昼休み1 資料室を横切るとこき使われる
「おーやおやおや、これはこれは珍しい。何億年ぶりのご帰還かな、城主殿?」
薄暗く人気の無い廊下に、いっそ能天気と言えるほどに明るい彼の声が響く。
大きすぎるこの城には良くある、悪くすれば数年は通る者のいない通路に響く快音に、壁が抗議するかのようにその声を反響させる。
「……何用だ小僧」
その場には彼だけでは無く、もう一人。壁に張り付くようにして寄りかかっていた、彼の前を横切った人物がいた。
「なに、一応僕はこの城に使えている身だからね? 主の帰還は喜んで出迎えさせてもらうさ。でもまあ、その主がコソコソと城の影から世界を渡って来た物だから、こんな寂れた廊下でのお出迎えになった訳だけど」
やれやれと両手を肩の位置まで上げて、大仰に首を振る彼には興味を示さず、主と言われた男は歩を進める。
男は、一言でその出で立ちを示すのなら布の塊だった。
ボロボロで彼方此方が破れた布を、目視できるだけで十数枚は重ねて纏っていて、頭もフードのようにした布に包んでいる。
その中は暗闇で確認できないが、光の当たる中でも確認できないようになっているため、実を言うと彼でさえここ数千年は男の素顔を見てはいなかった。
「ちょっと待ちなって。一応今の城主は変わってるんだから、まずは神座に顔出した方が良いと思うけど」
そう言って彼は男の肩に手を置く。傍目からは、ただ置いただけ。
「……フン?」
数秒の沈黙の後、男は短く息を吐いて振り返る。
「少し見ぬ間に、大分神格を上げたな。ロキ」
目の前には青い髪を後ろに流した、白い顔に悪戯小僧の顔を張り付けた長身の男が立っている。それは、かつて幾度も悪戯と称して男にちょっかいを掛けて来た男だった。
「で、話したいことがあると?」
場所は移り、午後の日差しが優しく差し込む客室にて、ロキと男は向き合って座っていた。
流石に「話したいことがある」とこの青年から改まって言われれば、男とて長い付き合い。用事は風の様に来ては、何事も無かったかのように終わらせて行くロキが、短い話をするためにそんな前置きをするはずもないと場所を変えたのだった。
「うん、まずは改めて久しぶり。前に会ったのはゼルダ=カルドの開界式だったから……千年前くらいだったっけ?」
顎に手を当て絞り出すロキを余所に、用意されたお茶を啜る男。その後にチラリと考える素振りを見せ、一言。
「ゼルダ? 何処だそれは」
「……えと、新しく主神になれた、ヘルんとこの元下級神が創世した世界だけど……覚えて無い? ほら、ブタ君」
「ヘルでブタ……ああ、そんなのが居たか。と言うより、あれからもう千年もたったのか?」
「……たったよ。まったく、爺さんには時間の有難みってのが解らないらしい」
数いる神の中でも古参に入るこの男にとって、千年程度は人の十年に劣る感覚なのだが、その百分の一も生きていないロキにとって、千年はそこそこの年数である。
「そんな訳無かろう……と、言いたいがな。朽ちるのを待つ身としては、確かに千年程度は瞬く間だ。ふふ、気付かぬ間に、創世に立ち会った世界がまた十ほど消えていた。古い神も、数人座を明け渡したと聞く。まったく、ワシを残して逝くとはな」
やや遠くを見るようにしながらクツクツと笑う男は、何処か疲れた雰囲気を出していた。
「……」
若輩とは言わないが、まだまだ若い神であるロキは、数えるのも億劫な程に存在している神を前にして珍しく気おくれしていた。気付いた自分でも滑稽だと思うが、どれだけ神格を高めても至れぬ場所の存在に、とても言い表せない哀愁を感じたのだ。
