。なんの根拠もない居酒屋の直感だよ。違ったかい?」
また親父さんは悪戯っぽく笑うと、なみなみに注がれたグラスとちょっとしたつまみを差し出す。
「ちがっ………………いや、そうだね。この気持ちはやっぱり好きって言うのかもしれない……。」
お嬢さんはなみなみと注がれたビールを一気に飲み干すとそのままサラダに手を伸ばす。どうやらこちらの方がお酒に強いらしい。
「なるほどねぇ。ならどこか食事に誘ったりしたのかい?」
「それが出来たら苦労はしてないよ………はぁ……。」
お嬢さんはため息混じりに二杯目に手を伸ばす。
「私さ、今まで勉強あたりしかしてこなかったものだから人との付き合い方がよくわからないの。学生時代も休日は家か図書館に1人でいるだけだったし。そんなんだったからこんな気持ち初めてでどうしたらいいかわからないのよ。まして恋だなんて………どうしちゃったんだろう、私。」
遠くを見ていた親父さんは熱燗を手に取りおしぼりで拭いている。
「まあ、恋をするってことは別に悪いことじゃないからね。人生を明るく照らしてくれるものだから。」
「まあね。それは、そうなんだけどさぁ………。」
お嬢さんは瓶の残りの文をグラスに注いでぐいっと飲み干す。そのせいか、親父さんの行動には気づいていなかった。
「遅めの青春ってやつかもしれないね。」
「ちよっ、からかわないでよ!」
「はっはっは。すみません。ウブな反応についね。」
しかし、言葉で入っていても親父さんもお嬢さんも満遍の笑みだった。親父さんはどうもいたずらが好きらしい。まあ、こうやってみんなから相談されるって事は、それだけ人望が厚いってことだろうけど。
「でもそれならどうしてその人に恋しているなんて分かったんだい?」
「それがね。最初はそこまで特別には思わなかったけど、あの人の部下になって接しているうちになぜかずっと気になるようになって。本当はどこかに誘ったりしたいけど、どうしても素直になれなくて。気がつくとまた説教してて。金曜日の飲み会で一緒になろうとしてもいつも来ないし。はぁ………好みがわからない以上、不慣れにファッション雑誌とかも買って参考にしてみても、彼鈍感だから全然反応してくれないし………。」
「よっぽどその人の事が気になってしょうがないみたいだね。いっそ、思い切って告白してみてもいいんじゃないかい?応援するよ?」
「そっ!そういうのは………さすがに……まだ早いというか………多分あっちも準備できてないだろうし………私としても心の準備が…………。」
酔って赤くなっていた頰がまた一段と赤くなった。本当にお嬢さんは『酔いやすい』人なんだろう。
「ははは。なら後ろに直接聞いてみたらどうだい?」
「へ?」
お嬢さんは親父さんの悪戯笑顔の言葉に素っ頓狂な声を漏らす。そしてそのまま振り返ると、トイレに行っていた若旦那が居た。
その顔を見るなりお嬢さんの顔はこれ以上にないほどに真っ赤っかになった。
「ちよっ、え?え⁉︎いっ、いつからそこに居たんですか⁉︎」
「あー、えーっと………ついさっきからかな。」
続く若旦那も気まずそうに、それでいて何かを誤魔化すように素っ気無く答えた。
「「恋をした」あたりからかな。」
「ほとんど全部聞いてるじゃないですかっ!」
今度は若旦那が腰をかけ、お嬢さんが立ち上がった。お嬢さんはまたもや膝を打ち付け悶えている。
このまま若い衆の青春を見ていたいが、野次馬がいては2人の邪魔になるだろう。
「親父、お勘定。」
「まいど!またきてな!」
「ああ。」と親父に素っ気なく返事をすると、釣りをもらうのも忘れ、ガラガラと扉を開く。ひんやりとした夜の風が中の円満を際立てるように吹き込んできた。俺は誘惑に負けないうちにそのまま人混みの中へと紛れていった。
どうも。森浦もこです!………さすがにしつこいですかね。
後書きでもあるように「私の書き方を知ってもらうこと」と「利点、欠点を指摘してもらうこと」とそして何より、『楽しんでもらうこと』を目的に短編を書いてみました。
本来はですね?電車の中でパパッと書いてしまうつもりでしたが、ついつい止まらなくなってしまいました。かなり遠くまで乗り過ごしてしまった挙句、それでも少し足りなかったのは内緒にしてくださいね。
ちょっと真面目にお話すると、この作品が今に残る森浦もこの処女作ということで考え深いところがあります。元々はファンタジー作家になりたくてなろうデビューしたんです。それで今無き「天邪鬼神話」という作品を1話だけ書いたんです。それを無謀にも読書家の友達に見せたらこてんぱんに言われちゃいましてね。その中で一番ひどかったのが恋愛表現らしいので修行としてまず最初に恋愛小説を書くことにしました。それから1年。友人に指摘され、一旦これを書くことにしました。
さてさて、まだ話したいことはたくさんありますが一旦お開きとさせていただきます。
でも、その前に!
読んでくださったあなたのレビュー、評価、コメント等々大募集です!褒めていただければモチベーションが急上昇です。『率直に狂喜乱舞』です。指摘や罵倒でも全然構いません。正直、未熟な身ゆえ変なところもあると思います。そこに指摘されるだけでもモチベーションは上がるってものです。
また、twitterでも活動しています。「森浦もこ」の詳細欄にURLを貼っておきましたので是非是非そっちの方でも絡んでください!
最後に謝辞をば。
いつも小説に関する楽しいお話をさせてくださる「とりあえず小説書こうか。」の皆さん。いつも堅っ苦しい言葉遣いで場をぶち壊してしまい申し訳ありませんでした。これを機にジャンジャン活躍していくのでぜひぜひ皆さんのような文豪人の仲間入りさせてください!お願いします!
そして「sozo小説教室」の皆さん。最近顔出しできてなくてごめんなさい!またもっと力をつけてから質問したりしますのでご教授お願いしますね!
そしていつも協力してくれる友人諸君!いつも本当にありがとう!特にMとTには感謝しなければなりませんね。Mにはよく推敲を手伝ってもらってごめんね。まだ全然頼むと思うからよろしくお願いします。そしてMとTに関しては絵を描いてもらう約束を組ませてもらって本当にありがとう。今回は急だったからもしかしたら追加するかもしれないけど、とりあえず今後の時からよろしくお願いふるでしょう。お願いします!
そして何より、『似た者同士』を読んでくださった読者様!本当にありがとうございました!読者あってこその小説だと思っていますので、ぜひぜひ今後とも仲良くさせてください。
では、本当にこれが最後です!読んでくださりありがとうございました!また次の話か、twitterかでお会いしましょう。
ではでは!