人助け
俺の目の前に三人の女がいた。三人の女の頭上には緑の線が浮かんでいた。そう、この線こそこの世で一番大切な情報である。3ヶ月前に13歳になった俺は響という神に使える男から3つの力を与えられた。その一つがゲージだ。このゲージは使用したものが一番知りたい情報を知ることが出来るのだ。とても便利だがそれをはるかに上回る危険がある。まあ、その危険は響は教えてくれなかったが、なんとなく危険であることは想像できた。普通の人が知ることの出来ない情報を見ることができるのだ。それなりの対価を払うことになるくらいは俺でもわかる。情報を見れるのはれなりに便利だと思ったがあまり使いどころが見つからなかった。そのこともあり、俺は3ヶ月もの間この力を封印してきた。しかし、響が言うには、使わない能力は半年もしない内に消えてしまうと教えてくれた。そして今日、俺は使うべき時が来たと思い使うことにした。俺は右手の薬指をバラのトゲに刺し、綺麗な赤い血を小瓶に入れた。その小瓶に今度は響から貰った固まった黒に近い血を爪で削り、小瓶に血のカスをいれた。俺は思わず叫んだ。その混ざりあった血が俺の小指めがけて入り込んできたのだ。まるでその血が重力に引っ張られるように俺の体内に無理矢理入りこんだ。その血は全身の血液の流れに逆らうかのように頭に上がって来た。めまいが来たので少しよろけたがなんとか踏み止まって耐えた。そして一回瞬きした瞬間俺は自分の目が俺を支配した。その目は俺に呼び掛けた。あの目付きの悪い女を探れと。俺は探った。女の脳から発せられてるわずかな情報をすいとるように吸収した。俺の目は一つの情報を奪った。女の頭上に血と書かれた字が浮かび、その横に一本の線があった。5センチ位の短く細い線が三人の頭上にそれぞれ浮かんでいた。そして俺の支配された目はそのゲージを書き換えた。針よりも細く短くした。女が倒れた。そして俺も倒れた。一人だ意識があったものがいた。女にいじめられていた若い女性が立っていた。そして悲鳴をあげた。その後悲鳴を上げた女は警察に事情を話したが警察はそれを信用しなかった。三人の女と一人の子供を殺した罪として逮捕された。女の方は充で撃たれており即死、子供の方は喉を締め付けられて窒息死した。そして俺は連れて行かれた。牢獄に。細い手首に手錠が付けてあり、その手は震えていた。目からは涙が溢れていた。そう、俺は自分の年の近い人の命を奪い死を逃れていたのだ。人を能力で4人殺したのだ。