「……その朽ちるのを待つ古の神が、何で今更になって破棄した世界に降り立ったのさ? しかも弟子を取った? 四千年ぶりに、しかもアンタが」
勤めて無表情に言い放つロキ。その話題は、この男に出して良い物ではないと、神々の中でタブーになっている事を承知での言葉だった。もしかしたら、次の瞬間には滅せられるかもしれないという思いが、久しく感じていなかった恐怖を伴って背筋を駆け下りる。
「……四千年、もうそんなに経ったか。ふむ、奴は歴代の弟子の中でも良い所だったのだがな。まさか、あの程度で終わったとは情けない……く、ククク、カカカカカッ!」
今度は豪快に笑いだす男。ロキは思わず毒気を抜かれたが、思えばこの男が、弟子一人死んだくらいでどうするとも思えない。
「くくく、しかし今更、か。特に今更と言う訳でも無いのだがな? 単にこの四千年、我が覇道を継げる者が現れなかっただけの話だ。そう言う事であれば、今のこの城の主も大抵やる気が無いな。探せば世に一人は素養を持つ物が居ると言うのに、まったく気が利かない」
「……現城主も、矢鱈と世界を壊す事に執着する弟子ばっかり数多く輩出する、気の狂った爺の目に留まるような戦士を、そう多く招くわけにはいかないんだろうさ。なんたって前回はかなりの賠償を払わされたみたいだし、実際僕の方もかなり出したしね」
事実、多重世界の財を統括する商制界の主神からは、尻の毛も残さんとばかりに取り立てられた物だとは言わないロキ。喧しくも、取り立てを邪魔するのはとても楽しくて、合法的に賠償を撤回させた時の神々の顔は心満たされる物で有ったため、不満も無い。
「ふむ? まあ、覇道を成す力を得たのなら、どう使おうかはそれぞれだ。素養のある者は欲が深い者が多い傾向にあるからな、それぞれの欲の為に世界を滅ぼすもまた宿命。そう目くじら立てるな」
そう言ってまた茶を啜る。漂わせる哀愁故か何故か似合うが、獰猛な笑みを覗わせる声に、心理的に近くに座っているのを危険と判断する。
「……分かった、分かったからその覇気を抑えてくれないか? 近くに居ずらい」
「これは失敬」
そう言ってゆっくりとカップを置いて窓の方を見る男。先程までの空気は掻き消え、今は鼻歌でも出そうなほど機嫌がいいということがロキにはわかった。
「……ご機嫌だね? そんなに今の弟子は可愛いのかい?」
そんな喜怒哀楽の激しい爺さんの茶飲みに付き合うために、わざわざ会いに来たわけではないので、少々強引に本題をねじ込む。瞬間、やや不機嫌さの混ざった視線を向けられる。
「まさか、あのような筋肉の塊を愛でる趣向は持っておらん。まあ、いじめるのはそこそこ楽しいが……うむ、鍛えるのは楽しいな」
と言ってまた機嫌が上昇する。
「……爺さんの特殊な性癖は置いておいて、今回の本題に入ってもいいかな? 実は七割強あんたのせいで、早々と困ったことになってるんだ」
前置きだけでちょっと疲れた顔をするロキは、ここ数カ月のヴァルハラ新人戦士達の情勢を説明する。実はどんな事があってもこの男には頼りたくなかったのだが、はっきり言って一番面倒にならない方法がこの男に頼るということだったので、この男に関わる面倒事を承知でこうして会いに来たのだった。
時は数ヶ月前、突如この世界に一人の神が降り立ったのがそもそもの問題だった。
これが普通の神なら、一日に何人もの神が正式な手順で訪問するのだが、今回の場合は年に数度訪れる主神クラスの神ですらなかった。
神の名は覇剣王、その名を太古の昔に置き去りにしてきた、多重世界最古の神の一人であり、始まりの神が死した後、すべての世界の八割をその手中に収めた大神“だった”
しかし、それも昔。いまは隠居し、大きな祭典の折にたまに招かれるのみの元大神。
だが元とは言え、その登場に多くの世界の神々は震え上がった。
再び災厄は繰り返されるのか、と。
彼の神が戦の神界に現れること。それは神々にとって最も忌避するべき災厄が生まれる前兆だ。故に神々は、今は無き始まりの神に祈った。どうか彼の神が災厄の種を撒きませんように、と。
しかし、そのような祈りが覇者たる神に通じるはずもなく、一刻を待たずして災厄は産声を上げた。
覇剣王が、弟子をとったのだった。
それに一番早く反応した神は、やはりと言うべきかこの世界を管理する主神であった。彼の神は今回の召喚で一番の素養を持った戦士の下に現れ、己の加護を与えた。それは異例中の異例であり、新人の域を出ないものに与えるには破格の代物だったのだった。
しかし、主神は満足しなかった。生半可な対処で対応できるほど、この災厄の芽は優しくないことなど、前回の失敗で学んでいたのだ。
故に、彼の神は知りうる主神クラスの神々に使いを出した。
『彼の災厄を封じ込める手伝いをしてもらいたい』
殺せる物なら殺したい。戦士は大事な財産であるが、世界を揺るがす存在であれば切り捨てるのもやむを得ない。世界を管理する鉄則だ。
しかし、事は覇剣王が関わっている、下手な刺激はできるなら避けたい。藪をつつけば世界が砕け散る爆弾が作動しては元も子もない。
それに、覇剣王の弟子ともなれば、この世界の目的である【力】にこれ以上ない逸材である。逃したくもない。
故に、彼の神は監視を選んだ。どうしても近しくなる同期の戦士たちを多く取り込み、少々反則気味な育成を施し、いざとなれば後ろから刺せるようにと網を仕掛けたのだ。
結果、かの神に賛同した神々の息が掛かった戦士が百名あまり……つまり、それだけの戦士に加護を与えるという前例のない結果になろうとも、抑えなければならない。
それが覇剣王の弟子だった。
しかし、そこまで手を尽くしてから、主神は彼の戦士に王手をかけられる駒を逃したことに気がついた。もとより彼の戦士が命と同等と思える程に近しい存在が、三つも戦士として共に呼ばれていたのだ。
はじめは喜び勇んで手を伸ばそうとしたが、ここで初めの障害が立ちふさがった。
古魔楼の加護
それは、このヴァルハラにおいて、その世界の主神ですら手を出せない幾つかの存在の内の一つだった。
古魔楼、それは始まりの神が世界を存続させるために作り出した初源の世界樹の末席であった。しかし、末席とは言え初源の世界樹。言い直せば試行錯誤の成果である真の世界樹の完成形。さらに言えば世界の維持を司る、神に続く力を持った存在で、しかも時という力を最も受け続けた存在が一。その存在は覇剣王にも届くほどとも言える。
それほどの世界樹が、人から選ぶ守護者として彼の戦士の妹を取り込んだ。
元は力のない若い世界樹が身を守るために選ぶ守護者を、この偉大なる世界樹は迎え入れたのだ。それは今までの傾向からすれば、おおよそ神々の打算の一角として取り込める余地などない。試しに誘いをかければ、にべもなくあしらわれてしまった。
しかしただの一人。あとの二人を取り込めばどうとでもなる。そう思って、次は召喚二ヶ月を過ぎても入界門から出れていない、少々落ち目の戦士を取り込もうと画策した。力を持たずに迷宮をさまよい続ける者に蜘蛛の糸のごとく力をチラつかせれば、たやすく下るだろうと考えた。
しかしどうして、ここで第二の障害が現れた。
トリックスター登場!!
力以前に、この世界どころか全ての世界の存在を合わせても敵に回したくない上位五人に入る神が、既に加護を与えてしまっていたのだ。
本人は呆然とする主神に
「テヘペロ」
という意味のわからない単語を発したあとに逃亡。以後仕事場に篭って、有ろう事か主君に当たる主神の再三再四の登城命令を無視したのだ。
付き合いの長い主神は、もはやこの神に何を言っても戦士を手放す気がないことを悟り、最後の一人に全てを託して接触を図った。
……だが、無情にも第三の障害が主神の側頭部を遠慮なく張り倒していった。
陰謀渦巻く神々の嫉妬
なんとか残りの一人はどの主神からの加護も受けておらず、むしろ自分が加護を与えた戦士に迫る素養を持つ彼女になぜ未だ加護が与えられていないのか不思議に思いつつ、度重なる失敗に頭の回らない神は飢餓状態の犬のごとく餌に飛びついた……のだが。
「さて、ここで問題。あの駄犬はそのあとどうなったでしょうか? いち~……」
「その状況なら、他の主神に寄ってたかって制裁されたのではないか? 力のある戦士はいつでも神々が欲する所だからな。さしずめ随分前から誰が加護を与えるかでもめていたのだろう? 加護さえ与えてしまえば、いずれは自らの神界に召し上げられるからな。あの阿呆は気がはやると周りが見えんしな」
そう言いながら男…覇剣王はため息を付く。本当にこの世界をやつに預けて良かったのだろうか?
「……なんで先にオチ行っちゃうかなー? まあ、正確にはすまきにされてフルボッコくらったんだけどね。それを制裁の一言で片付けられると、爆笑したこっちとしてはなんだか遺憾なんだけ……」
「で、要は何をして欲しいのだ?」
ロキが愚痴を言い出す前に釘を刺す。少々長くなりすぎたため、そろそろ話を切りたい所だった。
「やれやれ、老人はもっとゆっくりしろっての。ま、いいけどね、じゃあ本題」
ロキは懐から紙の束を取り出して放る。そこには一人の少女の似顔絵と事細かなデータが入っていた。
「さして難しい事はいってない。僕はただ、このまま神のくだらない政治で戦士の育成が歪められるのが我慢ならないんだ。だから、彼女にはそこらのペーペーが口出しできないほどの者の加護を与えて欲しいと思ってる。そこで、年の功」
「……昔の知り合いに声をかけて回れと?」
紙の枚数は十七枚。古から伝わる神の歴史で、覇剣王が深く関わった伝説級の存在で、現存する者の数と一致する。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「メンドクサイとか言うなよ? 僕だってすごく面倒なんだ。でもこれ以上イレギュラーが増えて太郎君が面白……元言い楽しくなったら、仕事が手につかなくて部下に刺殺される。死活問題なんだっ!」
「言葉を濁すならもっとしっかりと隠せ。本音しか伝わって来んわ」
ちょっと本気で背後が気になってるロキをみてため息が出てくる。
「そもそも、なぜそのような落ち目を気にする? お前はもっとこう、全てをなぎ倒すような強者が挫折する場面を楽しむ気質ではなかったか?」
そもそも、時には大きすぎて登ってこれないような壁を、自ら用意して戦士を堕落させるくらいがいつものスタイルのこの男にとって。先ほどの戦士の育成云々が既に嘘くさい。
「え、あー、うん…………」
「露骨に目をそらすな」
ロキが冷えたお茶を飲み干し外を見て、覇剣王がそれを睨む。先ほどと真逆の体勢から、絞り出すようにロキが言葉を紡ぐ。
「とは言ってもね? なんでかって言われるとなんでかなって、さ。あんなのは他にも沢山いるんだけどね、すぐに擦り切れてすぐに終わり。あとは何もない、そこらに転がってる石ころ? 原石から削り取られた屑石? まあ、そんな感じなんだけど……」
「加護を与えた存在に向かって随分ないいようだな?」
加護を与える事は言う程簡単なことではない。少ない量でも、神の力の一部を削り取って与える行為だ。いくら娯楽に飢えている神であろうと、そう簡単に利益に継らない者に加護は与えない。
「んー、違うか? こう、君の弟子が大きな原石なら、彼は同じ大きさの原石から欠け落ちた欠片……かな? うん、そんでもって、保管する木箱から大きな方の欠片が転がり落ちたって感じ?」
「……割れ者、か?」
今度は覇剣王が首をかしげる。
魂が割れて消失してしまった者……確かに魂を加工する戦士には多い症状だが、果たして己の弟子と同等と言える者がこの短期間に壊れてしまうものか?
「ちょっと僕たちが言う一般的な物ではないけどね。しかも転げ落ちた方の原石も消えたわけじゃない。うまくいけば元みたいにくっ付くかもしれないし。でも、やっぱりこれも一番の理由じゃない気がするかな? わざわざ小さく弱った魂を保護するために奔走してると、たーまに自分で呆れるし。彼は彼で、僕をもってしても予想の斜め上を行く突飛な行動を頻繁にするしね。……ん? それが楽しいのかも?」
と、物思いに耽り始めるロキ。こうなると止まらないのは彼に関わる者は皆知っている。
「ふむ」
と、おもむろに布の塊が椅子から離れ、部屋を出るために扉に向かっていく。
「いっそあそこをこうして……やっぱりイヤンなイベントも……って、帰るの?」
後一歩のところで捕まってしまい、ため息をつきつつ布がフードのみやや振り返る。
「お前の長考に付き合う義理はない。わしはこれで失礼する……まあ、弟子の修行に関わるでな。出来る限りは配ってやろう」
そう言って今度こそ退室する布。ロキはしばらくポカンとして一言、
「……デレた?」
それは割と本気の言葉だった。
多重世界伝承 初源歴 初源の三大呪象
神の名は覇剣王、その名を太古の昔に置き去りにしてきた、多重世界最古の神の一人であり、始まりの神が死した後、すべての世界の八割をその手中に収めた大神で“あった”
しかし“あった”という事葉の通りそれは過去の事。今はそのすべての世界を後進の神々に譲り、支配の際に用いた強大な武力の一切を用いずに歴史の表舞台から手を引いた、全てから忘れ去られるのを待つのみの存在となったはずだった。
しかし……彼の神は消えなかった。
神は世界を管理することで力を得る。それは不老と不死を可能にし、神を他の存在から隔絶する。しかし、逆を言えば神は世界無くして生きられない。
覇剣王は所有する全ての世界を手放し、己のためのみの空間を創造して引きこもった。世界と呼べるものではないその空間は、ただ彼をそこに押しとどめる以外の効果を持たず、故に不老も不死も成し得ない。
他の古の神と同じように、ゆっくりと消えて行けば、恐らくこの話は美談で終わっただろう。
しかし、彼の神は消えなかった。
神は生きるだけで一定の力を貯めていき、それを物質に変えることでこの世に存在するどのような物よりも優れた素材を生み出す。それは太古の盟約によって、創成界の一流の職人が加工し、その神の管理下に戻すのが決まりである。
つまり彼の大神ともなれば、持っている神物は計り知れない量と質になるはずであり、消え行く前にそれらを譲り受けようと、又は奪い取ろうとする神は後を絶たなかった。
世界を持たぬ神は神ではなくそこらの石ころに等しい、故にその多くの財宝は方々へと散る運命にあった。元神の死と共に。
シカシ、カノ神ハ消エナカッタ。
財を求めた神々は戻らなかった。代わりに戻ってきたのは、世界を喰らう災厄の数々。人の形を成したそれらは、確かにこの数ある世界で生まれた者たちであり、武力を用いずに世界を譲渡した覇剣王が、後進の神々に唯一世界からの持ち出しを求めた人々であった。
……後に神々は語る。
多重世界の一割を飲み干した災厄を葬ったその時、覇剣王は笑ったと。
彼の神の望みは自らの成就し得なかった覇道を成す者だと。
多重世界に彼の神の記憶が残る限り、彼は消えぬ。それが古の神の特権だと。
つまり、彼を恐れる神々が生きている限り、彼の神は生き続け、災厄は永遠に現れる。これは呪い。世界を蝕む初源の呪い。
なんだかんだで久々の投稿。なんだか宙ぶらりんな設定にご指摘をいくつか頂いたので、設定説明の回を前倒しして書いてみました。
あと三つくらい昼休みしてから迷宮に潜りたいかな……と。
鈍くてサーセン(;_;)




